株式会社NTTデータ(以下「NTTデータ」)、応用地質株式会社(以下「応用地質」)、東京海上日動火災保険株式会社(以下「東京海上日動」)、日本電信電話株式会社(以下「NTT」)、東日本電信電話株式会社(以下「NTT東日本」)、三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(以下「MDIS」)の6社は、防災コンソーシアムCORE※の分科会においてデジタル技術を活用した生活再建支援に取り組んでいます。
この度、技術実証を通じ、ドローンとスマートフォンアプリを活用し家屋被害状況を効率的に収集するサービス(以下「家屋被害調査サポートサービス」)の開発に取り組みます。大規模水災時でも今まで以上に迅速かつスムーズに建物情報・被害状況・浸水高等を調査可能な仕組みを構築し、自治体の迅速な罹災証明書発行や、被災されたお客様の一日も早い生活再建を支援していきます。
 2023年度中にサポートサービスの実用化を目指し、茨城県と連携して実務における課題整理や査定技術の精度を高めたうえで、2024年度に社会実装として各自治体への展開を検討していきます。

  • 1. 背景
 近年、日本の全国各地で甚大な被害をもたらす台風や豪雨など自然災害が頻発しています。こうした環境下、6社は防災コンソーシアムCOREの分科会として、デジタル技術を活用した、生活再建までの期間短縮・被災者の負担軽減をテーマにサービス開発に取り組んできました。
 自然災害発生時には、損害保険会社による被害調査や、自治体における各種調査や申請支援などの業務が発生(図1参照)しますが、自然災害の激甚化や広域化、人手不足等により、被災者への初動対応・早期復旧に関わる対応が逼迫するケースがでてきています。特に、自治体の罹災証明書の発行業務については、限られた人員の中で被災状況の調査から証明書の発行まで行う必要があり、時間を要することから、被災者の生活再建に遅れが生じているという課題もあります。
 図1現状の被害認定に係るフローと必要な期間
  • 2. 家屋被害調査サポートサービスについて
 水災時における自治体業務の効率化・省人化を支援し、罹災証明書の発行を支援していくため、ドローンとスマートフォンアプリを活用した水災時の家屋の被害調査サポートサービスを開発します。なお、被害調査サポートサービスの設計にあたって、2022年12月に6社で技術実証(【参考情報】を参照)を行い、技術面の有効性を確認しました。

■家屋被害調査サポートサービスの概要
1.ドローンによる調査

 山間部や二次被害が想定され人手による調査が困難・危険なエリア、大規模災害時等の広域な被害エリア

 ドローンによる調査を導入することで、山間部や人が簡単に踏み込めないエリアに対しての家屋被害の効率的な調査を実現します。従来こうしたエリアでは、罹災証明書の発行において時間を要していた事から、今後は罹災証明書の発行までの時間短縮が期待できます。

 ドローンで撮影した浸水深の測定結果、家屋被害状況の3D写真

2.スマートフォンアプリによる調査

 密集した市街地や局地的な早期計測が必要なエリア

 スマートフォンアプリによる調査を導入することで、密集した市街地や局地的な早期計測が必要なエリアに対しての家屋被害の効率的な調査を実現します。従来のアナログな測定だけではなく、デジタルを用いた新たな家屋被害調査を実現することで、罹災証明書の発行までの時間短縮が期待できます。

 スマートフォンアプリ(LiDARカメラ)で撮影した浸水深の測定結果、家屋被害状況の写真
  • 3. 今後について
今後は本分科会の参画企業とともに査定技術の向上、自治体との情報連携のデジタル化に向けて、検討を進めていく予定です。まずは2023年度中にドローンやスマホアプリを使った浸水深の測定について、茨城県での試験的な導入を行います。また2024年度からは他の自治体への展開も検討します。
  • 4. 問い合わせ先
防災コンソーシアム CORE 事務局 メールアドレスbosai-core@change-jp.com
  • 【参考情報】:技術実証について

2022年12月19日(月)、20日(火)

福島ロボットテストフィールド

 実際に浸水跡のついた建物を対象とし、1.従来の職員によるポールやメジャー等を使った目視判定、2.ドローンによる計測、3.スマホアプリを用いた計測の3種類の手法で浸水深の計測を実施。計測後に1.2.3.での計測での誤差を確認し、ドローンやスマホアプリによって浸水跡が判定でき、正しく、効率的に浸水深を計測できるのか検証を行いました。
図2 計測対象となる浸水跡のイメージ
(ア)  ドローンを用いた計測
 ドローンから家屋2件を写真撮影したうえで3次元モデルを作成し、浸水深を計測しました。なお精度、撮影~解析処理にかかる時間の違いから3パターンについて検証を行いました。

(イ) スマホアプリを用いた計測
 スマートフォンに掲載されているLiDARカメラを用いて、浸水深の測定を行い、人手での測定との比較検証を行いました。
図3 スマホアプリでの測定風景・イメージ

(ア) ドローンを用いた計測
 浸水深は3パターンとも正解値に対し誤差1cm以内に収まっており、実運用への適用可能性が高いと検証できました。また今回は2物件のみを対象とした撮影でしたが、今後広域を対象とする場合には1件当たりの時間は大きく低減できると考えられます。特に無人航行が一般化されれば現状の課題である要員不足の解消に繋がり、計画~調査までの時間の大幅な効率化の可能性が示されました。
(イ) スマホアプリを用いた計測
 本検証において1.従来の職員による手計測に対し、3.スマホアプリを用いた計測ではより短い時間で計測が可能となりました。また、精度についても正解値に対し誤差1cm以内に収まっており実運用への適用可能性が高いと検証できました。また、従来は計測役と撮影役の2名以上が必要でしたが、本アプリを活用することで1人での調査を可能にし、要員不足軽減への貢献が考えられます。

※ 防災コンソーシアムCORE
https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/release/pdf/211124_01.pdf
防災コンソーシアムCOREでは、東京海上日動が発起人を務め、業界の垣根を越えた多様な企業が一堂に会してコミュニケーションを取る機会を提供しております。企業間の共創、国・自治体等との連携ほか、防災・減災に関する4要素(現状把握・対策実行・避難・生活再建)の高度化に取り組むことで、“強靭な社会構築”を目指します。




配信元企業:応用地質株式会社

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