メキシコ湾でマグロを追っていた漁師の男性は先月、海面近くに浮上した魚の群れ“ナブラ”を目撃し全速力で船を走らせた。ところが船を待っていたかのように現れたのは、期待していたマグロではなく数百匹のサメだったという。当時の衝撃的な動画とともに、米ネットメディア『FOX Weather』などが伝えた。

漁師のマーク・ハーデスティさん(Mark Hardesty)は先月、米ルイジアナ州ベニス沖でキハダマグロを追っていた。「その日の釣りは低調だった」と明かすマークさんだが、ふと目をやった海面に白い波しぶきが上がっているのを目撃、「マグロが水面近くで小魚を捕食しているに違いない」と船の舵を切った。

ナブラが立っていたのはベニスの海岸から24キロ付近の沖合で、船から動画を撮影していたディロン・メイさん(Dillon May)は当時のことをこのように振り返る。

「船が近づいていくと魚の群れの上を覆うようにサメがいるのが見えた。魚はメンヘーデン(ニシンニシン科)で、サメの群れは僕たちとほぼ同じタイミングでその群れを見つけたようだった。そして船が目的地に到着すると、サメの群れが僕らの船にメンヘーデンを押し付けてきた。御馳走を食べるためにね。」

アメリカ海洋大気庁(NOAA)によると、メンヘーデンは成体の体重が450グラム超、大きいもので体長38センチになるという。また水面近くを大きな群れを作って泳ぎ、大型の肉食魚に捕食されることが多いそうだ。

当時の動画では、数十匹のサメが船に向かって体当たりしているように見え、船から少し離れた海面には数百というサメの黒いヒレが見え隠れしている。水面は白く沸き立っており、サメが1匹でも多くのメンヘーデンを捕食しようと入り乱れていた。サメは船の下にも潜り込み、あまりの暴れように船は水浸しになってしまったそうで、ディロンさんが「びしょ濡れだよ」と呟く声も録音されている。

なおメキシコ湾で漁をして15年になるというマークさんは「あんな経験は初めてだった」と驚きを隠せない様子で明かし、こう語った。

「最近はサメと遭遇することが増えたけど、あの日はこれまでとはまるで違った。ライン(釣り糸)を持っていかれるし、釣りをするのは全く不可能だった。とにかく大混乱だったね。」

ちなみに海洋生物学者はこのサメについて、この時期に群れで移動するメジロザメ属のハナザメ(Spinner shark)、またはカマストガリザメ(Blacktip shark)と推測している。

当時の動画はディロンさんの女友達で一緒に船に乗っていたケイトリン・ディックスさん(Kaitlin Dix)が先月24日、TikTokに投稿しており、「これは衝撃的」「凄い! でも怖い」「もっと大きな船が必要だね」「サメが船の中に入ってこないかドキドキした」「サメが増えているということだろうね」「海で泳ぐのが怖くなる」といったコメントが寄せられている。

画像は『ABC News 2023年3月1日付「Shark feeding frenzy caught off coast of Louisiana」』『Kaitlyn Dix 2023年2月24日付TikTok「Never seen anything like it」』『FOX Weather 2023年3月1日付「Watch: Louisiana fishermen surrounded by shark feeding frenzy」(NOAA)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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