なぜ今資産運用が必要?

今日から始める資産運用基本の「き」【NISAも国債もiDeCoも初心者に詳しく解説!】の画像一覧

以前よりもかなり身近になった資産運用・投資。以前のギャンブル的な投資スタイルも残ってはいるものの、今の主流は初心者でも始めやすい“コツコツスタイル”になっています。

Part1 なぜ今資産運用?

その理由は大きく3つあります。順を追って解説しましょう。

①今は始めやすい時代
2022年より高校で金融教育の授業がスタート。月100円前後で始められる商品も増え、より身近に!

②超低金利時代だから
今の銀行の普通預金の金利は年率0.001%。銀行に預けているだけではお金はほとんど増えません。

インフレ・円安続き
今は現金や預貯金の資産が目減りするインフレ時。円安も物価上昇の原因となり、現在はWパンチ状態に。

ひと昔前と比べて投資関連のニュースや情報を目にする機会は段違いに増えました。
「今は資産運用がしやすい時代」とファイナンシャルプランナーの西山美紀さんは話します。

ファイナンシャルプランナー 西山美紀さん
出版社に勤務後独立しFPの資格を取得。マネーなどをテーマに執筆を行い、『お金の増やし方』など著書多数。All About貯蓄ガイド。

インフレや円安、上がらない賃金など、いろいろな要素が複合的に重なった結果、みなさんが投資に目を向けるようになったと思っています。資産運用のシステムも昔より格段に始めやすくなりました。投資信託は、20年ほど前は1万円が最低購入金額でしたが、今は月100円から始められます。ネット証券やスマホの普及で、気軽に口座を開けるようになったのも大きいですね。とはいえ、資産運用はリスクも伴います。特に短期的に儲けようとすると大体失敗します。なので、今は大きな失敗がないように、少額を積み立てて長期間運用するのがトレンド。月100円なら始めやすいと思うので、まずは少額からスタートして、ダメージが少ないところで相場の上がり下がりを経験しながら勉強していくのがいいかと思います」(西山さん)

資産運用をはじめる前に必要な3つの準備!

では、資産運用を開始するにあたってどんな準備が必要でしょうか? 

①口座を開く
資産運用をするには、証券会社に口座を開くことが必要です。銀行でも金融商品を購入できますが、証券会社のほうが種類が多く選択肢が広い。なかでもおすすめはネット証券。店舗に足を運ばず無料で口座を開設でき、各種手数料も安く、窓口で話を聞くプレッシャーがゼロだから気楽に始められます。代表的なネット証券は、SBI証券、楽天証券、マネックス証券など。

②預貯金を見直す
今の預貯金額、毎月の給料、生活費を計算し、投資に回す金額と残しておく金額をあらかじめイメージすると安心。理想としては手取り月収の半年~1年分は使わずに残しておきたいところ。ただ、積み立て投資の場合、毎月の積み立て額は基本的に途中で変更できるのできっちり決めなくてもいい。月100~1,000円など少額なら貯金に関係なく始めてOK!

③基本の用語を知る
新聞や専門誌に目を通すかたちでもいいので、いくつかの用語を覚えておきましょう。

インデックス
株式市場の値動きを表す指数に合わせて運用するスタイル。コストが安いのが魅力。

●アクティブ
指数を上回ることを目指して積極的に運用するスタイル。手間がかかる分、コストが高め。

●信託報酬(手数料)
投資信託を持っている間発生する。商品によって、0.1%~3%程度などと実にさまざま。

まずはこの3つを押えておきましょう!

「つみたてNISA」ってなんだ!?

Part2 「つみたてNISA」ってなんだ!?

つみたてNISAは20年間税金がかからない非課税制度のこと。

NISAのイメージ

NISAは、大きく分けて「一般NISA」と「つみたてNISA」に区別されます。つみたてNISAは、運用できる期間が20年間と長いのが特徴(一般NISAは5年間)。また、購入できる商品は金融庁に届け出を出し受理された投資信託のみとなります。

銘柄選びも大切な要素。迷ったら全世界に注目

2014年からスタートしたNISA。なかでも「つみたてNISA」は、投資初心者の最初の一歩として大注目されています。
けれど、つみたてNISAについてはまだまだ誤解されている部分も。そこでファイナンシャルプランナーの西山美紀さんに解説してもらいました。

「つみたてNISAは制度名なので、購入する商品名ではありません。つみたてNISAを始めるとは、『つみたてNISAの制度を利用できる投資信託の銘柄を購入すること』を意味します。銘柄はたくさんあって、最初はどれを購入したらいいか、わからない人も多いと思います。迷ったときは『全世界株式』という名前が入った銘柄から選ぶのがおすすめです。また、銘柄を購入すると運用報告書が定期的にメールなどで送られてきます。それを読むといろいろわかってくるので、まずは少額から始めてみるとよいと思います」(西山さん)

つみたてNISAはこんな人向き!

