オサム・ジェームス中川とタイラジュンによる2人展『UNDERFOOT』を開催いたします。
アメリカを拠点にしながら、日本とアメリカという二つの国にまたがる自身のアイデンティティを踏まえ、作品を制作、発表する写真家オサム・ジェームス中川。そして沖縄に生まれ育ち、歴史の上に成り立つ現在の風景を、当事者性と慎重に距離を測りながら見つめる写真家タイラジュン。2人の作家の交流は15年にわたります。2人の作品の中で蓄えられたコンテクストが、アメリカ・沖縄・日本、そして変化する世界の現状の中、本展覧会で交錯します。

■ 展覧会について

「UNDERFOOT」

【作家|Artist
オサム・ジェームス中川|Osamu James Nakagawa
タイラジュンTaira Jun
【会場|venue】
galleryMain
【住所|Address】
600-8059 京都市下京区下鱗形町543-2F|2F, 543 Shimourokogata-cho, Shimogyo-ku, Kyoto
Tel|075-344-1893
Mail|info@gallerymain.com
Web|https://gallerymain.com

アクセス|京阪清水五条駅より徒歩6分、地下鉄烏丸線五条駅より徒歩9分、阪急河原町駅より徒歩14分

【会期】
Date: 2023年4月15日5月8日|15th April - 8th May, 2023
Closed:月曜、火曜(予約制にてオープン)|Mon, Tue (Open by appointment)
Time:13:00-19:00(最終日18:00まで|till 18:00 on last day)

【協力|Cooperation】
PGI
POETIC SCAPE

【主催】
合同会社galleryMain

【画像コピーライト】
(C)︎Osamu James Nakagawa, Courtesy PGI
(C)︎Jun Taira, Courtesy POETIC SCAPE

【概要】
オサム・ジェームス中川とタイラジュンによる2人展『UNDERFOOT』を開催いたします。
アメリカを拠点にしながら、日本とアメリカという二つの国にまたがる自身のアイデンティティを踏まえ、作品を制作、発表する写真家オサム・ジェームス中川。そして沖縄に生まれ育ち、歴史の上に成り立つ現在の風景を、当事者性と慎重に距離を測りながら見つめる写真家タイラジュン。2人の作家の交流は15年にわたります。2人の作品の中で蓄えられたコンテクストが、アメリカ・沖縄・日本、そして変化する世界の現状の中、本展覧会で交錯します。
本展覧会は、Shell Mound / GAMA / FENCEの3つの作品により構成されます。
現在も日常的に続く沖縄戦時の不発弾処理。その作業用の塚を写した”Shell Mound”。

不発弾は今も沖縄のいたるところで発見され爆発する可能性を秘めています。突如として日常にあわられる安全化処理の為の塚は、戦争が今と地続きである現実を突きつけます。
沖縄にある神聖な鍾乳洞を人工の光で超解像度で描き出した”GAMA”。

島に多数ある、石灰岩が侵食されてできた鍾乳洞はガマと呼ばれています。古来、ガマは聖域であると同時に祖霊に触れる場所として、今もなお神聖な場所として祀られています。戦争時には避難壕としても使われ、悲劇的な歴史を持つガマを撮影した本作は、写真には写らない不可視の過去、かつての戦争にまつわる記憶を見るものの内に呼び起こします。
“Fence”は沖縄本土にある米国基地のフェンスに直接感光紙を密着させ、その痕跡をサイアノタイプで印画した作品です。

パワーの象徴のような米軍基地とそれを囲うフェンスに対し、レンズを通して写した写真ではなく、印画紙を直接フェンスに貼り付け露光した実物大の光の痕跡は、より直接的でフィジカルな臨場感を感じさせます。
本展覧会のタイトルである「UNDERFOOT」は、これらのコンテクストの違う3作品を繋げるものでもあり、そしてそれは私たちの現在の足元に繋がっていることを表しています。

沖縄の土地が記憶しているかつての戦争、今も戦争の爪痕として都市に現れる塚、それらの記憶を拒絶するかのように聳え立つ米軍基地のフェンス。現在の沖縄に潜む歴史的時間と、

其処此処の、足元にある記憶とこれからの記憶がギャラリーの中で交差し、鑑賞者に新たなイマジネーションを開いていくことを願います。

【作家情報】
オサム・ジェームス中川|Osamu James Nakagawa
https://jamesnakagawa.com/en
写真家。1962年、米国ニューヨーク市生まれ 。1993年、ヒューストン大学修士課程修了(写真学)。現在、インディアナ大学・ルースN. ホールズ名誉教授、米国在住。
90年代より世界各地で数多くの個展・グループ展に参加。日本とアメリカという2つの国にまたがる自身のアイデンティティを踏まえ、様々な作品を制作、発表してきた。
主な個展、グループ展に、「Eclipse蝕」(PGI/ 東京、2018)「第八回ハンブルグ国際写真トレンナーレ」(デクターハーレン美術館、2020)、「すべての写真を終わらせる写真」(ブランツ美術館/デンマク、 2018)、「イメージの洞窟:意識の源を探る」(東京都写真美術館/東京 、2019)

