インドを公式訪問していた岸田文雄首相が3月21日に空路ポーランドに飛び、そこから陸路でウクライナ入りした。メディアは「電撃訪問」としているが、以前からウクライナ入りを模索していたのだから、とても電撃とは言えない。

 岸田首相は昨年以降、ロシアの侵攻が続くウクライナの首都キーウへの訪問を模索し続けてきた。ウクライナ情勢が主要な議題となる、5月の広島での先進7カ国首脳会議(G7サミット)の議長国を務めるにあたり、G7首脳の中でただひとりだけウクライナを訪問していない負い目を払拭させる魂胆が透けて見える。

 今年2月に米バイデン大統領がウクライナを訪問したのはまさに電撃だったが、それでも国際的な話題はさほどなかった。今回、岸田首相のウクライナ訪問も、残念ながら大きな話題になることはない。

「ウクライナに招待されてから、訪問時期は検討し続けてきた。今は何も具体的に決まったものはない」

 3月19日夜、インド訪問前の岸田首相は、首相公邸で記者団にそう語った。だが、水面下ではインドを訪れてモディ首相との会談を行った後、ウクライナに電撃訪問する手はずを整えていたのである。

「岸田首相がウクライナ入りの計画を立てたのは、今回が初めてではありません」

 と明かすのは、政府関係者である。続けて、

「昨年6月にはドイツでのG7エルマウサミットに合わせて、ウクライナ訪問を検討しました。隣国ポーランドを経由し、陸路で首都キーウを目指すものでしたが、他の外交日程との関係で、実現しませんでした。同様の計画は、昨年末にも持ち上がっています。ところがこれも、ロシア軍によるキーウへのミサイル攻撃や自爆型ドローン攻撃が激しさを増し、実現には至っていません」

 訪問が難航したのは、NATO(北大西洋条約機構)などに加盟しておらず、安全上の制約があったことが大きい。戦後、日本の首相が、戦闘が行われている国や地域を訪れたことはない。

 G7首脳の中で、議長役の岸田首相が最後の訪問となったが、

「それならウクライナからすぐにフロリダに飛んで、日本国民が大きな関心を持つWBCの選手たちを労えば、間違いなく好感度はアップしましたね。まさしく電撃訪問になります。首相は始球式にも登場したのに、どうもタイミングが悪いですね」(政治部記者)

 政治も野球も、大事なのはタイミングなのである。

アサ芸プラス