政府専用機を用いず、ビジネスジェットをチャーターし、ウクライナへ電撃訪問した岸田首相。このとき使用された機体は、「世界でもっとも豪華なビジネスジェット」とも称されたモデルです。どのようなものなのでしょうか。

「世界でもっとも豪華なビジネスジェット」とも

2023年3月21日岸田首相ウクライナへの電撃訪問を敢行しました。このとき、首相は政府専用機を用いず、ビジネスジェットをチャーターし、ポーランドまで移動したとされています。総理が乗ったとされる機体は、実は大谷翔平選手がWBCのため里帰りに使用したものと同じモデルです。どのようなプライベート・ジェットなのでしょうか。

2人が乗った飛行機は、2018年にデビューしたボンバルディアの大型ビジネスジェット「グローバル 7500」と見られます。海外メディアなどでは、「世界でもっとも豪華なビジネスジェット」と称されたこともあるモデルで、全長は33.8m、全幅は31.7m。ビジネスジェットといえど、その全長は2023年現在、北海道を拠点とするAIRDOの主力機のひとつで、かつてANAでも使用されていた120席クラス旅客機ボーイング737-700(33.6m)とほぼ同等です。

2021年には、ANA(全日空)と双日が2018年に共同で立ち上げた「ANAビジネスジェット」が、グローバル7500の機内を公開しています。

同機は、セクションごとに分かれた3タイプの客室が設けられており、対面式の白い革張りのシートが10席ならんでいます。中央セクションは、まるで「空飛ぶリビング」のような3人がけのソファや大型テレビなどが設けられたエリアになっています。後方セクションは寝室で、設置されているベッドは幅こそ小ぶりなものの頭上に読書灯などが備わった本格的なタイプのものでした。これら3つのセクションの間は、ボタン式の「自動ドア」も装備されていました。

豪華すぎるグローバル7500、その特長やお値段は?

なお、グローバル7500は、機内の客室レイアウトを顧客のニーズに合わせて変更することができるので、岸田首相、大谷選手が乗った機体が同じレイアウトを採用しているとは限りません。いずれにせよ、ANAビジネスジェットが公開した機体と同じような豪華仕様となっていることは間違いなさそうです。

また、ボンバルディアによると、グローバル7500は「世界最大かつ最長の航続距離を持つビジネスジェット」とのこと。その航続距離は1万4260km(7700海里)とされ、ニューヨーク~香港、シンガポールサンフランシスコなどで直行便を運航できるとしています。

ちなみにANAビジネスジェットによると、大型ビジネスジェットで東京~ニューヨーク間を往復するとなると、約3900万円が一般的な価格だそうです。

グローバル7500(画像:ボンバルディア)。