ボーイング767貨物機の動向も注目です!

北米方面などの不足分を補完

航空会社のANA(全日空)などを傘下にもつANAホールディングスが2023年3月7日、日本で唯一となる貨物専用航空会社NCA(日本貨物航空)の株式すべてを、日本郵船から取得する基本合意を締結したと発表しました。この結果、NCAはANAグループに加わることになります。これにより、どのような変化が生じるのでしょうか。

ANAホールディングスは今回の全株式を取得について「当社グループの航空事業ポートフォリオに加えると同時に、日本最大の国際線旅客便ネットワークを活用する当社グループの貨物事業と将来的に統合・再編することで、お互いの強みを補完し合うコンビネーションキャリアとして収益性が高まり、当社グループの成長戦略を加速できると判断いたしました」とコメントしています。

コンビネーションキャリア(旅客便・貨物便をもつ)としてのANAグループは、中国方面のネットワークに強みはあるものの、日本と欧米のネットワークが不足していました。今回NCAのネットワークを取り込むことで、欧米、とくに北米大陸へのネットワークを拡大していきたいです。今回の買収はその不足分を『一気に解決する策』と考えています」(ANAホールディングス 津田佳明経営戦略室経営企画部長)

ANAでは運航なしの「ジャンボ機」はどうなる

一方NCAでは2023年現在、ANAが運航していないボーイング747-8を保有し、主力機として運用しています。747-8は「ジャンボ機」として知られており、現在国内ではNCAのみが保有しているモデルです。

津田氏らANAホールディングスの担当者によると、NCAが保有する747の機齢は平均8年で、「比較的新しい」とのこと。「まだまだ活躍できる機体であると思っています」と話します。

一方で現在ANAグループが保有する貨物機、ボーイング767Fが老朽化を迎えていることも今回の買収という判断の一因となっており、「今後の機材計画はゼロベースで作っていることになるのかなと考えています」(担当者)としています。

これまでANAホールディングスはNCAの経営に参画。現在でも2社は航空機整備部門における業務協力、両社運航便での共同運航(コードシェア)や連帯運送を柱とする戦略的業務提携に関する覚書を締結しており、相互協力関係にあるとのことです。

NCAの貨物機(乗りものニュース編集部撮影)。