食料品や外食メニューの値上げが続く中、マクドナルドがこの1年で3回の値上げを行った。2022年3月の改訂前の価格と比較すると、ハンバーガーは110円から170円に、ビッグマックは390円から450円と、もはや身近なファストフードではなく贅沢品の部類では…と消費者から悲鳴が上がっているのだ。

 ところが香港のマクドナルドはなぜか、リーズナブルなのだ(写真)。今年2月に調査した価格は、ハンバーガーとフィレオフィッシュが13HKD(約225円)。ハンバーガーは日本よりも55円高いが、フィレオフィッシュは日本では370円なので、145円も安い。今年、値上げしたビッグマックは23HKD(約399円)と、日本より51円安い。

 他にもダブルチーズバーガー22HKD(約382円)、ポテトSサイズは9HKD(約156円)と、セットよりも単品が安い傾向にあるようだ。「世界一物価が高い」といわれる香港だが、なぜマクドナルドは安価なのか。これについて「香港の高額家賃や収入格差などの問題が理由ではないか」と指摘するのは、現地事情に詳しいジャーナリストだ。

「香港では数年前から『マクドナルド難民』や『マクドナルド・スリーパー』と呼ばれる人達の問題が深刻化しています。2015年にはマクドナルドの店内で、ホームレスの女性が座ったまま死亡しているのを、7時間も気付かれなかった事件が起きています。香港では狭小マンションに家族全員で住むのが一般的な家庭で、息が詰まってしまう。そこで家族から離れたい人、あるいは出稼ぎにやってきたものの香港の高額な家賃を払えない外国人、電気代の高騰などでマクドナルドに涼を取りに来る人など、来店の事情は様々です。コロナ禍で店内飲食が中止になった際、マクドナルド難民は行き場を失っていました。今も低所得者や出稼ぎ労働者に配慮して、値段を上げられない事情があるのかもしれません」

 世界的な不況や失業などの理由で、マクドナルドで寝泊まりをする「難民」もいる。世界は香港の状況をどう見るのか──。

アサ芸プラス