DCコミックスのヒーローたちのクロスオーバーが本格始動!注目のDCユニバース最新作『シャザム!~神々の怒り~』が公開中だ。“見た目はオトナ、本当はコドモの半人前ヒーロー”というかつてないヒーロー像で絶賛された前作に続き、主人公シャザムを演じたのがザッカリーリーヴァイ。復讐のため地上に降り立った3人の女神にシャザムが挑む今作で、リーヴァイは映画界を代表する名女優たちと火花を散らし激しいバトルを展開。大人への入口を目前に揺れるシャザムことビリーの内面をもみごとに演じ、新たな境地を開拓した。そんなリーヴァイが、現場でのエピソードやDCユニバースへの期待を語った。

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※本記事は、ストーリーの核心に触れる記述を含みます。未見の方はご注意ください。

■「ビリー(シャザム)の心は誠実で、闇落ちすることは決して許さない」

かつて戦いのさなかシャザムが折った“魔術師の杖”。その影響で、天空にある“神々の領域”が衰退してしまう。そのことに怒った神アトラスは、自分の娘である3人の女神に地球を襲わせた。一方で、18歳でもうすぐ大人になる微妙なお年頃のビリーと仲間たちはそれぞれの事情に悩みながらも、未曾有の危機に立ち向かう。

本作では、復讐のために降臨した神の娘たちが巨大モンスターやドラゴンを次々と地球に送り込み、人類や世界は大きな危険に陥ってしまう。明確な“悪”が存在しないことについて、リーヴァイはアトラスの娘も自分たちがヒーローだと思っているはずだと考える。「誰もが自分の物語のヒーローだという名言があるけど、いろんな物語や映画のヴィランたちも、自分が正しいことをしていると思っているんじゃないかな。でもそのために罪のない人たちを殺すとしたら、その行為はヒーロー的とは言えないんですよね。そこが3姉妹とシャザミリー(シャザム・ファミリー)の一番の違いだと思います」。

そんな本作におけるビリーの役割について、リーヴァイは正しい方向を指し示すコンパスだと捉えているようだ。「彼の心は誠実で、闇落ちすることは決して許さない。人の命を救おうとする時も、女神たちを傷つけないよう考えています。常に正しく行動をしたいと考え、正しい心を持っているから、ビリーは主人公なんです。女神たちは自分たちの正義を確信しているけれど、僕らから見れば人を殺さなくても姉妹は力を取り戻せるはずだと思っています。そんなところが、彼女たちを主人公と敵対する存在、つまりヴィランにしているんだと思います」。

■「遊べる余地がたっぷりある状態でキャラクターを作れたから、アドリブもすごくやりやすかった」

アトラスの娘であるヘスペラ、カリプソアンテアを演じたのが、アカデミー賞ほか数々の賞に輝くヘレン・ミレン、『キル・ビル』(03)など多くのヒット作に出演しているルーシー・リュー、そして『ウェスト・サイド・ストーリー』(21)ブレイクした若手注目株のレイチェル・ゼグラー。映画界を代表する女優たちとの共演についてリーヴァイは「誰もが役者としても人間的にもすばらしかった」と振り返る。「デイム(大英帝国勲章受勲者の敬称)・ヘレン・ミレンは威厳や優雅さ、穏やかさを現場にもたらしてくれました。本当にすてきで優しいけれど、カメラが回ると容赦ない“バッドアス”に変身して、僕とコンクリートに叩きつけあう大乱闘を演じたんです(笑)。本当にすごい人ですよ。ルーシーは『チャーリーズ・エンジェル』から『キル・ビル』まで怒らせるとボコられそうな雰囲気を放っていましたけど、今回のカリプソでもそんなコワさを発揮してくれました(笑)。レイチェルは姉たちより優しいキャラクターなので、柔らかさや共感力を見せてくれましたね」と3人を称賛した。

そんな3姉妹はシャザムの暮らすフィラルフィアに出現し破壊の限りを尽くしていく。スペクタクルシーンの撮影は、派手な爆破とスタントの連続だった。「撮影中に安全性の不安やストレスを感じたことはなかったですね。スタントチームがすばらしくて、めちゃくちゃイケてる大掛かりなスタントもスムーズでした。見えないドラゴンを相手にするのも楽しかったです」。そんななか、唯一リーヴァイを苦しめた存在がワイヤーを固定するハーネスだという。「飛ぶシーンではハーネスを着けるんだけど、着け心地がよくなかったんです。体重がかかる股間あたりがすごくきつくて、ハーネスには苦しめられました(笑)」。

