Twitterなどに書き込まれた内容が名誉毀損にあたるとして、立憲民主党(泉健太代表)が起こした裁判で、東京地裁(長尾崇裁判官)は3月23日、権利侵害を認めて、投稿者の情報開示をプロバイダに命じる判決を言い渡した。

判決文によると、立憲民主党が問題としたのは、2022年5月のTwitterやnoteなどの投稿だ。

いずれも、団体名の「立憲」と「脱糞」を差し替えて、「脅威の下ネタ団体 脱糞民主党」としたうえで、「焼肉屋さんのお座敷でわざわざ脱糞。そして知らん顔でトンズラwww ええ歳した愛知県議らが何をやってんだwww あり得ないだろwww」と記載した。

また、党のロゴの「CDP」の一部を排泄物のイラストに差し替えた画像とともに、文春オンラインの記事URLがつけられていたという。

文春オンラインは2022年5月30日立憲民主党所属の愛知県議らが会食した高級焼肉店の個室に排泄物が放置されていたという「事件」を報じていた。

立憲民主党は訴訟で、文春記事では、議員らが排泄行為をしたという事実まで摘示されていないと主張。また、報道を受けて、立憲民主党愛知県連は、議員が「事件」に関わった事実がないとする声明を公表している。

●「低俗で卑猥」…表現の自由が最大限に尊重されるべき政党批判にはあたらない

長尾裁判官は、問題とされた投稿が「立憲民主党愛知県議会議員が焼肉屋のお座敷席に排泄物を放置したまま店員にこれを告げることなく退店してしまった事実を摘示するもの」と指摘。

そのうえで、このような記載やロゴも党の社会的評価を低下させることは明らかだとした。

一方、被告のプロバイダ側は、政党への批判には公共性や公益目的が認められ、表現の自由として最大限尊重されるべきなどと反論していた。

この点において、長尾裁判官は「極めて低俗かつ卑猥な表現の仕方で原告の社会的評価を低下させようとする意図のもとにされていることは明らかであって、各投稿は、その表現の仕方の点において政党に対する表現の自由として最大限に尊重されるべきであるという類いのものではないというべき」として、採用しなかった。

今回の請求が認められた判決の受け止めのほか、捜査状況の進捗について、弁護士ドットコムニュースが問い合わせると、立憲民主党は「個別の事案については、お答えを差し控えさせて頂きます」とコメントした。

「排泄物放置事件」めぐり立憲民主党を揶揄、ネット投稿者の情報開示命じる…東京地裁