農研機構はこのほど、「田んぼダム」に使用する器具を効果別にまとめ、公表した。今後、田んぼダムの増加への貢献が期待される。

大雨による災害が激甚化する近年、田んぼダムは水田の排水口に簡単な器具を取り付けることで水田への雨水の流出を緩やかにし、下流の洪水被害の軽減効果を持つものだ。

その器具には様々なタイプがあり、効果が発揮されやすい雨の規模や継続する時間などもそれぞれ異なる。また、地域によっても雨の降り方が異なるため、農研機構はそれらの効果を検証してまとめた。

田んぼダム用の器具は大きく分けて「水の流出を止めるせき板のように設置する機能一体型」と「せき板とは別に設置する機能分離型」の2つがある。農研機構の調査によると、前者は浅い水深でも効果を発揮するため比較的小規模な雨向けで、後者は300mm程度のまとまった雨に適しているという。

また田んぼダムには雨が一時的に貯留するため、通常の水田よりも水深が7cm程度深くなる。平時の水深に戻るまで前者は2日程度、後者は1日程度遅れるが「畦畔や栽培には大きな影響のない範囲であると考えられる」とのことだ。

〈米麦日報2023年3月10日付〉

田んぼダム「機能分離型」「機能一体型」図説