30代、40代、50代......。少しずつたるみ、衰えていく体に戦々恐々とする日々。そんな後ろ向きな毎日を打破するべく、日本一美しく、ちょっぴりＳな現役薬剤師・福井セリナが、あなたの体のお悩みを解決します！ 第62回のテーマは「花粉症の根本治療」です。
【今週のお悩み】今年も花粉の季節がやってきてしまいました......。2月中旬あたりから鼻水はとめどなく流れ出るわ、目だけでなく顔全体がかゆいわで、散々です。ここ数年は病院で薬をもらうようにしていますが、毎年この季節に病院に行かなきゃいけないのが面倒くさいです。どうせならちゃんと治したい！（37歳・会社員）
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薬剤師・福井セリナ
日本気象協会の予想によると、今年は花粉の飛散量が昨年を超える場所が多いそう......。
相談者さんのように毎年病院に行って薬を処方してもらったり、市販のお薬を使うのも手です。でも、毎年同じことの繰り返しでウンザリしていたり、そもそも薬があまり効かない人も少なくないのでは？
そこで検討してみてほしいのが、根本治療。そう、いまや花粉症は治せる時代なんです！
全般的な花粉症予防については昨年の記事で解説したので、今回は近年のトレンドになっている治療法を解説します。
福井セリナが花粉症対策について解説
＜花粉症の根本治療＞
①「特異的」減感作療法
②「非特異的」減感作療法
①「特異的」減感作療法とは？
花粉やハウスダストなど、症状の原因になっているアレルゲン物質を少量ずつ注射することで体を慣れさせ、アレルギー症状を抑える方法です。特定のアレルゲン物質に対して効果があります。
ほとんどの人が対症療法の飲み薬を飲まなくてよくなったり、飲む回数を大幅に減らせると言われています！
少し小難しい話になりますが、通常、体の中の「IgE抗体」という免疫細胞がアレルギー物質とくっつくことで、鼻水、くしゃみ、じんましんなどが起こります。この治療法をすると、代わりに「IgG抗体」という免疫細胞ができて、IgE抗体よりも先にアレルギー物質とくっついてくれるので症状が出ないというわけです。
●治療法
・アレルゲンエキスを最初の6～12カ月間、週に1回、皮下注射します。
・免疫がつき次第、2週に1回、3週に1回、そして月1回と頻度を減らしていきます。
・免疫維持のため、その人にあった最大量の注射を1～4カ月に1回、定期的に数年にわたって続けます。
・症状改善、消失後も、3～5年間続けて根治をめざします。
●費用
保険適用で、１回の注射は200～1000円くらい
●デメリット
根治を目指せる一方で、治療の効果が現れるまで、（治療開始から）数カ月～1年とかなりの時間がかかります。「次のシーズン以降の症状を少しずつ軽くしていくための治療」と考えたほうがいいでしょう。
また、花粉症に対しての有効率が70％程度なので、効かない人も一定数います。
②「非特異的」減感作療法（ヒスタミン加人免疫グロブリン注射）とは？
シーズンごとに注射を打つ方法なので、「通年で通うのはちょっと......」という人はこちらがいいかも。また全部のアレルゲンに効果があるので、アレルギーが多い人にもオススメです。
抗ヒスタミン作用（アレルギーを抑える作用）をもつ「ヒスタミン加人免疫グロブリン製剤」を皮下注射します。
国内の献血を利用したヒト由来物質なので、副作用がおきにくいのがメリットの一つ。こちらは特異的減感作療法よりも即効性があり、花粉のシーズンに入ってからでも効果が期待できます。
●治療法
・週1～2回・6週間を1クールおこないます（十分な効果が得られない場合はもう1クール）
●費用
保険適用で、1回の注射は400～1200円くらい（濃度による）
●デメリット
有効率は50～70%なので、効かない人も一定数います。
また妊婦さんなど、禁忌となり投与できない人がいます。
治療の選択肢を知っておくことは大切ですよね♡
「お薬で十分！」という人には必要ないと思いますが、根治を目指したい人は一度、やる価値があるかどうか検討してみるといいと思います。
＜今週の教訓＞花粉症は治せる時代！ 減感作療法でツラ～い症状とさようなら♡
福井セリナ（ふくい・せりな）
1994年5月23日生まれ 新潟県出身
○慶應大学薬学部卒で現役薬剤師のタレント。都内の調剤薬局に勤務しながら、タレント活動やコラム執筆などマルチに活動している。2022年4月より文化放送『カラフルブーケ』パーソナリティーを務める。
公式Twitter【@serina_fukui】
公式TInstagram【@serina_fukui
取材・文／鴨居理子 撮影／市村円香
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