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ベンガルトラの白変種で白い被毛と青い瞳が美しいホワイトタイガー。野生には存在しないと言われる希少なトラの個体が先月末、ギリシャにある動物園の駐車場のゴミ箱の下に捨てられているのが発見された。当局は個体が違法野生生物取引の犠牲になったとみて調べを進めているが、様々な健康上の問題を抱えているため安楽死の可能性もあるようだ。ギリシャのニュースメディア『Keep Talking Greece』などが伝えている。

ギリシャの首都アテネにあるアッティカ動物園の駐車場で先月28日、清掃員がゴミ箱の下に白いネコのような動物を発見、同園のオーナーに知らせたところ、希少なホワイトタイガーであることが判明した。

同園の創業者ジャンジャック・ルスュール氏(Jean-Jacques Lesueur)によると、監視カメラの映像には、前日の午後11時半頃に駐車場のゴミ箱に近づく1台の車が映し出されていたという。

動物園の獣医で現在、ホワイトタイガーをケアしているノイ・プサルダキ氏(Noi Psaroudaki)によると、個体は生後3か月ほどのメスで、やせ細り脱水症状だったという。また健康上の問題を多数抱えており、今月12日のInstagramで次のように述べていた。

ホワイトタイガーが白いのは劣性遺伝によるもので、近親交配でかけ合わせた結果生まれてくるため、問題が生じるケースが多い。この個体は誕生後間もなく母親から引き離され、哺乳瓶でひどいミルクを与えられた後、質が低い餌に切り替えられたのだろう。また室内に閉じ込められ、これまで太陽の光を浴びたことがなかったと思われる。考えられるのは、飼育の訓練を受けたことや知識のない者が購入したものの、障がいに気付いて手に負えなくなり捨てたということ。今は酷い痛みに苦しみ、動くこともできないでいる。」

またルスュール氏もその後、この個体が酷い栄養失調ビタミンDが不足していること、また後ろ脚が麻痺して非常に危険な状態で安楽死もあり得ることを伝え、次のように述べた。

ホワイトタイガーは野生には存在せず、現在は動物園サーカスでしか見られない。この個体は違法な野生生物の取引の犠牲になり、結局は捨てられてしまったのだろう。」

そしてアッティカ動物園は18日、Facebookに「この若いホワイトタイガーは自分で餌を食べることができない。それでもスタッフが食事を与えてきた結果、体重が1キロ増えた」と綴り、15日に実施されたMRICTスキャン検査の結果についてこう記していた。

「この個体は先天性の奇形のほか、誕生後の不適切な管理によって生じた健康上の問題がある。脊椎、骨盤、肋骨、そして複数の骨に異常が見られ、体を動かすと痛みに襲われてしまうようだ。また骨格の奇形のために内臓が圧迫され、食事を摂ったり呼吸をすることさえ困難にしている。」

さらにこの個体にはビタミンやミネラルの不足、骨の脆弱性が見られるほか、後ろ脚には手術をしたことを示唆する金属製のピンが挿入されていたそうで、アテネのジャーナリスト、タソウラ・エプタキリさん(Tassoula Eptakili)は17日、SNSに次のような投稿をしていた。

ホワイトタイガーの今後については獣医師委員会が決めること…。ただ誰もあの動物の死を望んではおらず、安楽死には反対する。それでも私たちは、動物の生活の質と尊厳について考える必要がある…。苦しまないことが大前提だ。全てが上手くいくことを願う。」

そしてこの投稿には「太陽の光、愛、親身な世話で動物は回復する。この子が自分の脚で立てるようになることを願う」「動物には魂がないという人がいるけど、あの瞳を見て! なんて悲しい目なんだろう」「美しい瞳!」「あの瞳は痛みで溢れている」「奇跡が起きることを祈る」「この子が苦しむのは見たくない」「全てが上手くいくことを願っているよ!」といったコメントが寄せられた。

なおトラの飼育は非常に困難なため、もしこの個体が生き延びることができたとしたら、専用の保護施設に移送されるだろうということだ。

画像は『Australian Broadcasting Corporation 2023年3月19日付「Three-month-old white tiger cub found abandoned in rubbish bin outside Athens zoo」(Reuters: Stelios Misinas)』『Keep Talking Greece 2023年3月13日付「White Tiger Cub’s health improving; prosecutor intervenes」』『Tassoula Eptakili 2023年3月17日付Instagram「Η μαγνητική έγινε στο」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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