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侍ジャパンは20日(日本時間21日)に行われたWBC準決勝(マイアミ・ローンデポパーク)に6-5のサヨナラ勝ち。9回に村上宗隆(23)がサヨナラタイムリーを放ち、熱戦に決着をつけた。
一進一退の攻防を続ける中、光ったのは7回の吉田正尚(29)の3ランにもあった。
0-3と3点を追う7回二死一、二塁。左腕ロメロの5球目に投じたチェンジアップを捉え、右翼ポール際へ運ぶ値千金の3ランをマーク。最後は右腕一本で運ぶ芸術的なアーチには海外メディアも反応。今季からレッドソックスに所属し、本格的にメジャーリーグに挑戦することで早くも活躍を確信する声が続々飛び出している。
試合後の会見では、この場面を振り返って「自分を信じて強い気持ちで打席に向かいました」ときっぱり。打ったチェンジアップは直前の打席でも見ていたことで、対応できたことも大きかったと話した。
この日のアーチで13打点と17年大会でバレンティン(オランダ)が記録した12打点をこえ、大会最多打点を更新した。また身長172センチと野球選手にしては小柄な体をめいいっぱい使って、フルスイングする姿も感動を呼んでいる。
この日は侍ジャパンの公式サポーターを務める中居正広氏が試合中にこんな吉田のコメントを紹介した。
「国際大会だと体の小ささが際立つと思うんですけど」としながら、過去には「手足が長い選手をうらやましく思う時期もありました」と率直な心情を吐露。その上で「ただ自分の体のことを知ることが大事。小さくても体に合うトレーニングを行えば、野球は絶対にうまくなります」。図らずも全国の野球少年に向けられたかのようなメッセージに、共感の輪が広がっている。
吉田といえば、現在のような体を作り上げるまでにハンマー投げ金メダリストの室伏広治氏(現スポーツ庁長官)に師事したことも知られている。プロ入り後、コンディション不良に悩まされたことから、室伏氏にトレーニングの方法を伝授され、こつこつと体作りに励んできたことが、現在のフルスイング、その後のメジャーリーグ挑戦につながっている。
会見の最後には「日本の野球の素晴らしさを世界に証明できるチャンス」と大きな使命を口にした吉田。過去には09年大会のイチローの勇姿など、国際大会の舞台で見た野球選手の活躍が野球振興につながってきた歴史がある。決戦の舞台でも「期待を裏切らない男」の本領発揮といきたいところだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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