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 いよいよ残すところあと2試合。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に挑む侍ジャパンの戦いが正念場を迎える。チームは17日に決戦の地・米国マイアミ入り。20日(日本時間21日)の準決勝の相手はメキシコに決まった。

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 2021年の東京五輪でも7月31日のオープニングラウンドで対戦。先発・森下暢仁が1回に先制を許したものの、山田哲人の3ランなどで逆転し、日本が7―4で連勝してノックアウトステージ進出を決めた。対するメキシコはこの敗戦も響き、メダルを逃すどころか出場6チーム中最下位。もっとも指揮を執るのは当時と同じベンジー・ギル監督だが、メジャーリーガーがそろう今回のチームの面子は大きく異なる。

 プエルトリコ相手に4点ビハインドを逆転した準々決勝のスタメン9人は、全員現役メジャーリーガーが名前を連ねた。キューバから亡命し、すでに9打点と絶好調の1番ランディ・アロザレーナや、19年にはオリックスプレーしながら禁止薬物に陽性反応を示して退団したジョーイ・メネセスら多士済々な面々。そんな中で鍵を握ることになりそうなのは、ブルワーズで中軸に座る2人だ。

 メキシコ代表の4番を打つラウディ・テレスと、6番のルイス・ウリアスの2人。ともに2018年にメジャーデビューを果たした。193センチ・122キロという見るからにパワーがありそうな巨漢のテレスは、昨季35本塁打。米国代表のポール・ゴールドシュミットムーキー・ベッツと並び、ナ・リーグ5位タイだった長距離砲だ。昨季計測した最速打球速度116・9マイル(約188km)はナ・リーグ3位というものだった。

 一方のウリアスは2021年にメジャー定着。23本塁打、75打点で勝負強さを発揮した。また、こちらの売りはユーティリティ性。同年は遊撃で59試合、三塁で58試合、二塁で16試合に先発出場。昨季も三塁で54試合、二塁で33試合、遊撃で22試合だった。メキシコ代表では主に二塁を任されているが、チームの緊急事態にも柔軟に対応できる強みがある。打順に関しても2021年は3番と9番を除く全打順で先発出場。昨季も3番を除く全打順で先発出場し、2番18試合、4番16試合、5番12試合、6番22試合、7番34試合と、どんな役割にも適応できて選手起用に幅を持たせる潤滑油的存在だ。

 ブルワーズは昨季は86勝76敗の地区2位ながらプレーオフ進出を逃した。それでも2018~2021年まで4シーズン連続でプレーオフ進出を果たしていた強豪。その中軸を打つ28歳のテレスと26歳のウリアスは、メキシコ代表の心臓と言ってもいい。

 チームはエース格のフリオ・ウリアスパトリック・サンドバル、タジュアン・ウォーカー、ホセ・ウルキーディといったメジャーバリバリ先発投手陣が最大のパワーポイントと見られていたが、米国やプエルトリコといった強豪相手のジャイアントキリングを演出してきたのは、この2人。打線の中軸に座る2人にいかに仕事をさせないかが、決勝進出への最大のポイントとなる。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

メキシコ打線の心臓部に座るブルワーズの主軸2人「テレス」と「ウリアス」をいかに分断できるか【侍ジャパン】