誰にとってもYouTubeはもはや手放せない存在だ。多種多様なYouTuberが人気を集めるなか、男女の恋模様を動画にして共有する“カップルYouTuber”というジャンルも盛り上がりを見せている。リアルな男女の恋愛の様子から、友達のような関係のビジネスカップルまで、まるで友達の恋愛談を聞くような感覚で楽しめるカップルチャンネルは、若い世代を中心に人気を博している。

 普通の大学生と会社員だったカップルから、登録者数20万人を誇る人気クリエイターへと転身した「ともかほちゃんねる」が、自らカップルYouTuberにまつわるアレコレを語るエッセイ連載『カップルYouTuberと○○』をスタートさせる。

 ルーティン・料理・旅行・同棲の悩みなど、生活感に溢れた同棲カップルの日常コンテンツを中心に投稿し、その等身大の姿が視聴者からも共感を集めている2人は、カップルYouTuberをどのように考えているのか。第一回は先日入籍を発表し話題となった2人に、「カップルYouTuberが結婚を決めるタイミングとは?」というテーマを投げかけてみた。

かほ:はじめまして。今回から連載をスタートする、「ともかほちゃんねる」のかほです。

ともや:「ともかほちゃんねる」のともやです。

かほ:私たちは、いわゆる「カップルYouTuber」としてYouTubeに動画を投稿しています。追々説明させていただきますが、一口に「カップルYouTuber」といってもさまざまなタイプのクリエイターがいて、私たちのように本当にお付き合いしている2人もいれば、“ビジネスカップル”を公言しているチャンネルもあって、内容もさまざま。ドッキリを中心にバラエティ豊かな企画動画を投稿する“ザ・ユーチューバー”的な方々もいれば、カップルの日常にフォーカスしたリアルさが共感を呼んでいるチャンネルもあります。私たちは後者のチャンネルで、元OLで年上彼女のかほと、大学生の年下彼氏ともやの“等身大の同棲カップル”のリアルな日常をお届けするスタイルで活動しています!

ともや:初回なのでもう少し自己紹介をさせていただくと、YouTubeを始めたのは4年前。もともとはInstagramでイラストエッセイを出していたんです。その後、YouTubeチャンネルではゲーム実況を最初に投稿して、2カ月後くらいに実写動画の投稿を始めました。1本目に投稿した動画「年下彼氏から見たリアルすぎるOL彼女の朝【モーニングルーティン】」が好評をいただき、現在もYouTubeを続けています。最初は葛藤もあったよね?

かほ:そうだよね。最初にYouTubeで自分たちの生活を映し出すことは、やっぱり勇気が要りました。カップルとしての「顔出し」にリスクを感じる方も少なくないと思いますが、私たちは表情まで映したほうが感情がもっと伝わると考えて、ありのままを公開することにしたんです。

■「カップルYouTuber」と「結婚」

ともや:そんな僕たちは、2月8日に入籍をしました。「カップルYouTuber」として活動する僕たちが、どのように「結婚」という決断をしたのか。今回はそんなテーマでお話をしていこうと思います。

かほ:実は、プロポーズ自体は1年前の2月8日。付き合って5年の記念日のときにしてくれたんだよね。YouTubeで大々的に、ではなく、本当にぽろっと。

ともや:その辺りは、YouTuberである前に人として向き合ってきた2人だし、活動内容もリアルな日常をお送りするものなので、飾ることもなく。おかげさまで収入も安定してきたし、結婚自体はしたいと思っていたので、迷いはなかったんです。

かほ:私としては結婚はそんなに急いでいなかったんですが、私の方が年上だから、ともやにとってプレッシャーになったら嫌だなと思って、あまり結婚の話題は出してこなかったんです。むしろ、逆プロポーズをするのが年上彼女っぽくていいんじゃないかと。その矢先にプロポーズされて、本当にうれしかったし、安心しました。言いづらかったら逆に言ってやろうと思っていたよ(笑)。

