政府が全世帯に配った「アベノマスク」を巡り、国に単価や発注枚数の開示を命じた大阪地裁判決が2023年3月15日、確定した。期限の14日までに国が控訴しなかった。厚生労働省に確認した弁護団の谷真介弁護士は「早ければ来週中には文書開示までいくのでは」と話しており、安倍政権が500億円をかけた新型コロナ政策の一端が近く明らかになる見通し。

原告の上脇博之・神戸学院大教授は「国民の支払った税金から支出された以上、当然開示されるべき情報だった。厚生労働大臣と文部科学大臣の非開示処分は違法だったし、あまりにも非常識な判断だった。国は控訴することなど恥ずかしくてできなかったのだろう」とコメントした。

原告側は、配布決定の経緯や業者とのやりとりについての文書公開を求める別件訴訟を「本丸」として闘っており、4月7日に大阪地裁で弁論が開かれる。

弁護団長の阪口徳雄弁護士は「唐突な安倍総理の決定から随意契約締結や配布の経過、全世帯への配布がどれだけコロナ予防に効果があったかについて検証を行い、今後同様の感染症が発生したときに同じような愚策を行なわないための教訓を導きだすべきである」としている。

また、上脇教授は「きちんとした検証なしには、同じ過ちを繰り返しかねない。衆参の各国会議員や各政党はもちろん、衆参各院は、国政調査権を行使して、アベノマスク政策の検証に奮闘していただきたい」と訴えている。

2月28日の大阪地裁判決で徳地淳裁判長は「開示しても企業の営業ノウハウが明らかになるとはいえず、価格交渉に支障を与えるものではない」と判断。税金の使途への説明責任という観点からも、国が不開示としていた措置は不当と断じ、国側のほぼ全面敗訴を言い渡していた。

500億円アベノマスクの闇、明らかに 国に単価開示を命じた判決確定 原告「当然の結果だ」