3月24日(金)夜11:30よりWOWOWプライムにて放送がスタートする「連続ドラマW-30『ウツボラ』」。ロケ地となった愛知県蒲郡市で、主演の前田敦子、共演の北村有起哉、プロデューサーで脚本を務めた井上季子が登壇する特別試写会が開催。集まった地元の観客を前に、前田と北村がロケの思い出を振り返ったコメントが到着した。

【写真】ロケ地・蒲郡に再び帰ってこられたうれしさを語る前田敦子

■美しい双子を巡る心理サスペンスドラマ

ウツボラ」は、「このマンガがすごい2011」第7位にランクインした中村明日美子の漫画を原作に、謎の死を遂げた女性とその双子の妹、そして盗作に手を染めた作家が繰り広げるサスペンスドラマだ。美しい双子の朱と桜を前田敦子が一人二役で演じ、彼女たちに翻弄される作家・溝呂木舜役を北村有起哉が務める。物語を彩る重要なシーンの大部分が愛知県蒲郡市と幸田町で撮影され、特別試写会の舞台となった蒲郡市民会館に前田と北村が登場。2人は市民の温かい拍手で迎えられた。

この日、ロケにも協力した蒲郡市民有志のボランティア団体「春日桜会」による早咲きの桜が壇上に飾られた。前田は「蒲郡の景色があってこその、すてきな映像になっているので、蒲郡の景色とご協力してくださった地元の皆さんにとても感謝しています。本日皆さんにご覧いただけることがうれしいです」とあいさつ。北村も、壇上に飾られた桜に触れながら「1年ぶりに蒲郡に戻ってまいりました。今日は思い出話に花を咲かせられれば、壇上の桜に負けないひとときになるのでは」と、久しぶりにロケ地に戻ってきた思いを表現する。

■前田「ミステリアスさがハマる理由に」

前田は、今回演じた一人二役について「(朱と桜は)“2人で1つ”のような役ではあるので、特に明確に意識して演じ分けることはしませんでした」と明かし、「原作を読んでいても朱か桜か分からないというミステリアスな部分が物語にハマっていく理由でもあると感じたので、そこがドラマで出せていたらいいなと思います」と期待を寄せた。北村は、演じた溝呂木を「才能が枯れてしまい、素人の作品を盗用してどんどん沼にハマっていってしまう小説家」と説明し、「やってはいけないことをドラマだからこそ演じられたことが楽しかったです。朱、桜との危うい関係が軸になっている物語で、官能的なシーン、罵倒するシーンと、喜怒哀楽をしっかりと表現できたと思います」と手ごたえを語った。

■ロケ地が作品に与えた影響

作品の舞台となった蒲郡市や幸田町の印象について問われると、前田は「(作品が)景色にとても助けられているなと。内容としてはサスペンスであり、ミステリーであり、人間の深い部分も描いていて決して明るい作品ではないのですが、景色に映るキャラクターたちがとても澄んで見えて。それに感動しました」と魅力を語った。さらに撮影期間の様子について「近くのスーパーにほぼ毎日通わせていただいて、毎日お魚をさばいていただいて、とても健やかな食生活を送ることができました」と充実ぶりを明かし、「『プチぷよ』というミニトマトを見つけて食べてみたら、とてもおいしくて。これもほぼ毎日食べていました。あと、スタッフさんから行った方がいいよと言われて、竹島にある八百富神社にもプライベート時間に行ってきました」と撮影以外でも満喫ぶりを伺わせた。

北村も同様に、ロケ地の効果を「これは東京では撮影できなかったなと。『ウツボラ』という作品を蒲郡が取り込んでくれたなと感じました」と力説。撮影時を振り返り、「ビルの屋上でよく撮影していたのですが、蒲郡の風はなかなかすごかったです。対峙して言い合うシーンがあって、相手に負けないくらい強い気持ちでセリフを吐かないといけなかったのですが、気づくと風に負けないように前屈みになっているんですよ。これは効果としてはバッチリでした。前田さんも風に負けないよう、すごい形相で演じていましたね」とエピソードで笑わせた。

■北村「言葉ではない“心のやりとり”で臨んだ芝居」

美しく官能的で独特な原作漫画の世界観を実写映像で再現することについて、前田は「原作では朱と桜がとても印象的で。ここまで原作に忠実にと意識したことはないんじゃないかと思うくらい、意識しました。周りの皆さんもしっかり準備してくださったので、撮影ではのびのびと演じることができました」と振り返る。北村は、「セリフを大袈裟にやらずに、淡々と粛々と、言葉ではない“心のやりとり”でお芝居に取り組ませていただきました。あまり説明的なお芝居はしていないので、分かりやすいドラマではないと思います。そういう意味では不親切なドラマかもしれないのですが、いつの間にか観ている人も沼にハマってしまう」と作品の魅力を語った。

最後に前田は観客に向けて、「ほぼ9割、蒲郡市と幸田町で撮影させていただきました。普段みなさんが見ている地元の景色が全く違う映り方をしていると思うので、まずはそこを楽しんでください。そうして観ているうちに、気づいたらどっぷり物語にハマっているはずです。全話配信になった後は、もう一度イッキ見をしていただけるとより一層楽しめると思います」と楽しみ方をアドバイスし、特別試写会は幕を閉じた。

「ウツボラ」のロケ地、愛知県蒲郡市で特別試写会に登壇した前田敦子と北村有起哉/※提供画像