子供の頃から漫画が好きで、ユーモア溢れる漫画を描いている宮野シンイチ(@Chameleon_0219)さん。Twitterにて公開された「夜逃げ屋日記」は、DV被害などに遭う依頼者を夜逃げさせた実話を基に描かれ、今回紹介する漫画も2100いいねを超える人気漫画家だ。今回は、Twitterに投稿されている中から「夜逃げ屋日記」の第12話を紹介するとともに、本作に登場する依頼者についても詳しく聞いた。

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今回の依頼者は、大崎ノブコさんと息子のソウスケ君。ノブコさんは10年ほど前に旦那さんと離婚してから一人でソウスケ君を育てているが、病弱のソウスケ君の看病のために仕事が休みがちになり、仕事を解雇されてしまった。

現在は社員寮に住んでいるため、年始の営業日までに引っ越さなければならない状況だ。この時期は仕事納めした引っ越し業者も多く、藁にもすがる思いで夜逃げ屋に電話してきたとのこと。

社員寮へ到着した社長と宮野、デンゾウさんの3人は早速家の中に入れてもらうと、なんと大量のゴミ袋が山積みされている…。

社長が「このゴミは?」と聞くと、ノブコさんは「移転先に持っていけます?」と普通に話す。「ゴミですよ?捨てないんですか?」と社長が再び聞くと、「じゃぁ、適当に捨てておいてください」といい加減に返事する。

家の様子を見た社長は、「単刀直入に聞きますけど、依頼料払えます?」とノブコさんに質問。先日の電話では既に用意していると話していたが、ノブコさんは動揺した様子で「今日は払えません…」と一言。そして、「来月には給料が振り込まれるので、来月まで待ってもらっても…」と正直に話すも、社長は「ウチは原則前払いです。今回は帰らせてもらいます」ときっぱりと断る。

すると、ノブコさんは「お願いします。夜逃げさせてください!」といきなり3人の前で土下座。なんでも、解雇されて退寮するにあたり会社とかなり揉めたようだ。そして、「助けて」と目に涙を浮かべながら3人に訴えかけ、さらに「少しだけ待ってください。家にあるお金をかき集めるので!」と言うと、ごみ箱などを覗いてお金がないか探しはじめる。

ノブコさんの様子を見て思わずため息が出る社長。「もう一人のスタッフが到着するまでですよ」とノブコさんに伝え、あと少しだけ待つことに。そして、「行くぞ、お前ら」と言いその場を後にする。

果たして、もう一人のスタッフが到着するまでにノブコさんは依頼料を払えるのか?今後の展開からますます目が離せない!!

現在も夜逃げ屋のスタッフとしての顔を持つ宮野シンイチさん。今回は、宮野シンイチさんに本作に登場した大崎ノブコさんについてインタビューした。

――大崎ノブコさんのように、依頼料を前払い出来ない依頼者についてどのように思われますか?

「当時は本当に気の毒に感じました。当日お金を払えないと言ってきた人は、この人が初めてだったので、特にその感情が強かったことを覚えています」

――大崎ノブコさんの家の中にはかなりのゴミが積まれていますが、夜逃げする人にはこのようなことがよくあるのでしょうか?

「つい先日もありましたし、散らかり具合に個人差はありますが、散らかっていること自体はよくありますね。精神的に追い詰められると、部屋の片付けなんてできないような方は多いようです」

取材協力:宮野シンイチ(@Chameleon_0219)

夜逃げ屋スタッフと社長に土下座してお願いする依頼者のノブコさん/画像提供:宮野シンイチさん