CoCo壱番屋カレーショップC&C、日乃屋カレー、ゴーゴーカレーもうやんカレーといったファストカレーチェーンの違い・優位性・特徴を探るべく食べ比べを実施!

 突然、無性にカレーを食べたくなることってないですか? そういった際、行ける範囲内に複数のカレーチェーンがあると、「どこで食べようか?」とすごく迷うことがあります。

 メニューの構成・定義がはっきりしている牛丼などの場合、どのブランドも味にはそこまでバラつきはありませんが、カレーとなると、調理の自由度が高いこともあり、ブランドごとに味わいがバラバラです。ここが人を迷わせる最たるポイントと言っても良いかもしれません。というわけで今回は、『CoCo壱番屋』、『カレーショップC&C』、『日乃屋カレー』、『ゴーゴーカレー』、『もうやんカレー』といったカレーチェーンの味わいの違い、特徴、各ブランドの優位性などを食べ比べしつつご紹介したいと思います。

普遍的な味で王道のウマさ!『CoCo壱番屋』

『COCO壱番屋』の「ポークカレーチキン煮込(ほうれん草トッピング)」(税込1099円)
CoCo壱番屋』の「ポークカレーチキン煮込(ほうれん草トッピング)」(1099円)

 まずは、巨大カレーチェーンの『CoCo壱番屋』のカレーから実食。直営・フランチャイズを合わせて国内1200店舗以上、さらに海外にもチェーン展開しているご存じココイチ。ベースのカレールーは、日本スタイルの普遍的な味わいが特徴ですが、一方、奥深さも併せ持っており、さまざまな具材との相性の良さも特筆すべき点。カレーと具材、双方の味を引き出し合う完成されたカレーと言えるでしょう。

 今回は、「ポークカレーのチキン煮込み」に「ほうれん草」をトッピングしてみました。

ココイチのカレーはトッピング選びも楽しみの一つ!
ココイチのカレーはトッピング選びも楽しみの一つ!

 軽く煮込まれたチキンの旨みがイイですね。そしてほうれんそうの苦味が味を引き締めるとともに、よりカレーの美味しさを強く後押ししているような印象を抱きました。

 ご存じのとおり、ココイチには、この他にも無数のトッピングが用意されているので、さまざまな具材を試してみるのもまた一興。完成されたカレーと最も合うトッピングはどれかを探す楽しみもココイチならではと言って良いかもしれません。ただし、難を挙げるとすればその価格の高さ。千円超えとなると、毎日気軽に、とはなかなかいかなくなりそうです。

新宿生まれの京王線沿線族のソウルフード『カレーショップC&C』

『カレーショップC&C』の「鶏の竜田揚げカレー(鶏の竜田揚げ1個トッピング)」730円(税込)。やはり「顔」のような状態に
カレーショップC&C』の「鶏の竜田揚げカレー(鶏の竜田揚げ1個トッピング)」730円。やはり「顔」のような状態に

 続いては『カレーショップC&C』。京王線沿線でよく見かけるカレーチェーンですが、それもそのはず、京王グループの飲食専門会社・レストラン京王が運営しています。

 ブランドの誕生は55年前の1968年。新宿西口に店舗を構えて以来、一時は珍しかった24時間営業だったこともあり、C&Cの味は、新宿・京王線沿線を利用する多くの人たちに愛されてきました。筆者もこの界隈を根城にしているので、ここのカレーは自分にとってのソウルフード。お店を見つけるとつい入りたくなるブランドです。

 さて、そんなC&Cですが、カレー自体は茶色と黄色の間のような色合い。また、その味わいはいわゆるカレーショップのカレーという感じ。没個性のように感じるほど普通である一方、噛み締めるたびに玉ねぎの甘さが響き渡り、同時に強い旨みも感じます。

茶色と黄色の中間色のカレーは、普遍的な味わいでありつつスパイス感も確かに感じます
茶色と黄色の中間色のカレーは、普遍的な味わいでありつつスパイス感も確かに感じます

 今回は、「鶏の竜田揚げカレー」をオーダー。さらに「鶏の竜田揚げ」1個を追加トッピングしていただきましたが、それでいて税込730円。十分な食べ応えで、このコスパの良さ。これも他のカレーチェーンには実現できない優位性と言って良いでしょう。

 また、C&Cは後味の軽さも特徴。もたれたり、重くなったりしません。この点もまた、昼夜を問わず多くの人たちに愛され続ける理由のように思います。

食べすすめるごとに変化する独特のウマさ。『日乃屋カレー』

『日乃屋カレー』の「海老フライカレー(七分盛り)」790円(税込)
『日乃屋カレー』の「海老フライカレー(七分盛り)」790円

 続いては、『日乃屋カレー』をいただきます。日本人が慣れ親しんだ味をさらに飛躍させたことで知られるブランドで、「神田カレーグランプリ」では優勝&殿堂入りも果たしたカレーです。ココイチC&Cに比べれば新しいブランドですが、その美味しさからすでに多くのファンを獲得しており、フランチャイズ加盟店も全国50店舗ほどあります。

 味の特徴は、キャッチコピー「始まり甘く 後より辛い 余韻残りし カレールウ」にある通り、最初の口当たりこそ甘めですが、中盤~後半にかけて複雑なスパイスの味わいが現れ、後半でしっかり余韻を印象付けるような独特の味わいです。今回は、この『日乃屋カレー』の「海老フライカレー(七分盛り)」をオーダーしました。

カリっと揚げられた海老フライとの相性も抜群!
カリっと揚げられた海老フライとの相性も抜群!

