井上真央が主演を務める金曜ドラマ「100万回 言えばよかった」(毎週金曜夜10:00-10:54、TBS系) 。3月10日放送の第9話で、直木(佐藤健)の事件の真相が明らかに。犯人に刺されて意識を失っていく最期の場面が描かれ、佐藤の迫真の演技に引き込まれた。(以下、ネタバレがあります)

【写真】悠依(井上真央)の元に駆け付けた直木(佐藤健)と譲(松山ケンイチ)

■直木はなぜ殺されたのか…

同ドラマは、運命だと思った相手を突然失った主人公・相馬悠依(井上)と、悠依の恋人で不可解な事件に巻き込まれて幽霊になった男・鳥野直木(佐藤)、なぜか直木が見えてしまうために2人の運命に寄り添わざるをえない刑事・魚住譲(松山ケンイチ)を中心に描く。

数奇な運命に翻弄(ほんろう)されながらも奇跡を起こそうとする3人が織り成す、“切なくて温かい”ファンタジーラブストーリーだ。

第9話で、直木が巻き込まれた事件の真相が明かされた。直木を殺したのは、直木がシェフを務めていた店のオーナーでもあった英介(荒川良々)だ。

20年前に少女たちに“裏の仕事”をさせていた千代(神野三鈴)を手伝っていた英介。直木が知る英介は、千代と手を切ってから学習塾の経営やこども食堂の開催などで子どもたちのために奔走する姿だ。だが、英介は過去の罪が明らかになれば「世間は許してはくれない」と、再び“仕事”を再開した千代に巻き込まれている少女たちを救おうとしていた直木の口を封じてしまったのだった。

■直木の遺体が握りしめていた花の意味

腰と胸部に剪定ばさみを突き刺された直木の目からは一筋の涙が。そして意識が薄れていくなかで目に入ったのは、14歳の頃に悠依と鉢植えしたセントポーリアという花。

そのときのこと、そしてこの日の前日に悠依を店に来るように誘ったときのことが脳裏によみがえる直木。そのどちらにも悠依のかわいい笑顔があった。

この事件が起きた日は悠依の誕生日で、直木はプロポーズしようと考えていた。「行かなきゃ…」と言いつつ、体はもう動かない。そのなかで手を伸ばして「行くから…」と再びつぶやいてセントポーリアの花を握りしめた。遺体発見時に見つかったこの花には、悠依への思いが隠されていたのだ。

佐藤健の繊細な演技が胸を打つ

言葉少なく、表情と手の動きで直木の最期を表現した佐藤健。真に迫る演技から目が離せなかった。命を突然奪われ、愛する人の笑顔をもう見ることができない痛切な思いが伝わってきた。

主演映画「世界から猫が消えたなら」では、脳腫瘍で余命宣告された主人公と一人二役で“悪魔”を演じたことがある佐藤。本作では“幽霊”という特殊な役どころを、悠依を見る慈しみに満ちた瞳や悲しみの表情、そして時にユーモラスなやり取りで見せてきた。

その丁寧な演技がファンタジーな物語を支えてきたなかで、今回の直木の“最期”の瞬間の演技は、幽霊になった理由の“思い残し”が悠依を心配する思いであることへとつながっていくことが感じられるものでもあった。

“思い残し”がなくなれば成仏するということから、本話で直木は消えた。だが、ラストでは悠依と会話も触れることもできる姿で登場。

それはどんな奇跡、はたまた夢なのか。佐藤が井上真央、松山ケンイチと共に説得力ある演技で最後まで見せてくれるに違いない。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

佐藤健の名演技に涙/(C)TBS