井上真央が主演を務める金曜ドラマ「100万回 言えばよかった」(毎週金曜夜10:00-10:54、TBS系)の最終回が、3月17日に放送される。一見ファンタジーな設定にもかかわらず、豪華なキャスト陣が魅せる迫真の演技が話題の同作。3月10日に放送された第9話では、悠依が死んだはずの直木(佐藤健)の腕をつかむという衝撃的なシーンで幕を閉じた。このたび、WEBザテレビジョンではプロデューサーを務める磯山晶氏にインタビューを行い、物語を盛り上げる「リンジュー・ラヴ」に関する秘話や、撮影の裏話、そして最終回の見どころなどについてたっぷりと語ってもらった。
【写真】切なくも美しい…井上真央“悠依”&佐藤健“直木”のキスシーン
■完全オリジナルの“切なくて温かい”ファンタジーラブストーリー
同作は、連続テレビ小説「おかえりモネ」(NHK総合)などを手掛けた脚本家・安達奈緒子氏による、“切なくて温かい”ファンタジーラブストーリー。数奇な運命に翻弄(ほんろう)されながらも奇跡を起こそうとする3人の姿を完全オリジナルで描く。
同ドラマには、主人公・相馬悠依(井上)にプロポーズしようと心に決めた矢先、不可解な事件に巻き込まれて幽霊になった男・鳥野直木を演じる佐藤の他、そんな二人の運命に寄り添わざるをえない刑事・魚住譲を演じるも松山ケンイチも出演している。
■ 第6話の屋上シーンは「“胸アツ”な感じがしました」
――安達さんが手掛ける脚本の魅力、印象的なせりふなどがあれば教えてください。
3人の切ないところと、かわいいところと、怖いところが共存しつつも、その振れ幅の広さを感じられることが魅力だと思います。それに、後からじんわりと響いてくるせりふもたくさんあるなと感じております。
例えば、第7話でいうと「堂々と幸せでいろよ」ですとか、「無事でいることに何の罪があるんだよ」とか。やっぱり悠依は自分だけ難を逃れていることに対して罪悪感を感じているので、そんな悠依を(直木が)励ましてあげるシーンでのせりふですね。
あとは、第6話の「鳥野直木のことだけをただひたすらに愛している彼女のことが、すごいすてきだって思っちゃったんだよ」もですね…屋上でのシーンは、最初に(台本を)読んだときから、“胸アツ”な感じがしました。
――主人公・悠依のせりふで印象的なものはありますか?
「大事な人がいるって、よく考えたら残酷ですよね」というせりふです。それに対する返しにもあったように、他の人よりこの人って順番をつけるということなので…なんだかハッとさせられることが多いです。
■姿が見えずとも口笛だけ聞こえる…こだわりの演出秘話
――これまで放送された中で最もこだわったシーンを教えてください。
直木が見えるカットと、見えないカットの使い方を意識しています。ある程度ルーズなショットに直木は映らないという約束のもと作ってきたので、直木はウエストショットあたりから映るようにしています。
第4話で、悠依が橋の上でしゃがみこんで泣いてしまっているシーンで、直木の口笛だけが聞こえてくる場面があるのですが、そこで初めて直木はいるんだけど映さないというシーンをやってみたんです。すごく切なく撮れて良かったなと思っています。
――今作で悠依と直木のコミュニケーション手段として“口笛”が登場しますが、どういった経緯で口笛を選んだのでしょうか?
(幽霊は)物に触れないということは、重力のあるものが得意じゃないとすると、一番動かしやすいものは空気かなと思って。でも、風だとハッキリしないので、最初の段階から安達さんに「口笛がいいんじゃないですか?」と話していたんです。
――マカロニえんぴつが歌う主題歌「リンジュー・ラヴ」は本作のために書き下ろした新曲です。実際にドラマに主題歌を乗せてみての感想はいかがですか?
歌詞を読めば読むほど、寄り添ってくださっているなというか、先に行っているというか…「元気でいてね」という歌詞が泣けるんですよね。
基本的に暗いドラマになりたくないなと思っているので、そういう意味も全部ひっくるめて、ありがたいなと感じています。
――第4話で初めて流れたバラードバージョンも話題になりました。
そうですね、バラードバージョンがギリギリ間に合ってよかったなと思っています。(第4話)の2日ぐらい前に完パケをもらい、第7話でも使いました。
原曲も大好きなのですが、少しポップな部分もあるので本当に悲しいシーンではバラードバージョンがいいなと思い、第1話を作るタイミングで「試しにどうでしょう?」と頼んだら作ってくださったんです。
――バラードバージョンの反響はいかがでしたか?
最初の音から違うので、皆さんすぐに気付いてくださって。(マカロニえんぴつのVo&Gt)はっとりさんも、曲自体は1分20秒しかないのですがアルバムにも入れるとおっしゃるくらい、気に入っていると伺っています。
■「皆さんがハッピーになればいいなと思います」
――最終話に向けてキャストの皆さんは何かおっしゃっていましたか?
そうですね、みんな「次の回どうなるの?」とか「最後僕たちどうなるんですか?」という話はしていますね。それに、松山さんは「こんなこと言いたい!」と具体的なアイデアまでくださって。3人はどうなるべきかということをよくディスカッションされている印象があります。
――最後に、最終回の見どころを教えてください。
話せないことも多いのですが…奇跡とは何かということなんですよね。そんなに暗い気持ちでは終わらないはず!と思っているのですが…(笑)。
よくSNSで「絶対にハッピーエンドじゃないじゃん!」といったコメントを見かけるのですが、何をもってしてハッピーエンドなのかなと思っていて。よくドラマって結婚したところで終わったりするけど、その結婚がうまくいくかどうかは分からないですよね。どこでエンドマークを打つかによって違う。
私たちは、このドラマのエンディングはここだと思って作っています。見終わった後、視聴者の皆さんがハッピーになればいいなと思います。
悠依と直木はロスタイムを与えられていること自体が奇跡なのですが、死は突然訪れたけれども、別れはちゃんと納得いく形でできたんじゃないかなと。「誰もが、一番愛している人にきちんと“さようなら”を言えないまま、お別れすることになりませんように」というのがテーマなのでそこはしっかり伝えたいですし、3人が前向きに生きられる形で終われるといいなと思います。
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