映像だけで伝える圧巻のラストシーンで終わった『星降る夜に』(テレビ朝日、毎週火曜よる9時)第7話。星空の下で鈴(吉高由里子)と伴(ムロツヨシ)の対比が印象深い。花火を前にして涙を流す吉高の演技と、優しい眼差しで包み込む北村匠海ディーン・フジオカの空気感が伝わる場面では、琴線に触れるような歌声の主題歌が響きわたり、私たちの心を震わせた。


【画像】第8話カットを見る


(以下、第7話ネタバレあり)



鈴と一星(北村匠海)と深夜(ディーン・フジオカ)、3人でのキャンプシーン。「今日は深夜と作るんだ」といつの間にか仲良くなった一星と深夜は、一緒にパエリアを作り始める。「鈴はだらだらしてろ」と一星に言われ、鈴は音楽をかけて一人ブランコに座る。「みんなが守ってくれて 自分だけが…自分が正義みたいな顔して…世の中 おかしいだろ…おかしいだろ!!」と病院で暴れた伴のことを思い出しながら一点をじっと見つめる。そんな鈴の手をとり、一緒に踊ろうと誘う一星。深夜を呼ぶと、両手を回しながら嬉しそうに2人の元へスキップしてくる。その姿に「かわいいですね」と言う鈴と「ださ」と手話でいう一星。おディーン様のダサ可愛いダンスに「見ていて和む!」「サイコウか」「可愛くてきゅんきゅん」とSNS上でも盛り上がりを見せた。鈴を真ん中に3人で楽しそうにグルグルと回る様子が微笑ましい。


夜になって花火をする3人。これまで伴から酷い言葉を浴びせられながらも、必死で耐えてきたからこそ、優しい時間ときれいな花火を前に涙を流す鈴。それに気付きながらも「泣かせてやれ」というように一星は深夜に表情で伝えた。火花が舞う噴出し花火を3人で見つめながら、一星と深夜の何も言わない気遣いで鈴を包み込むその時間は、とても優しくて癒される。


真っ暗の中、伴と娘が映し出される。哀愁漂う伴の姿は優しい時間を過ごす鈴とは対照的で、だけど両者とも同じ星空の下にいる。バックで流れる由薫による主題歌『星月夜』が響くなか語られる鈴のモノローグ。

「なんでだろう?あの人もここにいたらよかったのかなと ふと思った…」

伴が抱える辛さは他の者には計り知れないが、彼の周りにもただ黙って優しく包み込んでくれる人たちがいればよかったのにと思わずにはいられない。台詞らしい台詞をあえていれず、役者たちの表情や演技の画のみで魅せる圧巻のラスト。その約3分のシーンに心打たれ、ドラマを見終わった後もしばらくその余韻から抜け出せない。


一星の言葉は鈴を癒す。
「元気そうに見えても みんないろいろ抱えて生きてんだ」
一星という人間の深みを感じさせる言葉。今でも伴の声が耳から離れないと言いつつ、過去に裁判で「人殺し」を連呼された記憶を思い出して固まる鈴の耳を塞ぐ一星。自分は「いいことも聞こえないがイヤなことも聞こえない」と手話で話す彼からは頼もしささえ感じる。「目で見てわからないものを抱えて生きている人の方が俺よりずっと大変だ」と伝えつつ、「別に俺が特別な訳じゃない」と語る。よく知りもせず簡単に決めつける人の言葉に傷つく必要はないと鈴を励ます一星の言葉は、見えているものがすべてではないことを気付かせてくれる。


「遺品整理のポラリス」の社長・千明(水野美紀)と深夜の会話では、「一歩」の差について語られる。「一歩 間違えたら僕も同じだったかもしれないから…」と伴の気持ちもわかると言う深夜。しかし「その一歩には 天と地の差があるよ」と千明は反論する。妻を亡くして行き場のない悲しみを鈴へ憎しみとしてぶつける伴と、妻と子を亡くして泣けない自分の代わりに泣いてくれた鈴の涙の意味を知りたいと35歳から医師を目指した深夜。鈴の存在は2人に共通しているが、2人が鈴に向ける気持ちは全く異なり、その「一歩」の差は果てしなく大きい。だからといって深夜の傷がすでに癒えているというわけでもなく、妻と過ごした東京の家の整理はまだできないでいた。鈴が流した涙の意味を知り、深夜自身が泣ける瞬間が来ることを切に願う。


