
中学3年生で妊娠し、15歳で未婚のまま子どもを出産した横井桃花さん(21)。昨年春の「文春オンライン」のインタビューでは、高校に進学せずに働きながら子どもを育ててきたことを明かした。
そんな彼女の子どもは、来年小学生になる。小学校入学準備の中で感じた金銭的な不安や、育児の悩みなどについて詳しく話を聞いた。(全2回の1回目/続きを読む)
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今が一番壁に突き当たってる――お子さんは今年で6歳。1年前と比べて子育てに変化はありましたか。
横井 1年前とは全然違いますね。今が一番壁に突き当たってる気がします。息子は前まではあまり手がかからない子だったんです。「子育て大変そうだね」って周りから言われても、自分の中ではあまりピンとこなくて。
でも今は自分の心に余裕がないのもあり、こういう時どうしたらいいんだろうと悩むことが増えました。
――例えばどういう時でしょうか。
横井 息子が言葉を話せるようになってから自分の言葉で思いを伝えてくれるようになったんですが、まだ言葉が拙いから私もわかってあげられなくて。そうすると息子は伝えられないイライラを私にぶつけてくる。私も受け止めようとするんですけど、余裕がない時は、そんなに穏やかにしていられなくて。
そういう時に父親がいてくれたら、きっとお互いに時間を置いてリフレッシュする時間があったのかなって。でも、それがないからお互いにイライラしたまま一緒の部屋にいて、余計にイライラしてしまう。それでさらにストレスも溜まってしまって。母が仕事のない日は実家に帰ったりできるけど、それができない日は1日中悩んでたりしますね。
息子がスクールに通っている日中は働きに――平日の日中は幼稚園に通っているんですよね。横井さんはその間は仕事を?
横井 息子は基本平日9時から15時まで(インターナショナル)プリスクールに通っているので、その間、私も働いています。以前はスクールを延長させたり、息子を母に預けたりして、夜まで仕事をしていたんですが、会う時間が少ない分、息子とすれ違うことも増えてきて。ただでさえ、父親がいなくて寂しい思いをさせてしまっているので、息子を第一に考えて一緒に過ごす時間をできるだけ取るようにしました。
働ける時間が少なくなってしまったので、その分収入は減りましたけど、息子との時間は増えたのでよかったかなと。
――ひとり親だと、仕事を探す面でも難しいところがあるのでしょうか。
横井 今のところに決まるまで何度か面接を受けましたが、ひとり親だということで落とされることはありました。子どもに何かあった時は休まなければいけないので、「サービス業だからそんなんじゃ困ります」って言われちゃったりとか。1人で子育てや仕事を全部やるって決めたから、その状況で頑張らなければいけないんですけど、ひとり親だから雇えないというのはちょっと悲しいなと思いますね。
来年小学生になるので、正直かつかつです――収入の面では以前も大変だとおっしゃっていましたが、現在も厳しい部分はありますか。
横井 そうですね。来年小学生になるので、正直かつかつです。ランドセルは平気で6万~7万円しますし、入学式用のスーツ、ノートやペン、お道具箱など、いろいろと用意しなければいけないものがたくさんあるので。それに引っ越しも考えているので、そのお金もかかります。
この前、息子と一緒に初めてランドセルのパンフレットを見たのですが、その値段に驚きました。6年間使うものだから安いものを買って壊れるよりはいいものを買いたいと思っていますけど、私にとってはすごく大きな金額なので、慎重に選びたいですね。
一応、ひとり親だと学費に関しても行政からの支援があるみたいですが、基本的に立て替え制なんです。あとで戻ってはくるけど、最初に出さなければいけないじゃないですか。それが意外と大変ですね。大きい金額が出ていくと、その後の生活費はどうすればいいんだろうって。もちろん貯金するしかないのですが、やっていくのに必死で貯金できる金額は本当に少ないんです。
――今後の学費を考えると、支援があってもまだまだ足りないということでしょうか。
横井 そうですね。赤字になることは今のところないですが、本当にお金が足りない状況です。
認可外のインターナショナルプリスクールに通っているので、普通の保育園よりはお金がかかります。それでも3万7000円までは補助されるので、実際に払う金額は数千円で済んでいます。私自身、勉強ができなくて本当に苦労したので、息子には勉強関係で苦労させたくないと思い、多少お金はかかりますが、英語を学べるプリスクールに通わせています。
その他にも水道代は基本料金が免除されたり、年金も免除されるので助かっていますね。母親から仕送りなどもあるのでなんとかやれていますが、成長するにつれて出費が大きくなるので不安は尽きないです。
悩んだ挙句エアコンは見送りに――昨年の夏、SNSでエアコンを買うか迷っていると書かれていましたが、その後購入されたのでしょうか?
横井 いえ、それが買ってないんです。悩んだ挙句、今は違うと思って見送りました。夏は窓を開けて扇風機を回して我慢して。息子も機嫌悪くなったりして大変でしたけど、なんとか乗り切りました。
冬も今のところは母に買ってもらった電気ヒーターだけで頑張っています。でも、それはそれで電気代が嵩むし、息子はヒーターの前から動かなくなっちゃうので困って困って仕方ないですね。
――今年は特に電気代が上がっているみたいですね。
横井 そうなんですよ。去年は7000円くらいだったのに、今年の明細を見たら、1万3000円でびっくりしました。去年より使った量は少ないのに倍近く料金が上がっているので、エアコンを買っていたらどうなっていたんだろうってゾッとしましたね。
体力的な面では若くて良かった――子育てする上で、子どもと年が近いことがメリットだと感じる部分はありますか。
横井 体力的な面では若くて良かったなと思います。最近は息子の運動量がすごく増えたので、公園でも数時間遊ばないと満足しないんです。若いからこそ、一緒に遊べる時間が多いのかなと思いますね。
あとはやっぱり自分自身が子どもだった時の気持ちを覚えているので、息子のことを理解しやすいというのもあると思います。こういう時、子どもはこう思うよねというのをわかっていると、親の気持ちを押し付けずに子どもに寄り添うことができるのかなって。
――他の保護者の方との交流はありますか。
横井 あまりないですね。私と20歳くらい離れているお母さんも結構いるので、距離の縮め方がわからなくてなかなか仲良くなることができなくて。SNSでは同世代のお母さんと繋がっているので、メッセージなどで交流することはあります。オンラインだけでも繋がってると、ちょっとしたことを相談したりとか、共有し合うことができるので、すごく助かってますね。(#2へ続く)
〈15歳で出産〉担任から「他の生徒には子どもの姿を絶対に見せるな」と…中3で妊娠した母親(21)が語る、若い親に対する偏見と疎外感 へ続く
(「文春オンライン」編集部)

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