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Aクラス・Bクラスがマイナーチェンジ

執筆:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)

2月27日メルセデス・ベンツ日本は、コンパクトモデルの「Aクラス」、セダンの「Aクラス・セダン」、およびマルチパーパスカーの「Bクラス」をマイナーチェンジして発売した。

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ここでは、AクラスとAクラス・セダンの改良について紹介していこう。

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改良新型メルセデス・ベンツA 200 d(AMGライン/ローズゴールド)    AUTOCAR JAPAN

Aクラスは、1997年に登場した初代と2004年に登場した2代目は、ユニークなトールワゴンスタイルだったが、2012年に発売された3代目からは一転、背の低いスポーティなハッチバックモデルとなった。

2018年に発表された現行型も、そのスタイリングを踏襲している。また、2019年には4ドアセダンのAクラス・セダンも追加設定された。

初代・2代目は、その独特のスタイルからライバルのいない存在だったが、3代目からはジャーマンスリーのプレミアムコンパクトがガチなライバルとなる。つまり、BMW 1シリーズとアウディA3だ。

また、モデルチェンジのたびにクオリティを上げてきた、Cセグメントのベンチマークであるフォルクスワーゲン・ゴルフや、ボルボV40などもライバル車種となっている。

新デザイン/内装 AMGラインは?

今回のマイナーチェンジでは、内外装のデザインが刷新された。ボディサイズは、全長4430×全幅1800×全高1440mmだ。

まず外観では、ボンネットにパワードームを備え、サメの尖った鼻先を想わせる前傾したフロントエンドにシャープさを強調。ヘッドランプは水平基調となった。

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改良新型メルセデス・ベンツA 200 d(AMGライン)    AUTOCAR JAPAN

オプションの「AMGライン」では、マットクローム仕上げの小さなスリーポインテッドスターが散りばめられたシングルルーバーのグリルを採用(標準仕様はブラック仕上げ)。さらに、両サイドに大口径のエアインテークを配置し、アグレッシブかつパワフルなフロントバンパーが特徴となっている。

リアもLEDテールランプを水平基調にし、新デザインのリアディフューザーでスポーティなリアビューを演出。

内装は、新世代のステアリングホイールを採用し、「AMGライン」では3本のツインスポークとなる。ディスタンスアシストディストロニック使用時のハンズオフ検知機能は、リムに静電容量式センサーを備えるパッドを新たに搭載。これにより、ステアリングホイールにかかるトルクがなくとも、ドライバーが握っていることが認識されて使い勝手を向上している。

さらに、センターコンソールに設置していたタッチパッドを廃止し、車内はすっきりとした空間になった。

日本仕様のパワートレイン/装備

従来の日本仕様は、1.4Lターボ、1.4Lターボ+モーター(PHEV車)、2Lディーゼルターボが設定(AMGを除く)されていたが、今回のマイナーチェンジではPHEVがラインナップを外れ、純エンジン車に絞って導入を始めた。

「A 180」に搭載されるのは、1.4L直4ターボのM282型。デルタシリンダーヘッドを採用した軽量・省スペースのエンジンで136ps/20.4kg-mを発生。

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改良新型メルセデス・ベンツA 200 d(AMGライン/ローズゴールド)    AUTOCAR JAPAN

「A 200 d」は、2L直4ディーゼルターボのOM654q型。可変タービンジオメトリーのターボを採用し、最高出力は150ps、最大トルクは32.6kg-mを発生する。

組み合わされるトランスミッションは、いずれもガソリン車が7速、ディーゼル車が8速のDCT。駆動方式はFFのみだ。

装備では、最新世代の「MBUX」を採用。音声認識で多くのインフォテインメントや空調の操作などに対応する。

ナビゲーションは、Cセグメントで初めてMBUX AR(拡張現実)ナビを採用し、車両の前面に広がる現実の景色がナビ画面の一部に映し出され、進むべき道路に矢印が表示される(A 200 dに標準/A180にOP設定)。

「A 200 d」には、「アダプティブハイビームアシスト」や、計10スピーカー、225W出力の「アドバンストサウンドシステム」も標準装備。なお、同システムは「A 180」にOP設定されている。

価格は? 輸入車コンパクトクラスの今後

改良新型Aクラス、Aクラス・セダンの日本価格は以下のとおり。

ちなみにカッコ内はマイナーチェンジ前の車両価格だ。

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改良新型メルセデス・ベンツAクラス・セダン/Aクラス(欧州車)    メルセデス・ベンツ

A 180:498万円(440万円)
A 200 d:558万円(502万円)
A 180セダン:505万円(452万円)
A 200 dセダン:570万円(512万円)

いずれも、およそ50万円ほどの値上げとなっている。

メルセデス・ベンツ日本に限らず、多くのインポーターや国産車メーカーにおいても、原材料費の高騰などの影響で、マイナーチェンジや一部改良のたびに車両価格は引き上げられている。たとえばA 180では従来型比で13%以上の値上げとなり、購入を考えている人にはインパクトの大きい金額差だ。

さらには、ドイツの経済誌によれば、メルセデス・ベンツはAクラスとBクラスの生産を2025年に終了し、後継モデルは作らないと報道されている。ただし、「GLA」「GLB」といったSUVは人気があるために継続生産されるようだ。

Aクラス、Bクラスでユーザーの間口を広げたメルセデス・ベンツだが、収益性の低いモデルはやめ、収益性の高いモデルやEVにシフトしていく。メルセデス・ベンツのこうした「量より質」への転換は、ジャーマンスリーの他2ブランドをはじめ、多くのプレミアムブランドに影響を与えていくことは間違いなさそうだ。


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