目には見えなくても人はいろいろなことを抱えながら、それでも今と向き合い精一杯生きている。そんな中で、そっと包み込んで優しい時間を与えてくれる人たちが周りにいること。それがどんなにかけがえのないことなのかを、第7話を通して気付かせてくれた。



第8話予告では、伴に対して千明が啖呵を切るシーンが。そして「今日は腕枕付きの添い寝してもらおうかな」と一星に甘える鈴の台詞も。


キュン度高めなシーンがありそうな第8話に期待したい。



文:SEN


第8話あらすじ

5年前、妻の命を救えなかった雪宮鈴(吉高由里子)を深く逆恨みし、彼女への攻撃を激化させる伴宗一郎(ムロツヨシ)。追い詰められ、周りを傷つけられ、ただ謝ることしかできず俯く鈴を、柊一星(北村匠海)と佐々木深夜(ディーン・フジオカ)はキャンプに連れ出す。
舞い散る美しい花火に誘われるように、声にならない叫びを吐き出し、号泣する鈴。それに気づかないふりをして花火を続ける2人。まっすぐな愛を注ぎながら全力で守ってくれる恋人・一星と、ポンコツだけど優しく寄り添ってくれる同僚・深夜の優しさに救われながら、鈴はふと思う。
―あの人もここにいたらよかったのかな。


一方、同じ星空を見上げている伴。マロニエ産婦人科医院に乱入し暴れるも、妻の忘れ形見である我が娘・静空(戸簾愛)の声をきっかけに、病院を後にした彼の胸には、あまりにも苦い5年間の記憶がよみがえる。「なんでお前がしあわせなんだ」――鈴に対する伴の怒りは増大する一方で…。


時を同じくして、深夜にも異変が表れる。妻・彩子(安達祐実)とお腹の中の子を同時に亡くしたという、つらい過去を持ちながらも、それを感じさせないほど朗らかだった彼が、どういうわけか誰の目から見ても元気がないのだ。折しも深夜の友人・北斗千明(水野美紀)から、実は彼が彩子の死から立ち直れずにいて、10年経った今も2人で暮らしていた家をそのままにしていることを知った鈴は、深夜の心に思いを馳せる。鈴から事情を聴いた一星は「俺に任せろ」と、頼もしく宣言するが…。


そんな中、伴が深夜の前に出現する! 深夜が鈴に二股をかけられていると恣意的に告げ、扇動しようとする伴。ところが、深夜は「あなたの気持ち、少しだけ分かります」と言い、妻の死後に医師を目指した“本当の理由”を告白。その“あまりにも意外な理由”に、伴も思わず言葉を失い…!?


さらに“事件”はまだまだ続く。一星と親友・佐藤春(千葉雄大)が、ひとりで歩いている静空を目撃。声を掛けると、静空は「お父さんが私を捨てたの」と答え…!? しかもその矢先、両親を亡くした一星とずっと一緒に暮らしてきた祖母・カネ(五十嵐由美子)がスーパーで倒れる。偶然その場に居合わせた深夜は、あわてて一星に連絡。一星は春と静空をその場に残し、搬送先の病院へ急行するが…!?


僕のそばには君がいて
君のそばには誰かいますかー?
傷を負った全ての人に、幸せの星が降りますように。


▼これまでの各話コラム

第6話

『星降る夜に』視聴者悶絶のイチャイチャも話題、“全力ド直球”が背中押す

第5話

『星降る夜に』ハマり役キャストに釘付け、北村匠海とディーン・フジオカの絡みに笑いも

第4話

『星降る夜に』キュンと不穏の落差に「感情がジェットコースター」幸せ願う視聴者続出

第3話

『星降る夜に』ワンコな北村匠海にハマる人続出、予想外なディーン・フジオカも魅力


■『星降る夜に』
毎週火曜よる9:00~9:54

(C)テレビ朝日

ドワンゴジェイピーnews