本作を監督したのは前作と同じくデヴィッド・F・サンドバーグ。監督との2度目のコラボについて尋ねると「1作目で築いた良好な関係が今回そのまま反映された」とのこと。「互いに相手が好む仕事のスタイルをわかっていますからね。デヴィッドは僕をすごく自由にしてくれるんです。遊べる余地がたっぷりある状態でキャラクターを作れたから、アドリブもすごくやりやすかったです。今回も完成した映画には彼自身が思いきり反映されています。デヴィッドや、すばらしい撮影を手掛けたギュラ・パドスをはじめ、すばらしいスタッフのおかげでとても映画的な作品になったと思います。すべてのフレームがデヴィッド的に構築されているんです。そこにこそデヴィッドの芸術性がたくさん息づいていると感じました」。

■「自画自賛ワード連発だけど、これが僕の”SHAZAM”(笑)」

ビリーに神々の力を宿す言葉「SHAZAM」は、ソロモンの知恵(S)・ヘラクレスの剛力(H)・アトラススタミナ(A)・ゼウスの全能(Z)・アキレスの勇気(A)・マーキュリーの神速(M)と神々の名と能力を示すイニシャルになっている。そこでザッカリーリーヴァイを構成する「SHAZAM」はなにか聞いてみた。「そうだな…まずSは『Silly(まぬけ)』、Hはもちろん『Handsome(ハンサム)』、いや『Humble(謙虚)』の方がいいですね(笑)。次は『Attractive(イケてる)』ときれいに決めて、Zは…Zから始まる言葉はあまり知らないから『Zesty(ピリッとする)』にしてといて、次のAは『Artistic(アーティスティック)』で決まり!Mといえば…『Magnanimous(寛大)』にしておきましょう。自画自賛ワード連発だけど、これが僕の”SHAZAM”ですね(笑)」。

日本が大好きだというリーヴァイ。もしシャザムが日本に遠征するとしたら、どこに行ってみたいかリクエストを聞いてみた。「今回登場するドラゴンは日本の怪獣に近い部分もありますよね。日本が舞台になるなら、日本の伝統的な文化とゆかりのあるクリーチャーを出したらおもしろいですよね。せっかく行くなら東京で少し戦って、次に沖縄みたいに暖かい気候の土地まで飛んでいって戦うのもありだと思います。実はすごく美しいと聞いてる沖縄に僕が行ってみたいだけなんだけどね(笑)。富士山とか高い山に行ってスノボするのもいいですね。日本での活躍が実現したらめちゃくちゃ楽しそうです」。

■「バットマンスーパーマン…誰と共演しても大興奮するのは間違いない」

クロスオーバーの活性化にも期待のDCユニバース。最新作である本作にはワンダーウーマンが登場した。それについて尋ねると、大のコミックファンでもあるリーヴァイは「ガル・ガドットと仕事ができたのは本当にクール!」と興奮気味。シャザムのDCユニバース参加はエキサイティングだと語る。「とても楽しい形で、ビリーとシャザムがDCユニバースとつながれたという意味でも、ガルの参加に感謝しています。キャラクターに関しては、どのヒーローよりビリーのほうが若い。バットマンスーパーマンアクアマングリーン・ランタンマーシャン・マンハンター…誰と共演しても大興奮するのは間違いないですね」。

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(21)でDC作品に初参加したジェームズ・ガンと、「シャザム!」シリーズなどを手掛けているプロデューサーのピーターサフラン。DCスタジオの共同会長兼CEOに就任した彼らを中心に今後DCユニバースは展開していく。いまやその一翼を担う存在になったリーヴァイに今後のDCユニバースについての期待を語ってもらった。「とにかくワクワクしていますし、いまは楽観的な気持ちで楽しみにしていますよ。ピーターとジェームズは僕の友人でもあり、本当にすてきな人たちなんです。そんな彼らがこのユニバースになにをもたらそうとしているのかはまだ明らかになっていないけど、僕は彼らをとても信頼しています。だからこの流れに身を任せ、自分ができる最高のシャザムになることに集中しています。1日でも長く、このすばらしいヒーローを演じられたらいいなと思っています」。

取材・文/神武団四郎

『シャザム!~神々の怒り~』で主演のザッカリー・リーヴァイにインタビュー!/[c]SPLASH/AFLO