 また、大半のお店でご飯やや少なめの「七分盛り」があるのが、少食派には嬉しいところ。ご飯が見えなくなるほどカレーソースがかけられていますが、前述の通り口当たりは甘く軽めなので、スルスルいけます。ただし、後から来る辛さと複雑な味はかなりのインパクト。これが忘れられない味わいになります。

 今回いただいた海老フライ2本と強いインパクトのカレーと合わせていただくことで、「七分盛り」でも十分な食べ応えを感じられました。後を引く旨さで、日本式カレーを謳いながらも、かなり中毒性があるのが『日乃屋カレー』の特徴だと思いました。

金沢式を踏襲した真っ黒カレー!『ゴーゴーカレー』

『ゴーゴーカレー』の「ウインナーカレー」900円(税込)
ゴーゴーカレー』の「ウインナーカレー」900円

 続いて、金沢式カレースタイルを踏襲し、全国にその味を広めたことで知られる『ゴーゴーカレー』を実食。金沢式カレーの特徴である「銀色の皿に盛られている」「真っ黒のカレーがご飯にどっぷりかけられている」「皿にキャベツが盛られている」といった点を見事に踏襲しています。

 ちなみに『ゴーゴーカレー』の名の由来は「55工程を経て作られる」「55時間寝かせて完成」といった「55(ゴーゴー)」にちなんだもの。これだけの手間暇をかけられたカレーは、強いコクを感じさせ、そして後から甘さ、辛さ、苦さが複雑に入り混じる味。また、どことなくオイリーでもあり濃厚なパンチがあるので、ガッツリいきたい人にはハマりそうです。

 なお、本来の金沢式カレーでは、前述の様式に加え、とんかつをのせることが多いわけですが、今回はあえてハズし、「ウインナーカレー」をオーダーしました。

その色、コク、オイリーさは忘れられない味わいです
その色、コク、オイリーさは忘れられない味わいです

 正直、ウインナートッピングで900円(税込)は高いと感じますが、それでも手間暇かけたインパクトのあるカレーをいただけることを考えれば、仕方ない値付けかもしれません。

 この濃厚なカレールーは、ご飯やキャベツとの相性も抜群ですが、今回いただいたパリッと焼かれたウインナーともバッチリ合い、ご飯が進みまくりました。インパクト強めのカレーなので、後味もしっかり。昼食後、運動を伴う仕事がある場合はエネルギーチャージに食べるのも良さそうだし、何より「今日はガッツリ食べたい!」という場合には真っ先にチョイスしたいカレー、それこそが『ゴーゴーカレー』のように思います。

厳選された大量の香味野菜と果物の旨みを感じる超個性派カレー『もうやんカレー』

『もうやんカレー』の「肉全部カレー」1400円(税込)
もうやんカレー』の「肉全部カレー」1400円

 最後は、『もうやんカレー』です。1997年西新宿にオープンし、厳選した大量の香味野菜をエクストラバージンオリーブオイルのみでじっくり時間をかけて焙煎し、漢方薬膳オリジナル熟成スパイスで全体をまとめており、味は超個性派。唯一無二のカレーチェーンと言って良いでしょう。

 好みがはっきり分かれそうですが、膨大な量の野菜と漢方のおかげで、健康的なカレーでもあります。今回、筆者はカレーベースが野菜&漢方なこともあり、ビーフポークチキンが入る「肉全部カレー」をオーダーしました。

繊維感のあるカレーとゴロゴロ肉がマッチ!(食楽web)
繊維感のあるカレーとゴロゴロ肉がマッチ!(食楽web)

 カレールーは漢方のスパイス感がすごいです。甘さ、苦さ、酸味などが複雑に絡み合います。超個性派カレールーが、ゴロゴロとした牛肉、豚肉、鶏肉の塊に絡み、実に美味。肉の煮込み加減も最高で、かなり繊細な調理がなされているように感じました。食べ応え、味わいともに十分すぎる一方で、野菜ベースなので罪悪感は薄い不思議なカレー。それこそが『もうやんカレー』のように思いました。ただし、1400円と値段はCoCo壱番屋を軽く凌駕。これはけっこうな高価格です。

●それぞれに味の特徴がまるで違った!

 ここまで『COCO壱番屋』、『カレーショップC&C』、『日乃屋カレー』、『ゴーゴーカレー』、『もうやんカレー』をそれぞれ食べ比べてきましたが、各ブランドで味の特徴はもちろん、優位性がまるで違うことがわかりました。

 個人的には、気軽に慣れ親しんだカレーを食べたい場合は『COCO壱番屋』か『カレーショップC&C』、個性派をいただきたい場合は『日乃屋カレー』、さらに「今日はガッツリいくぞ!」という場合は『ゴーゴーカレー』。超個性派で野菜感を欲している際は『もうやんカレー』。こんな風にチョイスしようと思いました。

(撮影・文◎松田義人)

食楽web