3月12日(日)(現地時間)に第95回アカデミー賞が発表される。ディズニー公式動画配信サービス「ディズニープラス」では、本年度のノミネート作品「ファイアー・オブ・ラブ 火山に人生を捧げた夫婦」や、近年の受賞作「フリーソロ」「サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビで放送されなかった時)」、そしてウォルト・ディズニー自身が制作した「砂漠は生きている」など、数々のドキュメンタリー作品が配信中。今回はアカデミー賞の発表に先駆け、ディズニープラスで見ることができるドキュメンタリー作品を紹介する。

【写真】ウォルト・ディズニーが手掛けた、砂漠に生きる動物たちの日常を記録した「砂漠は生きている」

■「ファイアー・オブ・ラブ 火山に人生を捧げた夫婦」

2023年のアカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされている「ファイアー・オブ・ラブ 火山に人生を捧げた夫婦」は、世界中の火山を渡り歩き、噴火活動の映像や写真を記録したフランス人火山学者、モーリスとカティアのクラフト夫妻のドキュメンタリー。

自然の驚異を記録し研究するには動く映像が必要だというモーリスの考えから、2人は火山に上り、噴火のすぐそばでカメラを回し、BBCナショナル ジオグラフィックにその映像を提供していた。

本作のサラ・ドーサ監督は、1991年雲仙普賢岳の火砕流に巻き込まれて命を落とすまで現場を訪れ続けた2人が遺した貴重なアーカイブを再構成し、ミランダ・ジュライのナレーションで“火山を愛した夫婦”の物語として映像化。2人の出生から出会い、火山学者としての活動、記録映画作家としての活動などを、二人が残した写真や映像、出演した番組などのフッテージを使い、火山に魅せられ執着した夫妻のウィットに富んだ結婚生活のポートレートをつづる。

■「サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビで放送されなかった時)」

1969年、伝説のロック・フェス「ウッドストック」が開催された同じ夏にニューヨークハーレムで行われていた幻の音楽フェスハーレム・カルチュラル・フェスティバル」。スティーヴィー・ワンダーや、B.B.キングらが集結し、6回の開催で計30万人以上が参加したが、このライブの映像は、誰の目にも留まることなく、約50年もの間、地下室に埋もれたままになっていた。

本作は、そんな幻のライブ映像が、4度のグラミー賞受賞者であり、ヒップホップグループ「ザ・ルーツ」のドラマー兼DJとして活躍するアミール・“クエストラヴ”・トンプソン監督の手によって復活。サンダンス映画祭のオープニング作品として上映され、ドキュメンタリー部門審査員大賞と観客賞を受賞し、第94回アカデミー賞では長編ドキュメンタリー映画賞を受賞。さらに第64回グラミー賞でも最優秀ミュージック・フィルム賞を受賞した。重要な記録映像と、当時の社会的背景、約50年の時を経てこの映像に初めて触れる出演者や参加者たちのコメントも織り交ぜて完成させたドキュメンタリー映画だ。

■「フリーソロ」

ナショナル ジオグラフィック ドキュメンタリー フィルムズ製作による本作は“フリーソロ”の第一人者アレックス・オノルドが、生涯の夢であったカリフォルニア・ヨセミテ国立公園にある970メートルの高さを誇るエル・キャピタンに挑む様子を描いたドキュメンタリー作品。“フリーソロ”とは、地面から垂直に切り立った数百メートルもの高さの岩壁を、非常時の命綱となるロープや安全装置を一切使用することなく、手と足だけを頼りに登るという、最もシンプルで最も危険でもあるクライミング・スタイルのことで、本作にはその驚くべき魅力が余すところなくカメラに収められている。

監督は、前作「MERU/メルー」が好評を博したコンビ、エリザベスチャイ・ヴァサルヘリィとジミー・チン。人類史上最大の偉業に挑む姿を臨場感あふれるカメラワークで撮影し、クライミング映画の枠を超えた人間の極限に迫る作品を作り上げた。全世界で45の賞にノミネートされ、第91回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞受賞をはじめ、2018トロント国際映画祭観客賞、2019英国アカデミー賞を受賞(共にドキュメンタリー部門)など、20賞受賞の快挙を成し遂げた。

