ウクライナロシアの戦争は、「戦争などしたくない」「命は一つしかない」と願う国民の気持ちの外側で、まだ終息をしてはいない。

 2022年10月、ロシアの30代の男性が徴集されるのが嫌で、韓国まで逃げた。そして難民認定してほしいと訴えた。ウクライナ人の難民認定すら渋っている国になんの希望を見つけ、なにを求めたのであろうか。

 けれど、空港までたどり着いたものの、旅客ターミナルのゲートからでることはできなかった。当然のことだ。

 当然のことと言えば、人権派と言われる代理人がすぐにつくのも世の常だ。この法律代理人の尽力によって、このほど、131日ぶりに空港を出ることができた。奇しくも2月14日、彼に贈られたのはチョコレートではなく、韓国に入っていいよと言う温情だった。

 この131日の間に、裁判所は「明確な理由のない」難民申請だと一時は強制送還かと絶望的になったりもした。強制送還になったら、最前線の兵になりすぐに命を落とすか…監獄で激しい拷問で命を落とすか。

 畳みかけるように、難民認定審査不回付決定取消訴訟が起こされ、今回勝訴したので入国許可が出たのだ。

 ただ、彼は今後韓国にとどまってなにをするのだろう。最下層で国の庇護を受けるのか(日本の外国人に対する生活保護的には簡単にはならない)。さらに第三国で、彼を引き取ってまっとうな生活をさせてくれる国が現れるのか。

 ロシアになったとて、KGBみたいな組織がどの国にもあって、一般人であろう彼も瞬間で消されるかもしれない。一目置かれる守られる環境で生きられるといいけれども。

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