
女性がデートや肉体関係を提供して、金銭的なやり取りを行う「パパ活」が大きな注目を集めている。
2018年ころから話題となり、コロナ禍で仕事が無くなった女性を中心に、気軽にお金を稼げることから大ブームに。最近ではパパ活専門のアプリも登場するなど、改めて社会問題としてニュースに取り上げられることも多くなっている。
そんなパパ活では、金銭トラブルがつきものだ。今回、学生時代に荒稼ぎしていたという、IT企業に勤務する岸田佳穂さん(仮名・23歳)にパパ活とお金について話を聞いた。
◆一晩で10万円近くのお小遣いが
大学時代に地下アイドルとしても活動していたという岸田さんがパパ活をはじめたのは、4年前の秋。タレント仲間に誘われて金持ちの飲み会に参加したのがキッカケだったという。
「わたしはいわゆるギャラ飲みから参加していました。相手は芸能人やIT企業の経営者などで、お触りも肉体関係もなく一晩で10万円近くお小遣いがもらえる。一番稼げていた時は、3軒くらいハシゴして、1日で30万円近く稼げていました。タレントとしては全然売れていませんでしたが、ギャラ飲みでは平日でも指名が入るようになっていました」
◆芸能活動を続けていたのは「肩書のため」
ギャラ飲みで稼いだお金は、地下アイドルのギャラと比べて数十倍にも及んだ。
「最高に稼いだ月は200万円くらい。正直、ファンもたいしていない無名のアイドルでしたから、もっとも稼いだ月でも5万円ほど……。ただ、売れていなくても『現役アイドル』の肩書は人気が高いので、大学を卒業するまでは芸能活動も続けていたんです。コロナ禍になってからは、個別に会うパパ活にシフトし、常に5人位は確保していました。コンスタントに月100万円以上は稼いでいたと思います」
◆稼いだお金を湯水のごとく使う
気づけば、大手企業の部長職くらいの稼ぎを叩き出していたわけですが、貯蓄の概念は皆無。まさに湯水のごとく使ってしまっていたとか。
「ご飯は、美味しいところに行くのに慣れたからか舌が肥えてしまって。彼氏や友達と会うときにも客単価数万円の店に行ってました。はじめは周りもひいていましたけど、わたしが全額奢ると分かった途端、喜んで食べていましたよ(笑)。食事以外にもブランド品やエステなどで浪費を重ね、当時稼いだお金はほとんど残っていません」
◆何人かとホテルまで行ったが…
バブリーな生活を存分に満喫したわけだが、現在はパパ活とは距離をおいている。理由は「新陳代謝」だ。
「パパ活市場も、アイドルと同じで“旬”があって、わたしのお得意さんもどんどん新しい子に乗り換えていました。その度に、新しいパパを見つけていたのですが、なかなか太客が現れなくなり……。肉体関係がないとNGというパパの希望に応え、覚悟を決めて、何人かとホテルまで行ったのですが、徐々に精神を病み始めてしまい……。結果的にパパ活自体をきっぱり卒業する覚悟ができました」
◆確定申告をしていなかった
ニュースで報じられているパパ活の報道を、遠い過去の出来事のように見ていた岸田さん。しかし、昨年末辺りから雲行きが怪しくなってきたとか。
「ギャラ飲みとかパパ活していた仲間から、『税務署になにか聞かれている?』という連絡が。どうも、派手に稼いでいたタレントなどが目をつけられていて、わたしの友達もその対象になっていたようでした。地下アイドルとしての収入はわずかだったこともあり、まともに確定申告もしておらず、それについて所属事務所から特に何も言われていませんでした。まさかパパ活のお金で税務署から目をつけられるなんて思いもしませんでした……」
◆税務署からの連絡に怯える日々
実際、税務署は「取っ払い」の世界にメスを入れはじめている。ギャラ飲みで稼いだ4000万円の所得を無申告だった女性に対して、加算税を含む「1100万円」の追徴課税が課せられたことは昨年大きく報じられた。岸田さんの友人も、何かしらのルートからギャラ飲みやパパ活がバレたようだ。
「いま追徴を受けている女性たちは、パパ活のマッチングアプリを運営している会社に税務調査が入ったのが原因らしいです。わたしは、知り合いからの紹介ばかりだったので、いまのところセーフです。でも、最近私と同じく紹介だけで稼いでいた友達のところにも、『追徴課税の1000万円を払え』という趣旨の書類が届いたそうです……。自分もその子と同じくらい稼いでいたので、いつか払わないといけないのかと怯えて暮らしています」
◆払う必要に迫られたら「一巻の終わり」
前述した通り、稼いでいたころの貯金は全く残っていないため、仮に追徴金を払う必要に迫られたら「一巻の終わり」と肩を落として話す。
「今の稼ぎでは、すぐに1000万円を用意するのは不可能です。そうなると、またパパ活するか風俗で働くかしかなくなるでしょうね。一緒にパパ活していた仲間も、みな警戒して連絡が取れなくなっているし、どうしたら良いのかわかりません」
パパ活だろうが風俗勤務だろうが、所得を申告して税金を払うのは国民の義務なので、いわば自業自得といえるだろう。「家族や友達には、羽振りが良かったころは『芸能の仕事が調子良かった」と話していたので、今さら誰にも相談もできない」と話す岸田さんは、ただただ自分の無知を悔やんでいた。
文/高橋マナブ
【高橋マナブ】
1979年生まれ。雑誌編集者→IT企業でニュースサイトの立ち上げ→民放テレビ局で番組制作と様々なエンタメ業界を渡り歩く。その後、フリーとなりエンタメ関連の記事執筆、映像編集など行っている

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