●利益はたくさん出なくてもいいかわりに、リスクを抑えて堅実に運用したい人。
●基本的にお金を積み立てたら、自分は値動きなどを気にせずほったらかしでいたい人。
●収入の波が激しく、毎月の積み立て額をフレキシブルに変更して、調整したい人。

「iDeCo」(イデコ)ってなんだ!?

Part3 「iDeCo(イデコ)」ってなんだ!?

iDeCoは節税メリット◎の年金制度。

正式名称は「個人型確定拠出年金」。掛金を積み立てて運用すると60歳以降に引き出せる国の私的年金制度のことです。
①積み立て金は全額所得控除
②利益は非課税
③受け取るときも税制優遇される
など、節税メリットが大きいのが特徴です。

iDeCoは掛金は1万円以上で運用していくのがコツ

国民年金の支給額が減り続けていることによって私的年金が注目されるようになりました。私的年金とは公的年金に上乗せする制度。その代表格がiDeCoです。大きな流れはつみたてNISAと同じだけれど、iDeCoを始めるにはコツがあると西山さんは言います。

「つみたてNISAと違うのが毎月の手数料がかかること。手数料は掛金から差し引かれて、残りのお金が運用にまわることになります。運用資金が少ないと“手数料負け”するため、できれば1万円以上など、少し多めに積み立てることをおすすめします」(西山さん)

個人型確定拠出年金の仕組みのイメージ

個人型確定拠出年金の仕組みのイメージ

①掛金を60歳まで積み立てる。
②運用会社が掛金を運用し、利益を生み出すのを目指す。
③60歳以降の受け取り時期に、掛金の全額+運用益がもらえる(選んだ商品によって元本割れの可能性もあり)

iDeCoの2大ストロングポイント

①節税になる
年収に関わらずお金は戻ってくるが、年収が多いほど所得税率が高くなるため、控除額が増えてより節税になる。

iDeCoの節税効果

※iDeCo公式サイト「かんたん税制優遇シミュレーション」にて試算。社会保険料は年収の14.39%として計算。会社員の場合。

②利益はタックスフリー
投資で得た利益は通常20.315%の税金がかかるが、iDeCoはすべて非課税。大きな利益が出るほどお得になる。

iDeCoの利益はタックスフリー

※『お金の増やし方』(主婦の友社/西山美紀著)より転載。

iDeCoはこんな人向き!

●自分の預貯金や退職金、国民年金だけで老後の生活費が賄えるか、不安に感じている人。
●収入がある程度あり、サラリーマンでもできる節税を考えている人。
●フリーランスで退職金がなく、老後のために貯金するだけでなく少しでも増やしたい人。

iDeCoとつみたてNISAはどう違う?
大きな違いは途中解約とお金の引き出し。iDeCoは途中脱退不可、60歳まで引き出し不可。

「個人向け国債」ってなんだ!?

Part4 「個人向け国債」ってなんだ!?

個人向け国債は最低金利保証ありで安心感◎。

個人向け国債の仕組み

国が個人向けに発行する債券のこと。購入すると半年ごとに利子を受け取れ、満期になると元本が戻ります。固定金利(3年・5年)と変動金利(10年)があり、どちらも最低金利0.05%を保証してくれます。

数年使う予定のないお金の安心な使い道のひとつに

資産運用・投資にはどうしてもリスクがつきまとうけれど、安心して投資をしたいなら個人向け国債がおすすめです。一番のメリットは国の債券という安心感。満期が来たら元本が戻ってくる上に、例え中途換金をしても元本割れする心配がありません。そのため、安心してまとまったお金を使う人もいると西山さんは言います。

「子どもの教育資金の運用に活用する人もいます。満期前に資金が必要になり、中途解約する際は、直近2回相当分の利子がペナルティで差し引かれますが、元本が割れることはないのも魅力ですね」(西山さん)

個人向け国債の仕組み

国の債権ならではのメリット

国が債券を発行し、投資者は金融機関を通して債券を購入する。積み立てではないので一度購入したら基本は満期までほったらかし。

個人向け国債はこんな人向き!

●受け取る利子は少なくてもいいから、投資した額がマイナスになりたくない人。
●5年~10年先ぐらいに使う予定のまとまったお金があり、それを銀行に預けている人。

いかがでしたでしょうか?
みなさんも大切な資産を守るために、一緒に頑張りましょう!

※当記事はMonoMax2022年9月号から抜粋。一部加筆・訂正を加えた箇所もあります。
※投資・運用はすべて元本を保証するものではありません。必ずご自身の判断で行ってください。

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