監視カメラ

オーストラリアと中国の関係が冷え込むなか、オーストラリア政府は今月、国内各地の政府機関に設置されている中国製監視用カメラを全て撤去する方針を明らかにした。


■機密情報の漏洩を警戒か

撤去される監視用カメラは中国の機器メーカー「杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン・デジタル・テクノロジー)」と「浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)」が製造したもので、のべ900台あまりが一斉に撤去されるようだ。

オーストラリア政府は具体的な理由には言及せず、安全保障上の理由としか述べていないが、軍事や安全保障など機密情報が隠匿されるのを警戒した可能性が高い。オーストラリアと同様、米国とイギリスは昨年11月に中国製の監視用カメラの設置を禁止する方針を発表した。


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■日本も他人事ではない

日本も決して対岸の火事ではない。これは政権が進める軍民融合の一環だ。軍民融合とは簡単に言えば、民間によって製造された品々や技術が軍事的に転用されるということで、欧米諸国は近年、中国製品に記憶装置などが備え付けられ、画像や情報などが中国当局に渡ることを強く警戒している。

また、バイデン政権は昨年10月、先端半導体の技術が中国に渡って軍事転用される恐れを警戒し、対中半導体規制を強化した。これも民間によって製造された半導体製造装置などがハイテク兵器の開発に利用されるという、軍民融合を警戒するバイデン政権の行動である。


■中国製品への警戒が必要

1月、先端半導体の開発に必要な製造装置で高い世界シェアを持つ日本もこの規制に加わることが分かった。製造装置を中国に売れば企業は儲かるわけだが、それによって数年後、数十年後に日本の安全保障を脅かすとなれば、規制は強化するべきだが、軍民融合は日本にとっても身近な問題である。

最近は気球の問題が話題になっているが、社会に出回っている中国製機械製品に対する警戒度を上げる必要があると思う。

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(取材・文/セレソン 田中

オーストラリアが中国製の監視用カメラを撤去 日本も他人事ではない?