
鳥にとって嘴(クチバシ)は、手の代わりのようなものだ。餌を食べたり、巣作りをしたり、物をつかんだりよじ登ったりと、なくてはならないもの。
ブラジルで、激しくクチバシを損傷した野生のオウム目のインコが発見され、動物リハビリセンターに保護された。
同センターの男性は、獣医師の協力を得て、インコに機能できる人工のクチバシをつけてあげることを試みた。
手術は成功し、新たなクチバシを得たインコは、2度目の生きるチャンスを与えられ、今は元気にリハビリセンターで暮らしているという。
O mundo esta vendo nosso trabalho !
今から2年前、ブラジル南東部ミナスジェライス州プラヌラで、クチバシを激しく損傷した1羽のオウム目のインコが発見され、保護された。おそらくはメジロインコの仲間かと思われる。
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一般的に、鳥は固いクチバシを使って餌を食べたり、捕食者をかわしたり、巣を作ったりする。
脚が忙しく歩いたり、小枝をつかんだりしている間、クチバシはまさに手の代わりとなる。
ほとんどが骨でできているクチバシが折れると、再び元に戻ることはないそうだ。破損したままでは、野生で生き続けることは不可能となる。
発見されたインコの小さな上クチバシは、ほぼ完全に失われ、下クチバシは激しく壊れていた。
インコを保護したのは、あらゆる種類の動物を救う目的で「レナサーACN(Renascer ACN)」という動物リハビリセンターを、2017年に設立したパウロ・ロベルト・マルティンス・ヌンツィアータさんだ。
パウロさんは、インコがこれからも生きていけるように、完全に機能するクチバシをつけてあげたいと望んだ。
そこで、動物の整形外科を専門とし、樹脂から動物の人工装具を作成するマリア・アンジェラ・パネリ・マルキオ獣医師の協力を得ることに。
この出会いが、インコに幸運を与えた。
クチバシの手術が成功し、第2の生きるチャンスを与えられる
他の多くの獣医師は、人道的な安楽死を勧めたかもしれないが、危篤状態で救出された動物を助け、生き伸びさせて自然に戻る機会を与えているマルキオ獣医師は、施術で負傷した動物に手作りのプラスチック樹脂プロテーゼを提供している。
使用されている素材のポリメチルメタクリレートは、硬化が3~5分と速く、チェーンソーで取り外す必要があるほどの耐性があるという。
そのポリメチルメタクリレートを使用して、マルキオ獣医師はインコの下クチバシを再構築し、骨折した骨に合わせて手で成形した。
上クチバシについては、同じ材料で補綴物全体を作成し、金属製のブラケットを使用して、残りのクチバシ部分に取り付ける必要があった。
施術は決して簡単なものではなかったが、クチバシの装着は大成功を収め、自然のそれとほとんど見分けがつかなくなった。
だが、人工的なクチバシのインコを野生に放すことは安全ではない。その理由をパウロさんは次のように説いている。
プロテーゼは耐久性がありますが、鳥はクチバシをすべてのことに頻繁に使用するため、時間の経過とともにとれてしまうリスクがあるからです。
野生として生きることはできないが、施設の中でならクチバシの状態を常にチェックすることができる。
インコは施術後の回復も早く、今はリハビリセンターでの生活に慣れ、クチバシを使って普通に生活できているということだ。
References:Brazilian veterinarian gives parrot a second chance at life with a prosthetic beak / written by Scarlet / edited by parumo
追記(2023/03/24)オウムと記述していましたが、オウム目インコ科のインコと訂正して再送します。

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