ともや:「カップルYouTuber」の結婚は当然、活動に大きな影響をもたらします。僕らもずっと考えていたのは、視聴者目線で「結婚すれば、“カップルの日常”を求めていた人たちは離れていってしまうのではないか」ということ。

 カップルYouTuberというのは、「この2人はもしかしたら別れてしまうのではないか」「ビジネスカップルなのに本当に恋をしてしまうのでは」という不安定なところ、危うさも込みで楽しまれている部分があったりもするんです。例えば、「別れ話ドッキリ」のような動画は、カップルだからこそ視聴者にとってもスリルがあり、ハラハラして楽しめる。夫婦になってからの「離婚ドッキリ」は視聴者も笑えませんよね(笑)。

 そういうこともあり、2人のストーリーとしても、カップルYouTuberにとっての結婚は、ひとつの「ゴール」という側面もあると思います。もしかしたら、本当はもう入籍しているのに言い出せない夫婦YouTuberもいるかも……と思ってしまうくらい、クリエイターとしても重要な決断です。僕らはもちろん、結婚というひとつのゴールを迎えたことで、視聴者のみなさんが離れていくようなチャンネルにはしないぞ、と考えています。

かほ:その意味で、私たちがYouTuber活動への影響を懸念して結婚を躊躇うということがなかったのは、やっぱり「ともかほちゃんねる」の性質も大きかったかもしれません。リアルな日常を届けるという形で活動している以上、自分たちのタイミングで結婚ができないなんて本末転倒ですし、無理やりドキドキハラハラさせる企画も全くやってこなかったので、「夫婦YouTuber」になっても好きでいてくださる方は多いんじゃないかなって。むしろ夫婦になったことを前向きに活かして、どんな方向性になったとしても活動を続けられるような環境を目指しています。

■「夫婦YouTuber」になったメリットとは

ともや:リアルな生活を発信していく活動スタイルでひとつの難点だったのが、視聴者の方々と一緒に共有できる大きなお祝いごとがあまりなかった点です。つまり、基本的に自然に生活しているぶん、盛り上がるタイミングがとても限定的で、これまでだと、初めて顔出しをしたときや、チャンネル登録者数がキリのいい人数を突破したときくらい。ここ最近はずっとそういった機会を作ることができていなかったので、今回の結婚を機に、視聴者の方々と一緒にお祝いができる機会を作れたのは、すごくいいことなのかなとも思ってます。

かほ:そして結婚したことで2人の未来の話をすることが増えたことも、「ともかほちゃんねる」にとって前向きなことだと思います。今後の人生設計といいますか、「何歳までにこうなっていたい」「 いつまでにあの場所に行ってみたい」といった長期的な目標を立てるようになって、お互いの意見をかわす機会も増えました。“カップルあるある”かもしれませんが、無意識に先々の話をすることは避けていたところもあったかもしれなくて、視聴者の方々と先の目標を共有する楽しさも生まれると思います。

 あとは、現実的なところでお金の話も増えました(笑)。これまでも同棲してお金は一緒に管理していたのですが、夫婦のリアルなお金の管理などは視聴者も興味があるかもしれません。リアルな生活を届ける上で、そういったシビアな動画も今後、出していきたいなと思っています。

ともや:カップルYouTuberとしてスタートをし、現在結婚するまでに感じたことや学んだこと、これから夫婦としてYouTubeを続けていくにあたって考えている目標や未来を自分たちなりに伝えられたらと思い、この度連載を引き受けさせていただきました。動画と同じように、ありのままを伝えていきながら、同じクリエイターだったり、カップルや夫婦だったり、誰かの参考になるようなことが発信できたらと思っています。

かほ:私たちのYouTubeチャンネルでは、自分たちの楽しい思い出を残しながら、視聴者の皆様に共感を得てもらえるような動画を投稿しています。ぜひご覧いただけると嬉しいです。

(構成=安田周平)

ともかほちゃんねる(写真=MANAMI)