桜の開花が間近に迫り、クラシックの前哨戦も大詰め。今週は皐月賞トライアルスプリングSが東のメインとして行われる。

 先日の弥生賞ディープインパクト記念皐月賞と同じ舞台(中山芝2000メートル)だったのに対して、こちらは1ハロン距離が短い。レース間隔も詰まっているだけに、弥生賞と比べてトライアルとしての価値は、やや低く見られがちだ。

 しかし、ここで勝ち負けして、クラシックや、のちのGI戦で大きく羽ばたいた馬は多い。

 勝ち馬では03年ネオユニヴァース、06年メイショウサムソン、09年アンライバルド、11年オルフェーヴル、13年ロゴタイプ、15年キタサンブラック、17年ウインブライト、18年ステルヴィオ。2着馬では11年ベルシャザール、12年ディープブリランテ、15年リアルスティール、18年エポカドーロといったところで、弥生賞にヒケを取ることはない。そもそも弥生賞よりも歴史は古く、目の離せないトライアルなのである。

 馬券的には、どうだろう。03年に馬単が導入されて以降、これまでの20年間、その馬単による万馬券は5回(馬連は4回)。比較的堅そうにも見えるが、この間、1番人気馬は5勝(2着7回)、2番人気馬は3勝(2着2回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は1回のみ。簡単そうに見えて、そうではないのがわかる。

 のちにクラシックで勝ち負けする馬が出ている反面、人気馬同士での決着にならないことを思うと、人気、有力どころを無条件に信用してはいけないということだろう。

 改めて今年の顔ぶれを見てみる。朝日杯FS6着以来になるオールパルフェデイリー杯2歳S勝ち)、ホープフルS京成杯で小差負けのセブンマジシャン、今回と同じ舞台だった若竹賞を楽に逃げ切ったパクスオトマニカ、ともに新馬─特別を連勝中のベラジオオペラホウオウビスケッツなどが有力候補に挙げられるが、どの馬も決定打を欠く印象。絶対視できる、抜けて強そうな馬は見当たらない。

 ここは穴党の出番だ。最も期待を寄せたいのはトーセンアウローラである。

 デビュー4戦目となった未勝利戦を勝ち上がったばかり。それも小倉とあっては、相手が大きく強化されるここでの評価は低い。しかし、その前走の勝ちっぷりが実によく、素質は確か。十分やれていいとみての狙いだ。

 均斉の取れた好馬体に、血統(母系)からも、かなりの逸材で、実際、陣営の期待度も高い。

「まだ気持ちの面で若さが抜けきれていないが、ひ弱さがなくなり、一戦ごとにたくましくなっている。乗り味もよく、今後が楽しみな馬」と、厩舎スタッフが口をそろえるほど。

 前走後はここ一本に備えて、しっかりと調整されており、1週前の追い切りもリズムに乗って実によかった。

 父マクマホンは伊ダービー馬ながら種牡馬としては見劣るが、エフフォーリア皐月賞などGI3勝)やアドマイヤムーンジャパンCなどGI3勝)など近親、一族に活躍馬がズラリと居並ぶ血統馬。

 晴雨にかかわらず大きく狙ってみたい。

 もう1頭、ジョウショーホープも穴馬として注目したい。

 前走のひいらぎ賞1勝クラス)を勝ったあと3カ月ぶりの実戦になるが、十分乗り込まれており、臨戦態勢は整っている。

 相手なりに走る勝負強さもあり、軽視は禁物だ。

アサ芸プラス