2月22日〜26日の5日間にわたり、神奈川県横浜アリーナで行われた乃木坂46のデビュー11周年記念公演「乃木坂46 11th YEAR BIRTHDAY LIVE」(以下、11thバスラ)が閉幕。最終日DAY5の公演で“最後の1期生”となった秋元真夏が卒業、3月28日の卒業を控える“最後の2期生”鈴木絢音が最後に立つ“バスラ”とあり、開幕前から大いに注目された。一方で、グループ初期を築いたメンバーの卒業を起点に、今後のグループを託される3期生〜5期生にとっては試金石となる公演に。3月1日〜5日の「11thバスラ」リピート配信に先駆けて、注目のメンバーを振り返る。

【写真】「乃木坂46 11th YEAR BIRTHDAY LIVE」5日間の名シーンを一挙振り返り!

■「自分の足で立っていかなきゃ」菅原咲月が示した5期生の覚悟


 2022年2月の加入からわずか1年。レギュラー番組のイベント「新・乃木坂スター誕生!LIVE」を除き、グループ枠内で初めての単独公演を託された5期生は、キャリアの短さを感じさせない活躍を見せた。加入直後から1期生、2期生の卒業が相次ぎ、彼女たちはこの1年で“即戦力”としての活躍を求められていた。そのプレッシャーは図り知れなかったのはいうまでもない。しかし、メンバーは確実に成長していた。

 初の5期生曲「絶望の一秒前」でセンターを務める井上和や、同じく5期生曲「17分間」でセンターを任された川崎桜(崎は正式には「たつさき」)らも存在感を示す中、頭角を表したのは5期生曲「バンドエイド剥がすような別れ方」でセンターを託された菅原咲月だった。

 最終日のDAY5公演「秋元真夏 卒業コンサート」の壇上で秋元を前に大粒の涙を流した菅原は「11thバスラ」の期間で「私たち5期生が一番、今は後輩なんですけど、先輩方に甘えずに、私たちも自分たちの足で立っていかなきゃいけないんだなと、すごく感じて」と吐露。その覚悟は、23日のDAY2公演「5期生ライブ」でセンターを託された歴代楽曲「ジコチューで行こう!」、序盤を1人で任されたユニット曲「孤独兄弟」などのパフォーマンスからも、十分に伝わってきた。

■4期生は休業中の掛橋沙耶香を含む16人で中核を担う


 5期生が加入わずか1年で“急成長”を遂げた一方、彼女たちの存在に触発されたかのように、たくましくなったのが4期生だった。初めての後輩を迎え入れ、2022年5月の「10th YEAR BIRTHDAY LIVE」、同年7月〜8月に行われた「乃木坂46 真夏の全国ツアー2022」を経た先での「11thバスラ」。メンバーはステージ上で堂々とした姿を見せつけていた。

 24日のDAY3公演「4期生ライブ」のMCでは、ユニークな発言で知られる弓木奈於が「中間管理職」を「中間色」と言い間違えて笑いを誘う場面もあったが、彼女の発言には納得できる。グループのけん引役となる3期生を支え、後輩の5期生を育て上げる役割となった今、自分たちが“グループを引っ張らなければ”という責任や重圧もひとしおなのだろう。

 しかし、彼女たちにもはや不安はなかった。「好きというのはロックだぜ!」で鮮烈なあおりを客席へと浴びせた、同曲センターの賀喜遥香。ステージで安定のMC力を発揮していた田村真佑ら、自身の個性を生かして活躍の機会をしっかりとものにできるメンバーばかりだ。「4期生ライブ」で披露した4期生曲「4番目の光」直前のMCでは、遠藤さくらが療養のため休業中の掛橋沙耶香を含む1人1人の同期に対する思いを述べたが、16人のメンバーが、今後のグループで中核を担うのは間違いない。

■新キャプテン・梅澤美波を中心に決意を示した3期生


 25日のDAY4公演「3期生ライブ」は、決意に満ちていた。幕開けを飾ったのは、白石麻衣卒業後初のシングルで、グループの分岐点となった26th表題曲「僕は僕を好きになる」。センターを務める山下美月、彼女を左右で支えるフロントメンバーの“3代目キャプテン”梅澤美波久保史緒里トライアングルを中心とした3期生のフォーメーションは、神々しくさえ感じられた。

 2016年9月のお披露目から約6年半。初日のDAY1公演「全体ライブ」で、“2代目キャプテン”秋元から大役を受け継いだ梅澤は「すごく重みのあるバトンを受け取った」と語った。しかし、強く見える彼女も不安を抱えていた。壇上では「加入してからずっと(桜井)玲香さんと真夏さんの姿を近くで見てきて、副キャプテンに就任してからは『もしかしたらその役割を自分が担う日が来るのかもしれないな』と、気持ちを強く固めていました。でも、キャプテンだと言われたときにすごく動揺している自分がいて」と告白。弱さを見せる彼女に、観客は熱い声援を送っていた。

 “最後の2期生”鈴木絢音の卒業後は、1期生、2期生が不在となるグループ。梅澤のプレッシャーは想像にたやすいが、彼女には頼もしい仲間がいる。今回の「11thバスラ」では、加入当初は最年少だった岩本蓮加、山下が鬼気迫るあおりで観客を鼓舞し、佐藤楓や吉田綾乃クリスティーらが躍動する場面も印象に残った。

 2011年8月の結成から約11年半が経過し、乃木坂46は大きな分岐点に立っている。秋元は卒業コンサートのスピーチで「世代交代が難しいと言われてる大人数のアイドルグループですけど、乃木坂はちゃんと世代交代ができたんじゃないかなって、自信を持って言えます」と後輩メンバーたちの成長に胸を張った。彼女たちの未来は明るい。3期生〜5期生が互いの手を取り合い、グループはなおも走り続ける。(文:カネコシュウヘイ)

「秋元真夏 卒業コンサート」 (C)乃木坂46LLC