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ランニングコスト削減と持続可能性に貢献できるかも

わたし達が日常的に「エアレスタイヤ」を履いて走る日は来るのだろうか? そもそもそれは必要なのだろうか?

【画像】パンクしないエアレスタイヤ【ミシュラン、グッドイヤー、トーヨータイヤのエアレスタイヤを写真で見る】 全12枚

タイヤメーカーはここ数年、いわば車輪の再発明を試みてきたが、スコットランド人のロバートトムソン氏と後にジョン・ボイド・ダンロップ氏が考案した空気入りタイヤを上回るものはまだ生まれていない。

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ミシュランは、高耐久のエアレスタイヤで年間2億本のタイヤを廃棄から救えるとしている。

今年1月、ミシュランはパンクしないコンセプトタイヤ「Uptis」を、シンガポールで物流企業DHL社の配送車両に装着して試験運用すると発表した。Uptisは2023年中に導入される予定で、パンクによるダウンタイムとタイヤの廃棄というコストのかかる問題の克服を目指す。

ここで、パンクしないタイヤは、乗員にとって何かしらメリットがあるのだろうかという疑問が生じる。ミシュランは、Uptisは乗用車と小型商用車に対応しており、一般的なタイヤよりも「道路上の危険」に強いと述べている。

空気を使わないので、高負荷サイクルで働く配送業者だけでなく、一般の乗用車ドライバーも悩まされる問題、つまりタイヤの「空気圧」を克服できる。当然ながら、空気入りタイヤは、適正な空気圧を保つことでその性能を発揮する。空気圧が設計値より下がると、グリップ力が低下してステアリング操作に影響するほか、転がり抵抗が増加し、燃費とCO2排出量の悪化を招く。

また、空気圧が不適切だとタイヤの早期摩耗や偏摩耗を引き起こし、4本のタイヤの空気圧が不均一になると、特に雨天時のブレーキングの安定性に影響する。つまり、タイヤ空気圧のメンテナンス不良は、極端に言えば危険なものであり、そこまででなくともコストがかかるということなのだ。

多くのタイヤメーカーと同様、ミシュランもタイヤの持続可能性、特に寿命に関する取り組みに力を入れており、持続可能な素材の使用について実験を行っている。

ミシュランは、エアレス技術が「2050年までに完全に持続可能なタイヤを」という同社の方針とマッチしていると言う。同社によれば、タイヤの12%がパンクや損傷によって早期に廃棄され、8%が空気圧のメンテナンス不良による早期摩耗や偏摩耗によって廃棄に至っているとのこと。

エアレスタイヤの導入によって、年間2億本のタイヤを節約できるというのがミシュランの主張だ。すでにエアレスタイヤの実績を積んでおり、「Tweel」はエアレスラジアルタイヤの技術を採用しているが、今のところ用途は建設業などのオフロード車や配送用三輪バイクなどに限られている。

コンセプトレベルでは、グッドイヤーが2019年にエアレスタイヤのコンセプト「Aero」を披露した。UptisやTweelにも似ており、トレッドとホイールの間に、空気の代わりにサポートする放射状のスポークを備えている。大胆なことに、Aeroは水平方向に回転するため、スポークがファンブレードとなって推力を生み出し、自律飛行する自動車として空中に浮くことができる。

ロマンチックなアイデアはさておき、タイヤメーカーが研究レベルで真剣に取り組んでいるのは、路面状況や摩耗、タイヤの構造的完全性をモニターするセンシング技術の活用である。


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