
3月18日放送の『マツコ会議』(日本テレビ)に、やす子が出演。再生回数2100万回を超えるオリジナル曲の話題を中心に、マツコ・デラックスとマニアックトークを繰り広げました。
やす子さんご出演いただきありがとうございました!
放送を見逃した方はTVer、Huluにて配信中♪是非ご覧ください!
■Hulu:https://t.co/jIutc0hbFu ■TVer:https://t.co/SlcgEBqCzs #マツコ会議@yasuko_sma pic.twitter.com/WrTnIotIR0
— NTVマツコ会議 (@ntv_matsukomt) March 18, 2023
◆マツコも絶賛!やす子作の歌詞
音楽好きなやす子のお気に入りは、ビートルズから、鎮座DOPENESS、BESなどのジャパニーズヒップホップと多岐にわたるもの。するとこれにマツコが反応。自身も青春時代にアメリカのラッパー、2Pacや50centを聴いていたと告白していました。
さらに、キース・ヘリングや草間彌生の作品が飾られた部屋を見たマツコは、やす子の放つヤバさと狂気に納得の様子。
自分へのご褒美にNative InstrumentsのKOMPLETE KONTROL 買っちゃった~デカいです‼️ pic.twitter.com/EpMS07nNTW
— やす子 (@yasuko_sma) March 20, 2023
そして現在制作中という新曲の話になると、二人の口調はさらに真剣モードに。やす子は以前からネット上に作品をアップしていましたが、今回はより本格的なトラックメイキングに。
<平等はあっても対等は無し>といったシリアスな歌詞には、テレビでのイメージとは違って内省的な一面も垣間(かいま)見えます。
マツコも“平等であることはいくらでも嘘をつけるけど、対等かどうかは嘘つけない”と語り、「本質をついてますよ」と絶賛していました。
◆ギターの弾き語りからラップまでこなす、やす子
独特の感性で日常の“あるある”シチュエーションを切り取る歌詞。たとえば「何もやる気がでなかったので歌にしました」という動画はこんな感じです。
<お風呂に入るのめんどくさい 歯を磨くのめんどくさい 洗濯は二度としたくない>
どんだけ洗濯がイヤなんだよ、と。
何もやる気が出なかったので歌にしました
めんどくさいの歌
作詞作曲/やす子 pic.twitter.com/DDGkeIIqzH
— やす子 (@yasuko_sma) August 18, 2021
こんな風にギターの弾き語りもすれば、リズムマシンのシンプルなビートに乗せたラップもこなす。ビートルズからジャパニーズヒップホップまでをカバーした趣味の広さを反映しながら、そこには同時に揺るぎない歌心があることが感じられるのです。
そこで、少々おおげさかもしれませんが“ソングライター・やす子”の曲をレビューしたいと思います。
◆「だったらいいのに」繰り返しが自然に入り込んでくる理由
曲を作りました
タイトル【だったらいいのに】作曲・やす子作詞・やす子動画出演編集・やす子監督・やす子はい~・やす子
素直な気持ちを書きました今までで一番好きな曲です pic.twitter.com/AoxOqGdVZU
— やす子 (@yasuko_sma) January 21, 2023
まず今年1月にアップされ、現在までに6.8万いいねを獲得した「だったらいいのに」。メロディやハーモニーを加える音色は一切なく、リズムマシンのドラムの音のみ。
歌詞は“~だったらいいのに”という叶わぬ願いを色々なバリエーションで表現しつづけて、メロディは2パターンをひたすら繰り返す。ここには展開と呼べるような起伏もなければ、膝を打つ説得力もありません。
にもかかわらず、いや、だからこそなのでしょうか、この歌は自然に入り込んできます。すべてを“だったらいいのに”という構文に落とし込むことで、曲を特徴づける明確なパターンが生まれる。
これはカナダのシンガーソングライター、ニール・ヤングが言うところの“アイデア”に当たる部分で、作曲において最も重要なモチーフです。やす子の曲はこの着想に揺らぎがないので、余計なものを後から付け足さなくても成立するのですね。
ここにBメロやサビにあたる部分を加えたり、歌詞に“だったらいいのに”以外のオチを加えたりしたら途端に色あせてしまうでしょう。
◆歌いだしがキャッチーで印象に残る「今日の晩ごはん」 2021年7月に自身のYouTubeチャンネルにアップされたギター弾き語りの「今日の晩ごはん」も勘所(かんどころ)を押さえた一曲です。
こちらも“昨日はラーメン食べたから今日の晩ごはんはご飯にしようかな”と繰り返すだけ。ギター初心者が押さえられる最低限のコードをぐるぐるとループしながら、ごく限られたメロディで曲を構成しています。
でもつまらなくないから面白い。<どうしようかな>の歌いだしがとてもキャッチーだからです。言葉の中にあるリズムと抑揚(よくよう)がメロディと完璧に一致しているので、いきなりサビのように印象に残る。
たとえば、同じお笑い芸人の曲で「ムーンライト」(くず)というのがありました。あの曲を聴いたときも、歌いだしが前フリではなく曲全体のトーンを決定づける役割を果たしていると感じました。
「今日の晩ごはん」もその意味で全部サビなのです。やす子がリスペクトするビートルズみたい、とはさすがに言い過ぎか。
◆つたなく見えても奥底には豊かな音楽的素養が
今夜11時からの #マツコ会議 は元自衛官の #やす子 と中継!
明るいイメージが強いやす子を「アタシもやす子も明るい部分を切り売りしてる」とマツコが分析!
迷彩服を封印し、1LDKの自宅からやす子の素顔が続々と明らかに!
TVerでも同時配信!ぜひお見逃しなく♪@yasuko_sma pic.twitter.com/u6JUWsYaqe
— NTVマツコ会議 (@ntv_matsukomt) March 18, 2023
もちろん現状のまま音源化できるかといえば違うでしょう。けれども、プロにブラッシュアップされたとしてもブレない根幹がすでに備わっていることも事実。
表向きは素朴(そぼく)でつたなく見えても、奥底は豊かな素養が支えている。テレビでの“明るく元気な”姿とは違った魅力がその音楽にはあります。
マツコとのトークで「初めて内面を触られた」と驚いたやす子。これからも作曲活動を通じて驚かせてくれることでしょう。
<文/石黒隆之>
【石黒隆之】音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4

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