昨年末の『M-1グランプリ2022』(ABCテレビテレビ朝日系)で見事優勝を勝ち取ったのがお笑いコンビのウエストランド(井口浩之・河本太)。7261組の頂点に立った2人は現在、初の冠レギュラー番組『VSウエストランド』(ABCテレビ/毎週土曜24時5分)で毎週さまざまな企画に挑戦中だ。多忙を極める2人に、番組への意気込みや今後の展望などを語ってもらった。

【写真】衣装がオシャレ! 『M-1』王者・ウエストランドの撮り下ろしインタビューカット

■ 初の冠レギュラー番組 特に“共演したくない相手”は…


 『VSウエストランド』は、ウエストランドが『M-1』王者となった直後に発表された2人にとって初の冠レギュラー番組。河本が思いつきで命名した番組タイトルにちなんで、毎週ウエストランドが各界から送り込まれる刺客と対決。すでに放送された回では、テレビプロデューサーの佐久間宣行やお笑いコンビのオズワルド、ヨネダ2000らがゲスト出演している。

――初の冠レギュラー番組が現在放送中ですが、手応えのようなものはありますか?

井口:実際こうやって番組をやらせてもらえて、ゲストの皆さんやスタッフさんもがんばってくれているんで、ありがたいと思います。あと番組の中では『M-1』王者とは思えないぐらいめちゃくちゃにされています。

河本:もちろんうれしい気持ちはあるんですけど、僕じゃなかったらもっとできているんじゃないかとも思いますね(笑)。

――先日の放送ではボクシングに挑戦されていましたけど、河本さんがかっこよかったですよ。

河本:本当ですか? でもあの時もゲストで来てくれたオズワルドの畠中(悠)の素質が光っていて、僕は中途半端でしたよね。めちゃくちゃやられてもいないし。編集でおもしろくしていただいているんで。僕自身は一生懸命やってるつもりなんですけど、技術が伴わない。

井口:もしかしたらこいつ(河本)が降板する可能性がありますね(笑)。その穴を畠中に埋めてもらう。

河本:上位互換(笑)。

――ご本人が“上位互換”とか言わないでくださいよ(笑)。番組を通じて会ってみたい人や対決してみたい人はいますか?

井口:誰とも争いたくはないですよ〜。特に対決したくないのは、(『M-1』のネタでイジった)『R-1グランプリ』(関西テレビフジテレビ系)の出場者の人たちですね。お見送り芸人しんいちさんが何とか絡みたくて毎日のようにツイートしているんで、この番組には絶対出てこないでほしい…ってこれ本当にフリでも何でもないですからね(笑)。

河本:僕も誰とも対決はしたくないですけど、いつもお世話になっている(最近はソロキャンプYouTuberとしてブレイクしているピン芸人の)ヒロシさんを招いて一緒にキャンプしたいですね。

井口:もしその回があるなら僕は休みたいですね。興味がない(笑)。

■「誘ってないです。ついて来た」ウエストランド結成秘話

――お二人は岡山のご出身ですが、大阪のバラエティ番組というのはご覧になっていましたか?

井口:観ていました。昼は吉本新喜劇も放送していましたし、僕が岡山にいた頃は『吉本超合金』(テレビ大阪)が流行っていて、FUJIWARAさんと2丁拳銃さんが大スターでした。

河本:岡山って東京の番組と関西ローカルの番組がバランスよく観られる環境だったような気がします。

――そもそもお二人がコンビになったきっかけは?

井口:僕はちっちゃいときからずっとお笑いが好きで。芸人になろうと思ってましたし、誰といても「お前らコンビじゃん、吉本行けよ」みたいに言われていたんです。でもみんな段々進学とか就職でいなくなっていき、気づいた時には身近にどうしようもない奴しかいなかった(笑)。

――では井口さんから河本さんを誘った?

井口:いや、誘ってはないです。ついて来たというか。

河本:僕は目立ちたがり屋で、何でも良かったんです。楽器ができればミュージシャンになっていたでしょうし。井口がお笑いをやるって聞いて、それなら僕もやるって言いました。働きたくなかったんで、東京について行った感じっす。

井口:いかにも成功しなさそうな奴の考え方だなぁ(笑)。

■ 物議を醸した『M-1』優勝ネタ 唯一DMで褒めてくれた著名人は?


――『M-1』王者になって環境や生活がガラッと変わったと思います。

井口:僕はありがたいことに優勝前から忙しくさせてもらっていて、お仕事が1日に1〜2個ほどあったんです。でも、優勝してからは多い時は1日7〜8個ほどに増え、生活は一変しました。コンビでの仕事が増えましたね。

河本:僕の場合は優勝前は月2回くらいしかテレビの仕事がなかったんです。優勝してからはありがたいことに毎日テレビのお仕事があるので、これがずっと続けばいいっすけどねぇ…。

井口:お仕事があるのはありがたいことなんですけど、今はとにかく時間がない。芸人仲間と飲みに行くのが一番の楽しみだったんですけど、それができなくてエピソードも生まれない。その大変さはあります。

――『M-1グランプリ2022』で披露したネタは世の中のいろんな事象を井口さんが斬りまくるスタイルでした。優勝後に井口さんのSNSにお怒りのDM(ダイレクトメッセージ)が来ましたか?

井口:そんなのはめちゃくちゃ来ますね。

――逆に支持するような内容のDMは?

井口:『M-1』優勝とかしたら普通、タレントさんや著名人が「『M-1』面白かったよ」「ウエストランドさん、ファンになりました」と表明するものなんですけど、ネタがネタだっただけに誰一人表明していないんですよね(笑)。著名人では唯一、(AV監督の)村西とおるさんからだけDMが来ました。

――マジですか(笑)。なんて書かれていたんですか?

井口:「ウエストランドの漫才にはエロティシズムを感じる」とお褒めの言葉をいただきました(笑)。

■ 「漫才をやめる選択肢はない」 背景に大先輩・爆笑問題の存在

――今後の展望、目標を聞かせてください。

井口:テレビに出たくて芸人を始めたから、出続けることが目標で、それがずっとできればいいなと思っています。

漫才については、優勝後によく“これからも続けますか?”って聞かれるんですけど、事務所の先輩の爆笑問題さんがずっと新ネタライブでやり続けているんで、やるしかないんです。“漫才をやめる”という選択肢がない。爆笑問題のせいで新ネタを作り続けなきゃいけないんですよね(笑)。

河本:爆笑問題さんが新ネタをやり続けているから、自分たちもやらなきゃいけないっていうのはたしかにそうなんですけど、そもそも僕は漫才の労力が少ないんです。セリフは少ないですし、そもそもネタを書いていない。だから漫才をやり続けることに文句を言っちゃダメだと思っています。

井口:もしこいつに「ダルいっス」とか言われたら、それこそ一番腹立ちますけどね。今も“結構語ってるな”と思っていたぐらいですから(笑)。

(取材・文:スズキヒロシ 写真:大西二士男)

 『VSウエストランド』はABCテレビにて毎週土曜24時5分放送。TVerGYAO!・ABEMAで1週間見逃し配信。

ウエストランド(左から井口浩之、河本太)  クランクイン! 写真:大西二士男