
もとから、ゆるっとふわふわ、ぷくぷくのキャラクターなのかと思いきや初期設定は割とホラーだったようだ。むしろ子どもにトラウマを与えかねないレベルだったようだ。
フランスの老舗タイヤメーカーのキャラクター「ミシュランマン」は、今はマショマロみたいにかわいいけれど、デビュー当時はかなり容姿が異なっていたのである。
B級ホラー映画に出てきそうな外見から、いつのまにやらイメチェンしてたミシュランマンの変遷にせまってみよう。
125年もの歴史があり世界で最も古く、最も愛されている商標の一つとされるミシュランマン。しかしその原型は今とずいぶん違ってた。
また知名度が低かった当時は、地元フランスで定着したニックネーム「ビバンダム」と呼ばれることが多かった。
きっかけはタイヤの山と画家の絵
このキャラクターの誕生は1898年。きっかけはミシュランの創業者である兄弟、アンドレ・ミシュランとエドワール・ミシュランが目にしたタイヤの山と、ある画家の作品だった。
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1894年フランスのリオンで開催された国際的な博覧会の自動車ショーに出展した際、ブースの目印に積み上げたタイヤから人を連想した弟のエドワールが、それに手足をつけることをひらめいた。

障害物を飲み干すミシュランタイヤ
さらにその5年後の1989年、今度は兄のアンドレがオ・ギャロという画家のあるスケッチに目を留めた。
お酒の広告用に描いたものの不採用になったその絵は、ゴブレットを持った恰幅の良い男性が「Nunc est bibendum !(ヌンク・エスト・ビバンダム)」というセリフとともに乾杯のポーズをとっていた。
そのセリフはラテン語で「さあ飲もう!」という意味。その絵に惹かれたアンドレはマスコットのイメージや伝えたいメッセージをオ・ギャロに依頼。
その後完成したのは、前述のラテン語のセリフと釘や割れたガラス片が入ったゴブレットを飲み干そうとするミシュランマンのイラストだった。

その下には「あなたの健康のために。ミシュランタイヤは障害物を飲み干します」というメッセージがフランス語で添えてあった。
地元フランスやアメリカでの名は「ビバンダム」
つまりその絵は「多くのタイヤが苦手とする障害物の上を走っても、当社のタイヤなら安全に快適に走れますよ」というアピールだったもよう。
以来、無名だったマスコットは「ビバンダム」と呼ばれるようになり、フランスやアメリカの一部では今でもその名やそこから派生した「ビブ」というあだ名で呼ばれている。
怪人風から愛嬌があるキャラへ。ミシュランマンの変化
初期のミシュランマンは眼鏡をかけて葉巻やお酒もたしなんでいる怪人風。その風貌は高価な車を所有するお金持ちのファッションを意識したともいわれているが、体形も今よりずっと貫禄があった。

巨大なミシュランマン2人が馬車で宣伝

ごっそり踏んでも余裕だぜ!
葉巻をくゆらしつつ足裏の釘を見せるミシュランマン 1912年

馬車の次には宣伝カーで登場 1926年



バンド演奏までしてたらしい


あれ急にかわいくなった?

それからはより親しみやすく、より身近なキャラに路線変更。

時代の流れとともにホラーみや暗さが薄れ、愛嬌がある明るいキャラに変わっていったミシュランマン。
初期バージョンも決して嫌いじゃないけれど、子どもにとってはアレかもだからやっぱこっちのほうがいいっちゃいいかな。
References:historydefined / wikipediaなど /written by D/ edited by parumo

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