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「円満な解決」は実現するか?

フォルクスワーゲンは、欧州自動車業界で大きな争点となっている次期排ガス規制ユーロ7について「円満な解決」が見えてきたと、ブランドCEOのトーマス・シェーファー氏が述べている。もし実現しなければ、コスト負担を理由に小型車のポロを廃止する可能性が高いという。

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欧州の自動車業界各社は、昨年11月に発表されたユーロ7の提案を「実行不可能」「役に立たない」と非難した。欧州委員会はユーロ7の導入によって車両販売価格が90~150ユーロ(1万2000~2万円)上昇するというが、メーカーはこれに異議を唱え、小型車の販売中止に追い込まれる可能性があると指摘している。

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排ガス規制が厳しくなると小型車の販売が成り立たなくなるという。

フォルクスワーゲンは、ポロの存続が脅かされていると主張する。シェーファー氏は「小型の内燃機関車は、法外に高価になります。これは、現在のような小型車の存続を不可能にするものです」と述べている。

フォルクスワーゲンは先日、2025年に発売予定の小型EVを予告するコンセプトモデル「ID.2all」を公開した。内燃機関のポロと並んで販売する計画だが、排ガス規制が強化されればその見通しは暗い。

シェーファー氏は最近、欧州委員会に追加コストを提示し、大型車には適用できるかもしれないが、小型車にとっては厳しいものだと主張したという。

アウディA6のように、すでにハイブリッド技術とオートマチック・トランスミッションを搭載している車種にとっては、今回の措置は大きな問題にはならないでしょう」としながらも、低価格車にこれらを搭載すると追加コストが問題となり、「法外に高価なものにしてしまう」という。

2025年7月1日から乗用車と小型商用車にユーロ7を適用するというスケジュールも、まだテストと検証を完全に終えていないことを考えると、あまりにも急すぎる。

自動車メーカーにとって非常に厳しい流れだが、議論は自動車メーカーにも向けられつつある、とシェーファー氏は考えている。「おそらく、多くの誤解があるのでしょう。最近のやり取りから、この先円満に解決できるように感じました。そう願います」

欧州委員会が自動車メーカーに有利な案を提示するかどうかは、「ポロの未来に関わる」という。

EU(欧州連合)はここ数年、実験室での計測データだけでなく現実世界での結果を重視し、実際に公道を走行して排ガスを評価するRDE(Real Driving Emissions)試験を導入している。RDEはユーロ6の「抜け穴」を塞ぐもので、フォルクスワーゲンが中心となったディーゼルゲートの余波から2017年に導入された。

フォルクスワーゲンなどの自動車メーカーは、2035年以降にEU圏内で内燃機関車を実質的に禁止する法案によって電動化が進み、ユーロ7が無意味なものになりつつあると主張する。「解決策は電動化。誰もがわかっています」とシェーファー氏は語る。「内燃機関車のボリュームはユーロ7導入後の2026/27年ですぐに減少します」


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