▼タイラジュンTaira Jun
1972年沖縄県生まれ。1999年大阪外国語大学卒業。 2007年~12年に松本太郎と写真雑誌『LP』を編集・発行する。 2009年から浦添市港川でレストランrat&sheepを営みながら自身の写真活動、展覧会における地域連携の実践などの事業にも取り組む。近年のグループ展に、「沖縄人」(galleryラファイエット/沖縄,2022) 「4・3 ART
EXHIBITION ’SEALED SCENERY’ 2022」(Sanjicheon Gallery/韓国,2022)「私 ≠妻写真」平敷兼七二人展シリーズvol.11(平敷兼七ギャラリー/浦添,2018)「写真家が見つめた沖縄1972-2017」(沖縄県立博物館・美術館/沖縄,2017)。

【各作品ステートメント】
<Gama - Fence>オサム・ジェームス中川|Osamu James Nakagawa

2008年から2011年にかけて制作したGamaは、2012年にヒューストン・インターナショナル・フォトフェストで初めて発表して以来、世界各地を周ってきました。日本では、京都芸術大学ギャラリーオーブでの個展(2013年)で沖縄三部作のひとつとして展開され、東京都写真美術館での「イメージの洞窟」展(2019年)でも展示されました。
沖縄は、南西諸島に広く分布する琉球石灰岩という石灰岩が侵食されてできた鍾乳洞が島のあちこちにあり、「ガマ」と呼ばれています。このシリーズは、暗黒のガマの中に入り、中判デジタルカメラで撮影したものです。懐中電灯を手にガマの中を歩き回りながら、ガマの壁面を光でなぞるように照射し、カメラの中にその光を取り込んで露光しています。その後、時間をかけて色調を調整することで、ガマの中の色彩と細部のディテールを調節、焼け焦げた壁の黒さ、地面に残された薬瓶、手榴弾、茶碗のかけら、そして遺骨までが、暗闇から浮かび上がってきます。Gamaの制作で意識していることは、光で描き空間を造形し、見えないものを見ようとすることです。複雑で長い制作過程を経ることにより、カメラには写らない不可視の過去、かつての戦争にまつわる記憶を私たちに呼び起こしてくれるのかもしれません。
Fenceは、昨年のハンブルグトリエンナーレに出展した作品で、今回、日本で初めて発表することになりました。それまでのデジタルでの作品制作とは極端に違うアプローチです。解像度の高いGamaの、細部まで行き届くディテールは、強烈な存在感を与えると同時に、視覚的なイリュージョンを体感させました。例えば、写っているガマ内部の凸凹を確認しようとプリントを触ってしまう人まで現れました。

ある時、普天間米軍基地の中に入る機会があり、新しいプロジェクトの可能性が生まれたのですが、基地の存在が沖縄のコミュニティーに還元していて、なんのコンフリクトも存在していないことを撮影してほしいという基地の広報と意見が食い違い、結局は制作のアクセスを失ってしまいました。それが私を奮い立たせました。沖縄の月桃紙でサイアノタイプのプリントを作り、沖縄本土の米国基地を回り、直接印画紙をフェンスに貼り付け全部で93枚のフォトグラムを2013年から2015年までの3年間に制作しました。私の怒りを直接基地にぶつけるのに適した手法だったのかもしれません。レンズを通して写す写真とは違い、フェンスに触れ、鉄条網で傷つけられた印画紙に描かれる光の痕跡は、肉体的な臨場感を感じさせます。今回、20枚のプリントを使い、実際のフェンスの大きさに近い作品を展示します。

(C)︎Osamu James Nakagawa, Courtesy PGI
(C)︎Osamu James Nakagawa, Courtesy PGI


Shell Mound>タイラジュンTaira Jun
沖縄で発行される新聞には、月に4~5回ほど不発弾処理に伴う避難と交通規制 の情報が載る。日常的な事なのであまり気にも留めなかったが、ある日住まいの近 くで処理があり、現場に行ってみた。そこには不発弾を処理するための塚が作られ ていた。 その見慣れない塚を目にして人事のように聞いていた戦争が突然、リアリティを 持って立ち上がってきた。それからその塚を「爆弾山」と名付け、沖縄島各地の不発弾処理塚を撮り続けた。 過去は目には見えないが、確かに存在する。78年前、ここに落ちた5インチ艦砲弾は少しずつ地面に沈み、息をひそめて待っていたのだ。それは今も人を殺すことができる。それが爆発すれば半径230メートルに破片が飛び散り、ベランダから窓 ガラスを突き破って私の心臓を貫くことだってできる。

(C)︎Jun Taira, Courtesy POETIC SCAPE

■galleryMainについて
galleryMainは「観客と作家の対話と成長の場所」をつくるため、美術家と写真家である中澤、竹下、山崎の3人が運営するオルタナティブスペースです。「まずは対話から」をスローガンに展覧会だけではなく、新しい熱気をつくるためにスクール事業『Plot Art School』『京都写真教室Tract』など作家自身が思想を伝え、教えることで観客と共に成長する場所を目指しています。


合同会社galleryMain
住所|京都市下京区下鱗形町543-2F

URL|https://gallerymain.com

配信元企業:合同会社galleryMain

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