カリフォルニア州のアニマルシェルターに、何か月も里親を待ち続ける犬がいた。鼻が曲がり、片方の耳だけが垂れているという見た目からか、シェルターを訪れた人は誰も家族として迎え入れようとしなかった。ところがネット上でこの犬を見つけた女性が一目惚れし、自宅からアニマルシェルターまで3日間かけて車を走らせて犬を引き取りにきたという。新しい家族を待ち続けた犬が幸せを掴んだストーリーを、米ニュースサイト『TODAY』などが伝えている。

カリフォルニア州サンディエゴ郡にあるアニマルシェルターで保護されていたシベリアン・ハスキーの“ハーヴィー(Harvey)”は、シェルターの獣医によると子犬の頃に噛みつかれたか、何らかの怪我が原因と思われる顔の変形で鼻が曲がってしまっており、ピンと立っているはずの耳が片方だけ垂れていた。この見た目のせいか里親が見つからず、昨年9月に保護されてから何か月もこのシェルターで過ごしていた。

サンディエゴ郡アニマルサービス局の副官であるジョイ・オーリンジャーさん(Joy Ollinger)は「ハーヴィーを見て『うわっ』『この子はブサイクだね』などと人々が酷い言葉をかけるのを見てきました」と話している。里親希望者には相性が合うかを確かめるため短期間一緒に過ごすトライアルがあるが、ハーヴィーはそれすら連れて行ってもらったことがなかった。

そんなハーヴィーのためにジョイさんはSNSで里親を募集することにし、ハーヴィーのことをもっとよく知ろうと自分のオフィスに連れてきた。「ハーヴィーは自分で扉を開けて外に出たり、パズルのおもちゃを与えると数分で解いてしまうなど、とても賢い犬であることが分かりました。私が仕事をしている間は、足元に寝そべって大人しくしていましたね」とジョイさんは明かしており、ハーヴィーの新たな一面に驚いたという。

そして先月、Facebookで里親募集の投稿をすると、米ワシントン州シアトルに住むシェリー・ランクストンさん(Sherry Lankston、41)の目に留まった。シェリーさんは2児の母であり、すでに猫4匹、犬1匹、さらにカタツムリを1匹飼っていたので新たな犬を迎えることは考えていなかった。しかしハーヴィーの姿を見たシェリーさんはすぐ夫に「ハーヴィーを飼いたい」と伝え、経済面などいろいろと話し合った結果、家族でハーヴィーを迎えることにした。

一方でジョイさんは、里親希望者が現れるとは思っていなかったこともあってシェリーさんの連絡に驚いたそうだが、ハーヴィーに新しい家族ができることに喜びでいっぱいだった。しかしシェリーさんの住むシアトルからシェルターまでは1250マイル(約2011キロ)も離れており、どうやってハーヴィーをシェリーさんのもとまで連れて行くかジョイさんは頭を悩ませた。シェリーさんもハーヴィーを迎えに行く方法について飛行機の運賃を調べたりして悩み抜き、最終的に車を走らせて迎えに行くことに決めた。

すぐに準備を始めたシェリーさんは、翌日に2人の息子や愛犬“リバー(River)”とともに出発した。しかし片道2000キロ以上の距離を一日で運転できるはずもなく、途中でキャンプをしながら3日間かけてハーヴィーのもとへ向かった。シェリーさんは「保護犬の里親となるのは、どんな犬なのか分からないので大変なこともあります。でもハーヴィーと初めて対面してすぐに『この子はうちの子』と確信しましたよ」とハーヴィーとの初対面を振り返った。元保護犬であるリバーもハーヴィーと仲良くなり、シェリーさんは再び3日間かけて車を運転して3人と2匹で自宅に向かった。

ハーヴィーの歪んだ笑顔は、かけがえのない大切なものです」と話すシェリーさんは、各メディアでハーヴィーとの出会いを語っており「アニマルシェルターで隅にいる風変わりな犬を見逃さないようにしてください。その子があなたの親友になるかもしれません」とユニークな特徴を持つ保護犬にも目を向けてほしいと呼びかけている。

画像は『TODAY 2023年3月14日付「Dog with lopsided face finds loving family who drove more than 2,500 miles to save him」(Joy Ollinger / San Diego Department of Animal Services)(Sherry Lankston)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)

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