電動キックボードなどを想定した自動車の新区分「特定小型原付」のナンバープレートについて、その詳細が明らかになりました。現行の原付ナンバープレートよりも大幅に小さい超ミニサイズ。“過渡期の運用”も想定されています。

特定原付用ナンバープレートの仕様固まる

2023年7月1日から改正道路交通法(道交法)が施行され、電動キックボードなどを想定した自動車の新区分「特定小型原付」が誕生します。その特定小型原付用の“ナンバープレート”についても、仕様が固まってきています。

「一般原付(既存の原付)と特定小型原付のナンバープレート大きさ比較 だいぶコンパクトになります」

Twitterで2月28日にこうツイートしたのは、電動キックボードを販売するSWALLOW合同会社(川崎市高津区)。同社は総務省が公表している特定小型原付ナンバープレートの仕様をもとに、サンプルを3Dプリンターで作成し、その写真を投稿しました。

その大きさは10cm×10cmと原付ナンバープレートより大幅に小さくなります。実際には白色のプレートで、そこに濃紺色で自治体名、ひらがな1文字、4ケタ数字が配置されます。

総務省自動車税企画局はこの小さなナンバープレートについて次のように話します。

「(電動キックボードなどの)シェアリングサービス事業者から、小型のナンバープレートへの要望があり、警察庁国土交通省と協議のうえ決定しました。17cm×20cm幅の原付ナンバープレート電動キックボードには大きく、プレートが地面にすれて曲がっているケースもあるなど、安全上の課題がありました」

こうして小さなナンバープレートが新設されることになりましたが、その板面の様式は、実は2種類あります。

ほとんど「自賠責のシール」で覆われる?

特定小型原付ナンバープレートの2種類の仕様は、次の通りです。

(1)プレート上部に自治体名(5文字想定)、下部にひらがな、数字4ケタを配置。うち下2ケタは大きな数字。
(2)プレート下部に自治体名(7文字想定)、その下段にひらがな、数字4ケタ(全ての数字が同じ大きさ)を配置。

このどちらを採用してもよいそうですが、「(2)については7文字の自治体名を想定したデザインです。(1)の一部の数字が大きいのは、この数字を大きくするというより、ひらがなと上2ケタを小さくすることで、自賠責のシールを貼る位置を確保しています」(総務省自動車税企画局)

自賠責のシールは一般的な原付ナンバープレートと同じく3.5cm×3.5cmを想定しているとのこと。(1)(2)どちらも、この小さなプレートのど真ん中に近い位置に自賠責のシールが貼られることになりそうです。

実際どう交付される? “過渡期の運用”も想定

総務省自動車税企画局によると、車両の登録とナンバープレートの交付は原付と同じく自治体の役所で行うことになるといいます。軽自動車税の額も、50cc原付と同じく年2000円とのこと。

ナンバープレートの交付は改正道交法が施行される7月1日から。ただし初回課税は2024年4月1日になるといいます。

ただ、一部の自治体では、このナンバープレートの発行準備が間に合わないことも想定される模様です。

たとえば「LUUP」などは、シェアリングサービスの電動キックボードを特定小型原付へ移行することを表明しており、既存車両の登録自治体では、特定小型原付への切り替えが一気に集中することも考えられます。加えて、SWALLOW合同会社によると、このナンバープレート電動キックボードに取り付けるには専用のステーを作成する必要があるとのこと。つまりメーカー側も対応に追われる可能性があるのです。

そこで、国土交通省が定める特定小型原付の「性能確認済みシール」が活用される可能性があります。総務省自動車税企画局によると、もしかしたら、性能確認済みシールにて特定小型原付であることを証明するという暫定的な運用もあり得るということでした。

SWALLOW合同会社で試作した特定小型原付ナンバープレートのサンプル。実際には白いプレートになる(画像:SWALLOW合同会社)。