東京で相馬を感じる夜、その名も「殿ナイト」。

 福島県相馬地方。東日本大震災で甚大な被害を受けながら、不屈の精神で復興に邁進するこの土地。1000年以上受け継がれる伝統の行事「相馬野馬追」と、近隣住民から「殿」と呼ばれ親しまれる相馬氏第34代・相馬行胤(そうま みちたね)さんを中心に数々のイベントや現地ツアーを企画しています。

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 しかし現地ツアーの募集には限りがありますし、遠い相馬を訪れることが叶わない人も多い現状。そこで殿が都心に出張して相馬の魅力を伝えるイベントも企画されました。その名も殿を囲む「殿ナイト」。

 もちろんそのコンセプトは地域復興であり、大義のもとで企画された本企画。しかし参加者たちの笑顔を見ると、ただ純粋に楽しい夜でもあったよう。楽しい時間を過ごし、相馬に興味を持ち、相馬を好きになる。それこそが「殿」の狙いでもあります。ではそんな楽しい「殿ナイト」の様子を少し覗いてみましょう。

(食楽web)
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殿を囲んで会話が弾む、幻のような夜。

 最初の「殿ナイト」は、相馬野馬追の興奮も冷めやらぬ2022年9月に開催されました。

 殿の挨拶の後、卓上にずらりと並んだ料理は、どれも相馬と縁の深い食材。地元生産者が丹精込めて育てた米、郷土に伝わる漬物や煮物、そして地元でつくられる酒。相馬野馬追の映像を眺めながら味わう相馬の味は、現地に足を運べなかった方々にも、まるでその地にいるような感慨を生みました。

 この日の「殿ナイト」を通して、はじめて相馬の現状を知ったという参加者も多数。殿のピースフルな人柄と相馬の味、野馬追の風景は、きっと相馬を知らぬ人の心にも強い印象を残したはず。この第1回「殿ナイト」の参加をきっかけに、その後の現地ツアーに参加したゲストも大勢生まれました。

現地ツアーとのリンクで、さらに深く相馬にふれる。

第2回「殿ナイト」の様子
第2回「殿ナイト」の様子

 翌月に開催された第2回「殿ナイト」は少し趣向が違いました。現地相馬で食材を集めて餃子を作る「相馬の食材ハンティング&餃子作り」の開催が決定していたこの日、人気の中華料理店『味坊 秋葉原店』を舞台に、さまざまな餃子を味わい、餃子作りの第一歩とする会として企画されたのです。

『味坊』店主である梁宝璋さんが準備した餃子は、豚肉葱水餃子、発酵白菜豚肉水餃子、春菊蒸し餃子、大葉焼き餃子、干し野菜焼き餃子など多種多様。参加者たちはさまざまな餃子を味わいながら、来る現地での餃子作りの話題に華を咲かせました。

 もちろんこの日も開始と締めの挨拶は殿。相馬を離れ、東京の中華料理店を舞台にしながら、変わらぬ相馬への思いが参加者たちに響きました。

第3回「殿ナイト」の様子
第3回「殿ナイト」の様子

 さて、ときは移って2022年11月。第3回となった「殿ナイト」は、相馬で行われた餃子作りのお披露目の場となりました。

 この日も梁さんや南相馬市・原町出身の料理家桑折敦子さんが調理を担当。相馬で直接生産者と話し、思いを受け取りながら仕入れた食材を使って、現地で作った餃子を再現しました。さらにこの日は、酒造りを通して地元復興を願う『ぷくぷく醸造』の立川哲之さんも飛び入り参加。殿と料理と酒を囲んで、遠い東京から相馬を思う時間は、賑やかに暮れていきました。

 相馬に縁がある人、縁はなくても気になる人、殿に興味がある人、馬好き、侍好き、歴史好き。さまざまな人が入り混じり、食卓を囲む「殿ナイト」。その想いはさまざまなれど、参加者たちは一様にその場を楽しみ、美食と美酒に酔いしれました。こんな素敵な「殿ナイト」は今後も続々開催予定。興味が湧いた方は、ぜひFacebookで最新情報のチェックを!

参加者が殿を囲み、殿と語り合う時間を通し、相馬の魅力に触れる | 食楽web