■「砂漠は生きている」

ウォルト・ディズニー自らのプロデュースで1953年に製作された、アメリカ合衆国南西部の砂漠に生きる動物たちの日常を記録したドキュメンタリー映画。

何一つ生命を持ったものが存在しないように見える砂漠でも、実際は生命に満ちあふれている。サボテンは砂漠の厳しい環境に順応するため葉を棘に変え、鳥はその棘を巣の周囲において外敵を防いでいる。水の極度に乏しい砂漠では、動物たちは長い間水無しの生活に耐えていかねばならず、亀は体内に水を蓄えている。そのほか、トカゲタランテュラ、ヒキガエルハゲタカイノシシ、ヤマネコ、ガラガラヘビ、ポケットネズミ、コウモリフクロウ、ツチリス、ミチバシリ、スカンク、ジガバチなど、いろいろな動物がエピソードを形づくりながら登場する。

1953年アカデミー賞で長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した本作は、「水鳥の生態」「大自然の片隅」「ビーバーの谷」(いずれもアカデミー賞受賞)などの“自然の驚異”シリーズを発表したウォルト・ディズニーが、この記録短編シリーズを長編にきりかえ、“自然の冒険(True Life Adventre)”シリーズと名づけて発表した第1作だ。

■「イディア・メンゼル:マディソン・スクエア・ガーデンまでの道のり」

アナと雪の女王」のエルサ役や「魔法にかけられて」のナンシー・トレメイン役での功績が讃えられ、ディズニーレジェンドで殿堂入りを果たしたイディナ・メンゼルの16公演を完走した全米ツアーの裏側に密着したオリジナルドキュメンタリー作品。

初公開となるパフォーマンス映像や最新インタビュー、過酷なツアースケジュールをこなしながら母や妻としても奮闘する姿、そして彼女の生涯の夢だった故郷ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで行われたコンサートを実現するまでの道のりに密着する。

■「ニッポン・サーフ・カルチャー」

東京五輪メダリスト五十嵐カノアをはじめ、日本のサーフィン選手たちに焦点を当て、その人間模様や夢を叶えるための努力、多様性との葛藤などに迫った、オリジナルドキュメンタリー作品。監督を務めたのは、「Singlefin:Yellow」「One California Day」「Bella Vita」など数々のサーフフィルムを手掛けてきたジェイソン・バッファ監督。映画のような美しいショットとロケーションも本作の特徴だ。

■「ディズニーネイチャー/ホッキョクグマの子育てサバイバル」

ディズニーネイチャー/ホッキョクグマの子育てサバイバル」ドキュメンタリーにも造詣が深かったウォルト・ディズニーの意志を受け継ぎ、設立されたレーベル「ディズニーネイチャー」と、「ディープ・ブルー」や「アース」で知られるアラステア・フォザーギルがタッグを組んだ特別作品。

季節ごとに新たな試練が訪れ、あらゆる方向から危険が迫る極めて過酷な地である北極で、子グマにこの厳しい環境下で生きる術を教える母親と、サバイバル術をしっかりと受け継いでいく子グマの、母子の絆を追ったドキュメンタリー作品だ。

前を歩く2頭の子グマを優しく見守る母グマの姿や、氷のくぼみでそっと寄り添う姿など親子の愛情がたっぷりと感じられる心温まるシーンの他、成長していく子グマ達の希望溢れる姿やハラハラドキドキの狩りのシーンなど、驚きの映像の数々を雄大な大自然が生み出す迫力満点の映像とともに映し出す。

■「リミットレス with クリス・ヘムズワース」

マイティ・ソー」シリーズで知られる俳優のクリス・ヘムズワースが最先端の科学的研究に基づき、人間の体の可能性を最大限に発見する秘訣を知る、ナショナルジオグラフィックのドキュメンタリーシリーズ。もしも老化現象に打ち勝ち、肉体が秘める最大の可能性を引き出せるとしたら…という問いにクリス自らが実験台となり、肉体的な限界に挑戦するだけでなく、感情や認知の側面や健康など多岐にわたる分野において、理論を知り、実際に自分自身で体験することで、驚くべきパワーを解き放つ方法を紹介する。

マイナス36度の北極圏の海を泳いだり、高さ900フィートのビルの頂上を歩いたり、GPSなしでの大自然トレッキングや4日間の断食(ファスティング)など、様々な面で極限に挑んでいき、老化や死の恐怖に立ち向かうのではなく、受け入れるという理論を実践する。

「ファイアー・オブ・ラブ 火山に人生を捧げた夫婦」ディズニープラスで独占配信中/(C)2023 National Geographic Partners, LLC.