月100万円稼いでもほとんど変わらない

私は大学を卒業してから20年近く、延べ10万人を超える方たちに、論理的思考に基づくお金の稼ぎ方を教えてきました。彼らは皆一様に、「お金持ちになりたい!」といいます。でも、人によってそれぞれ、お金持ちという言葉が何を指しているのかが違っています。

「あなたはどうなりたいのですか? 目標が具体的でなければ達成できませんよ」といっても、

「お金の心配をしなくていいくらい稼ぎたい」

「月100万稼ぎたい」

「年収1000万欲しい」

というような答えしか返ってきません。

それもそのはず。人はまだ経験したことのない領域について、想像するのが苦手な生き物です。だからなんとなく、

「月100万あれば生活に困らないはずだ」

「年収1000万あれば金持ちなはずだ」

というイメージでそのように発言します。しかし実際には月100万稼いでも、生活の質はあまり変わりません。このことは稼いだことのある人なら実感できていると思います。毎日食べていたコンビニ弁当や吉野家デニーズロイヤルホストになったり、月に1回しか行けなかった焼肉が月2回行けるようになる程度の変化しかありません。

そして、ある日気がつきます。「あれ? あんなに頑張って収入を殖やしたはずなのに、生活あんま変わってなくね?」と。

小さな労力で大きなリターンを得ることを考える時代

じゃあ月収100万と言わず、150万にすればいいのか?

年収1000万と言わず2000万になればいいのか?

というと、そういう問題でもありません。「なんだそりゃ?」と思われた方、がっかりしないでください。本連載では、ものすごくがむしゃらに頑張って収入を殖やさなくても、生活の質そのものを上げることができるミラクルな手法について説明します。

月収や年収を上げることに躍起になる時代はもう終わりました。これからは今あるもの、今あるお金をうまく生かして、小さな労力で大きなリターンを得ることを考える時代です。あなたも一旦、今までの常識を捨て去って、お金についてじっくりと考えてみてください。

きっとこれから10年先の未来が素晴らしいものになるに違いありません。

年収が1億あるだけでは富裕層とは呼べないワケ

事前知識として知っておきたいのは、「年収や月収と資産はまったく別物だ」ということです。野村総合研究所によれば「純金融資産保有額1億円以上5億円未満」の世帯を富裕層と定義しています。

純金融資産とは、マイホームを除く預貯金、株式、投資用不動産、債券や生命保険などの金融資産から、負債を差し引いたものです。住宅ローンや車のローンが負債になります。ちなみに、「金持ち父さん貧乏父さん」で有名なロバート・キヨサキさんによれば、マイホームは資産ではなく負債だそうです。なので、ローンが終わった1億円のマイホームを持っていても、富裕層には定義されません。

また、年収が1億円あったとしてもそれを全部使ってしまう生活をしていて資産がない場合は、富裕層とは定義されません。

ここで大切になるのは、年収や月収を殖やすことよりも資産を殖やすことの方が、生活の質を本質的に変えるためにずっと大事だということです。

前述した通り、月収100万円を目指しても、年収1000万円を目指しても、全部使ってしまって資産が殖えていないのであれば、生活はさして変わり映えしないものとなるでしょう。

資産がいくらから富裕層なのか?

本連載では、資産を殖やすことに重きを置いていきます。ただ漠然と「お金持ちになりたい!」というのではなく、資産1億円の富裕層を目指してみてください。「いきなり1億円はハードルが高いぞ?」というのであれば、まずは金融資産3000万円を目指しましょう。一般に、富裕層の定義は次のようにいわれています。

上流層資産……3000万円以上

準富裕層資産……5000万円以上

富裕層資産……1億円以上

超富裕層資産……5億円以上

人生ゲームのように楽しみながら、ゴールを資産1億円以上の「富裕層」に定めてみてください。余談ですが、日本国民全体の年収分布は次の通りです。

年収300万円以下……37%

年収300万円以上……59

年収1000万円以上……3.6%

年収2500万円以上……0.3%

年収1億円以上……0.03%

大多数の方が年収1000万円未満というわけです。資産を作るために年収は多ければ多いに越したことはありませんが、大多数が分布する年収300万円以上1000万円未満でも十分可能ですので、ご安心ください。

ただし、考え方と生活をガラリと変える必要があるのはいうまでもありません。また、年収300万円以下の方は、先に収入を少しだけ増やす必要があるかもしれませんが、それについても解説しますので心配は要りませんよ。

残念ながら…0(ゼロ)に何をかけても0という事実

本連載は「資産を殖やす」ための方法論を解説したものです。「暗号通貨を用いて短期間で10倍や100倍にする」とか「発展途上国の不動産を買って、10年で10倍にする」とか、そういった投機的な話は含まれません。

それはそれで別の機会があれば伝授したいと思いますが、今回は今ある資産を元に、安全かつ確実に10年で資産を2倍3倍にする、そのために元の種銭をできるだけたくさんかき集めるということに一点集中したいと思います。

つまり、今資産が0の方は、0に何倍かけても0は0なので、適しません。殖やすための元手、種銭が100万円もないという方は、先に別のビジネス書で勉強してお金を稼いでください。兎にも角にも、まずは種銭を作ることに専念してください。種銭がなければ、殖やすことはできないのですから。

資産は雪だるま式に殖えていく

実は、資産は雪だるま式に殖えていきます。

1000万円を1億円にするのはさほど難しくはないのですが、10万円を100万円にするのはものすごく難しいのです。同じ10倍でも雲泥の差があります。

ですから、種銭が多ければ多いほど、早くゴール(今回は資産1億円の富裕層がゴールでしたね)にたどり着きます。「今、本当に生活がギリギリで5万円程度しか用意できませんが、投資に参加できますか?」というような質問をされる方がいらっしゃるのですが、残念ながら、元手がない方は資産を「殖やす」ことはできないので、まずは「殖やす」べき元手を最優先で作ってくださいね。

私が以前コンサルティングさせていただいた20代の男性は、手取り月収が16万円しかなくて、そのすべてが月々の生活費として消えていく状態でした。しかし彼は色々工夫して、月16万円の仕事を続けながら、アルバイトを増やすこともなく、給料の中から月5万ずつ積立預金したり本連載のノウハウを使いながら、4年で1000万円の種銭を作ることに成功しました。

あれ?月5万×12ヵ月×4年=240万なのにどうやって1000万になったの!?」という疑問は連載を読み進めれば解決します。読者のうちほとんどの方は、最低限食べることを維持しながら、今の収入から種銭を作ることは可能だと思いますので、がんばりましょう。

高嶋 美里

遊雅セレブリティ株式会社 代表取締役

(※写真はイメージです/PIXTA)