コロナ禍も3年。会社によってはテレワークの導入などが進み、毎日出社することが当たり前ではなくなってきています。では通勤費の扱いはどうなっているでしょうか。アンケートを取り、コロナ禍1年目と比較してみました。

減った定期券需要

「乗りものニュース」では2023年2月22日(水)から2月28日(火)にかけて、電車やバスなど公共交通機関で通勤している人を対象に、通勤費に関するアンケートを実施。169人から回答が集まりました。

「勤務先ではテレワーク導入などにより、コロナ禍前に比べて出社回数が減ったことはありましたか」。この質問に対し、「あった」と回答した人は51.5%(87人)、「なかった」と回答した人は48.5%(82人)でした。さらに、「あった」と回答した人のうち46.0%(40人)が、「会社の通勤費の支給方法に変化があった」そうです。

通勤費の支給方法に変化があったと答えた人に詳細を尋ねると、結果は以下の通りになりました。

・きっぷ・ICカード購入分が都度精算されている:65.0%
定期券の通勤費が支給されている:17.5%
回数券の通勤費が支給されている:5.0%
回数券などが現物支給されている:2.5%
・その他:10.0%

ちなみに、コロナ禍1年となった2021年3月にアンケートを実施した際の結果は以下の通りです(回答数118 複数回答可)。

・きっぷ・ICカード購入分が精算されている:80.5%
定期券の通勤費が支給されている:9.3%
回数券の通勤費が支給されている:2.5%
回数券などが現物支給されている:1.7%
・その他:12.7%

選択方法が異なるため単純比較はできませんが、コロナ禍前は「定期券支給」が84.7%、次いで「都度精算」が13.6%でした。この順位がコロナによりひっくり返り3年が経過したものの、定期券利用が圧倒的だった構図には戻っていません。

浸透したテレワーク

そして、それを裏付けるかのように各鉄道事業者の定期券需要は減少したままです。たとえばJR東日本の2022年度上半期における定期収入は、2018年度比で79.2%でした。2021年度比だと106.5%と回復基調にありますが、コロナ禍前の水準には戻っていません。

関西の私鉄でも、たとえば近鉄の実績で2019年度と2020年度の定期収入を比較すると、増減率はマイナス16.6%に。2021年度は2020年度比で1.4%増加したにとどまり、やはりコロナ禍前の水準には達していません。

最後に、「出社回数は一時減った時と比べどうなりましたか。最も近いものを選択してください」と質問したところ、結果は以下の通りでした。

・変わらない(週に何日かはテレワークなどを継続して実施):45.0%
・増えた(コロナ禍前と同水準):27.5%
・減った(フルリモートなど):27.5%

定期券の支給を受ける人が増えたことからもうかがえるように、出社の回数も確かに増加しているようです。しかしテレワークを導入できる職種の人は、世間が「ウィズコロナ」へとシフトしても、継続してテレワークなどを実施しているようです。

昨今の物価高騰は運輸業界も例外ではなく、多くの事業者が鉄道やバスなどの運賃や料金を値上げします。各事業者は「運輸収入がコロナ禍前に完全に戻ることはない」と見込んでおり値上げに踏み切っているほか、ワンマン運転の拡大やチケットレス商品の拡充などでコスト削減を図っています。

●アンケート実施概要
・調査期間:2023年2月22日(水)18時ごろから2月28日(火)13時ごろまで
・調査方法:Questantのシステムを利用して調査
・対象:「乗りものニュース」のSNS(Twitter、Facebook)のフォロワーなど
・有効回答数:169

通勤費はどうしていますか?(画像:写真AC)。