
商談、トラブルの解決、家庭内での家事分担、男女の駆け引きに至るまで、日常はあらゆる交渉の連続だ。しかし、日本人は“お人よしの交渉ベタ”で主張を押し通せないこともしばしば……。そこで、SPA!は百戦錬磨の交渉のプロが監修した全22問の「交渉力検定」を作成。今回は番外編として、日夜“厄介な交渉”と対峙するプロたちを「一本取られた!」と唸らせた交渉術エピソードを聞いた。
◆【タクシー運転手編】月曜深夜or20~21日に「◯◯◯◯円しか持ってない」
「乗るときに『あそこまで◯◯◯◯円でどう?』と真正面から値引きの要望や、メーター6000円のときに『5000円しかない』などと絶妙に少ない金額を提示してきたりする客がいる。普段は断るけれど、通じる“時期”がある。
たとえば一番客が少ない月曜深夜だったり、あとは毎月20~21日。運転手にとっての“締め日”がだいたい22日で、ノルマのために少しでも売り上げを伸ばしたい運転手は多いからね。半額だとさすがに断るけど、7~8割なら『早く他を拾って稼ごう』と受け入れてしまう。差額は自腹だけどね。ただ、タクシー料金の値引き交渉ってホントは違法だからね!」(50代・大手タクシー会社運転手)
◆【飲食店店主(個人店)編】「半年分の飲食費を先払いさせて」
「コロナ禍である客が『今大変だろうから半年分先払いさせて』と20万円置いていった。その後も足繁く通ってくれたが、毎回何かしらサービスすることになるので結果的に毎回会計をするより相手が得をしていた」(40代・個人経営居酒屋店主)
◆【風俗店店長編】「童貞が今日のために遠方から来たんです!」
「客がゼロよりもついたほうがマシだから『新人だから割引して』『予算がここまでなんだけど』といった交渉文句に応じることもしばしば。ただ、一番『負けた』と思ったのは『童貞なんですけど、今日のために遠方から遊びに来たんです。でも、交通費が予想よりかかって手持ちがこれしかなくて……』と40手前の男にまっすぐな目で言われたとき。
こっちも男だから『よっしゃわかった!』と1万円値引いた。でも、あとから聞けば、その風俗街界隈では有名な値引き野郎だった(笑)。まぁこっちも人間だから熱意にほだされることはあるってことだね」(50代・中級風俗店店長)
◆【キャバクラ黒服編】黒服にお土産を持参し「今日もお願い!またくるから!」
「キャバクラは値切られてもいいようセット料金はあらかじめ高めに設定していて、7000円なら正直5000円まで落とせる。中には黒服にお土産を持ってきたうえで値引きを求める客も。もらっている手前むげにもできず、いつも値引いている」
◆【コールセンター編】「お願いします、お願いします、お願いします!」
「クレカ利用料金の督促で、期日の延長を求める電話の最中に罵詈雑言を吐かれることもあるが、こちらが何を言っても『お願いします』を連呼する人が一番イヤだった。気味が悪くなって、相手の要求をのんだ」(20代・派遣社員)

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