劇団四季のファミリーミュージカルジョン万次郎の夢』が、3月11日(土)、東京・自由劇場にて開幕する。劇団創立70周年記念公演として2014年以来9年ぶりの上演となる。

幕末、日本人で初めてアメリカへ渡ったとされ、日米の架け橋として幾多の業績を残した中濱万次郎(ジョン万次郎)の半生を描いた四季のオリジナル作品で、1974年に初演された本作(『ジョン万次郎海を渡る』として上演)。土佐の漁村で生まれ育った14歳の少年万次郎が、遭難によりアメリカの地で暮らすことになり、持ち前の行動力でついには鎖国によって閉ざされた日本の扉を世界に開き、日本とアメリカの架け橋となっていく。その波乱万丈の半生を描く。

本作で主演の万次郎を演じる島村幸大(しまむら・ゆきひろ)と、政所和行(まんどころ・かずゆき)に話を聞いた。

島村幸大

「とにかく楽曲が素晴らしい」と本作の魅力について開口一番に故・三木たかしが手がけた音楽をあげる島村は、「三木さんの楽曲のメッセージ性が強く、日本のシーンであったり、アメリカのシーンであったり各場面を三木さんがものすごく細かく表現しているので、それをいかに俳優が体現して、空気感と世界感を変えていけるかというのもみどころ」と語る。特に好きなのは「身近なところから世界を広げていこうとする万次郎の前向きなところがすごく感じられる」という理由で、無人島からアメリカ人に助けられるときに、万次郎が日本人の漁師仲間を説得する場面で歌われるナンバーだという。

政所和行

政所も「全曲しっかり耳に残る素敵な曲ばかり。少年万次郎の時に歌うメロディーラインが、渡米した際に歌う違う曲の中にもでてきたり、おしゃれだなと思います」と続け、さらに「日本らしい様式美も堪能してほしい」と、時代物ミュージカルならではの多種多様な衣装、4名のスタッフが人力で動かしているという序盤の漁船の演出、そして最後に荒れ狂う海を表現する『浪布』の3点をあげた。(編注:例えば、万次郎の乗る漁船が難破してしまう場面は、歌舞伎の伝統的手法である“浪布”と“浪衣”[浪布の下に入り、全身を使って波のうねりを表現する黒子]によって表現される)

ふたり共に万次郎役を演じるのは念願だったという。役作りについて、「(ジョン万次郎は)自分が信じたものに命をかけて突き進んでいく、一本筋の通った精神力のある人物。波乱万丈の半生を2時間で表現しなければいけないので、大変なところもあるが丁寧に演じていきたい」(島村)、「好奇心旺盛で何事にも前向きで人懐っこい。一方で慎み深さや恩を忘れないところなど、日本人らしい部分も持ち合わせている魅力的な人物。14歳から33歳までを演じるが、少年時代の万次郎の心の振り方の表現、居方を特に注意しています」(政所)と語る。

さらに「さまざまな立場で日本をよくするために本気で向き合う人たちがいた、“熱”に満ち溢れた時代。その熱やエネルギーを劇場で肌で感じていただきたい。そして自分がやりたいと思ったことは何が何でも続けていってほしい、そんな“信じる力”を受け取ってくれたら嬉しいです」(政所)「命をかけて信じるものに向かっていた時代。情熱をもって突き進んでいた、その“信じる力”を全国の劇場で届けたい」(島村)と、万次郎の生きた幕末の時代の魅力、そして開幕に向けての意気込みを語った。

本作は2020年に全国公演が予定されていたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により全公演が中止に。3年前共に稽古をしていた団員たちの想いも背負って、待望の上演となる。東京公演の上演は4月2日(日)まで。その後4月29日(土・祝)からは全国各地を巡演する。

<公演情報>
劇団四季ファミリーミュージカルジョン万次郎の夢』

2023年3月11日(土)~4月2日(日)
会場:自由劇場

4月29日(土・祝) より2024年3月まで、全国ツアー公演あり

劇団四季のファミリーミュージカル『ジョン万次郎の夢』にて万次郎を演じる島村幸大(右)と政所和行(左)