大阪の中心部で、新たな鉄道路線「なにわ筋線」の現場が動き始めています。

開業目標は2030年度末

大阪府は2023年度の予算案を発表。その中で、2030年度末の開業に向けて事業が進められている鉄道新線「なにわ筋線」については、用地補償とあわせて駅の工事も進めていくとして、予算を前年度の約10倍となる46億円に拡大しています。

なにわ筋線は、大阪市中心部の難波・中之島・梅田をむすぶ南北縦断路線です。南海は新今宮駅から、JRはJR難波駅からそれぞれ乗り入れる予定。南海にとっては初めての梅田エリアへの乗り入れとなり、JRにとっても大阪環状線経由と比べて距離と所要時間が短縮となります。両社とも、梅田と関西空港のアクセス強化に期待がかかっています。

大部分が地下線で、地下鉄四つ橋線のさらに1本西側の大通り「なにわ筋」の下を通ります。大阪駅は「うめきた地下ホーム」として、ことし3月18日に先行開業予定。関空特急「はるか」や特急「くろしお」が停車するようになります。

新線には2つの途中駅「西本町駅」「中之島駅」が設けられ、さらに南海は難波駅西側に新たな地下のりば「南海新難波駅」が整備されます。そのまま大きく北西に進路を変え、JR難波駅から伸びてきたJR線路と合流してなにわ筋の下へ入ります。南海新難波駅ホームは阪神高速の高架を挟んだ上下別線、中之島駅ホームは地下2層構造という変則的なものになっています。

建設主体は関西高速鉄道で、JR西日本南海電鉄が線路など設備の使用料を支払う「上下分離方式」が採用されます。

待望の新線の工事は2020年春に開始。途中駅「西本町駅」「中之島駅」でも支障物撤去工事や土留め(掘った穴の壁を留める壁)工事へ入り、それが本格化します。駅本体のコンクリート打設は次年度以降になりそうですが、すでに地上道路は大規模に規制や車線切り回しが行われ、目に見えて工事が進捗を迎えています。

駅以外の部分はシールドトンネルで掘り進められますが、そのシールドが地上から地中に入れられて発進する立坑も、福島区内で2023年度に始まる計画となっています。さらに難波駅北側でJRと南海が合流し、道頓堀川の下をくぐる部分の工事も、2023年度に着手される見込みです。

南海とJRが乗り入れるなにわ筋線(画像:写真AC)。