瀬戸利樹と中田圭祐がW主演を務める「僕らのミクロな終末」(夜0:55-1:30、ABCテレビ)の第6話が3月5日に放送された。律(中田)が真澄(瀬戸)たちにまどか(井手上漠)と何があったかを語る様子が描かれ、切なさが胸にこみ上げた。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】中田圭祐“律”の話を切なげな表情で聞く井手上漠“めぐる”

■「僕らのミクロな終末」とは

同作は、実写ドラマがヒットした「ポルノグラファー」で知られる丸木戸マキによる同名コミックを原作に、地球滅亡寸前というSFなシチュエーションで異色の終末を描く恋愛ヒューマンドラマ。傷を抱えた不器用な登場人物たちの心情が交差する恋愛模様と同時に、絶望の中で奇跡を信じたくなるようなストーリーを展開していく。

主人公・仁科真澄役を瀬戸が、真澄の大学時代の“昔の男”・日下部律役を中田が、アイドルオタクピュア男子高校生・広瀬遊馬役を富本惣昭が、国民的アイドル・嘉神まどかとその”自称妹”・めぐる役の一人二役を井手上漠が演じている。

また、真澄と律が大学時代所属していた出版サークルの同級生・橋本陽介役に大朏岳優、サークルの部長・露口役に前田瑞貴、律に夢中なミスキャンパス・谷口美佐役に西村美柚と、フレッシュな面々が共演。さらに、真澄の母親役に遊井亮子、律の母親役に岡谷瞳、律の父親役に成松修、めぐるの母親役に舟木幸、めぐるの父親役に飯田基祐が配役されている。

主題歌は、水野良樹が主宰するプロジェクト“HIROBA”から「ふたたび(with 大塚 愛)」。作詞作曲は初のタッグとなる水野&大塚愛が共作、編曲は蔦谷好位置が手掛け、真澄と律のもどかしく、苦しくも愛おしい関係性に重なる楽曲の世界観が、同作のストーリーに寄り添う。

■律はまどかと何があったかを話始める

隕石の落下による地球滅亡が近づく2023年9月。律は真澄から、まどかと何があったのか、弟のめぐるに話すように頼まれる。

真澄は「まどかは普通の子だった」と話し始める。律は、まどかとは番組で共演して家に誘っていつものように口説いたが、彼女は同じアイドルグループ内の女の子と付き合っていたと話す。遊馬が驚いて「え! 誰と?」と尋ねるが、律は話を続ける。

「つきあってすぐ相手の子は男を作ったみたいで、すごく傷ついていた」と語る律。「あの有名な歌番組泥酔パフォーマンスは?」と遊馬が聞くと、それが原因だと律は答え、「それからだよ、まどかがおかしくなったのは」と話した。

まどかは律に「死のうと思ったことある?」と尋ねる

泥酔パフォーマンスにより、SNSにはまどかに対する誹謗中傷があふれていた。「ひどいな」と律が言うと、まどかは、「知らないやつらに毎日ボロカスに言われるし、好きな子ともうまくいかなくて、あんなやつのどこが好きだったんだろ」と自嘲し、ビールの缶を開ける。そして、おもむろに「りっくんさ、死のうと思ったことある?」と尋ねる。

そんなこと言うもんじゃないと決まり文句を言う律に、まどかはイラつきながらあるかないかを聞いていると言う。ないと律が答えると、まどかは「いいなぁ」とため息をついた。

律がまどかを心配すると、自分もないと言うまどか。「でも、もし今、ここに押したら死んじゃうボタンがあったら押してる」と喉元に指を当てながら切実な顔で訴える。さらに心配する律にまどかは冗談だと言って笑う。しかし、ある日の真夜中、律の携帯にまどかから何度も着信があり、最後に「ごめんね、バイバイ」とメッセージが残されていた。

律は「すごく普通の子だった、ありがちな寂しがり屋の、傷つきやすくて衝動的な」とまどかを思い出す。まどかからのSOSに応えてやれなかったことを後悔する律。「俺も死んじゃうボタンがあったら、とっくに押してるわ」と言い、律は人生にやるせなさを感じていることを話す。

言葉が出ないめぐるたちだったが、遊馬は「ふざけんな、残り4日しかないんだぞ、俺たち。めぐるちゃんがかわいそうだ、お姉さんのこともっと考えたり悲しんだりする時間いるだろ」と言うと、空を見上げて両手を突き出し「隕石来るなー! 宇宙で爆発しろー!」と大声で叫びだす。

みんなもやろうと呼びかける遊馬だが、律は奇跡なんて起こるわけないと言う。それでも、遊馬は奇跡ってたまに起きるから奇跡って言葉があるじゃないのかと言い、「来るな隕石ー!」と続ける。めぐるも真澄も遊馬に倣い、立ち上がって空に手を突き出し、「隕石来るなー!」と叫ぶのだった。

まどかの最期は悲劇的で憐憫を誘われて、切なさが胸にこみ上げた。しかし、ピュアでまっすぐな遊馬のおかげで希望を感じられたラストだった。

◆構成・文=牧島史佳

「僕らのミクロな終末」第6話では、瀬戸利樹“真澄”や中田圭祐“律”らがキャンプ場へ/(C)丸木戸マキ/祥伝社 ABC