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 え、待って。ドイツの本場でビールが粉に?しかも修道院の醸造所で?

 情報の渋滞でやや取り乱してしまったが、いわずと知れたビールの本場ドイツにて粉末のビールが開発されたという。

 世界初となるビールの粉末化を発表したのは、東ドイツ最古のブルワリーで400年以上のビール造りの歴史を誇るノイゼル修道院醸造所だ。

 粉末なので持ち運びに便利そうだが、どんな味がするのだろう?

【画像】 従来品と同様?豊かな泡と芳醇な風味を放つ粉末ビール

 このたび粉末のビールを作り上げたのは、ドイツミュンヘン郊外にあるノイゼル修道院醸造所(Klosterbrauerei Neuzelle)だ。

 メディアによるとその新製品は水を加えるだけで泡立ち、従来品と同様に豊かな泡と芳醇な風味を放つビールになるという。

 「水を入れてビールだなんて」との声も聞こえてきそうだが、粉状のメリットは多い。

 従来品に比べて重さは1/10。輸送コストが大幅に削減でき、積みかたや運搬時の取り扱いも楽になるのだ。

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粉末ビールのイメージ created with AI

まずは粉末状のノンアルコールで試験。評判しだいで規模を拡大

 この粉末製品は、ノイゼル修道院醸造所がとある「技術パートナー」と共同開発したもので、同じくドイツミュンヘンを拠点とする BMW のサブブランド BMWi の資金援助で実現した。

 その詳しい製法は不明だが、デキストリンが豊富なノンアルコールビールを従来どおりに醸造し、水溶性のビールの粉末または顆粒に加工処理したという。

 現在はパウダー状のノンアルコールビールによる市場での試験段階だが、順調に行けば2023年半ばにもアルコール入りの製造に着手する。評判しだいで規模を拡大する計画だ。

 なお今回の画像はイメージだ。ノイゼル修道院醸造所の粉末ビールのビジュアルは今のところ非公開なのでAIによる「パウダービール」画像で想像を膨らませておこう。

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粉末ビールのイメージ created with AI

従来の長すぎる工程を短縮。すべてを最小限に

 ドイツビールの発祥は中世の修道士が盛んに行ったビールの醸造にある。

 12 世紀の修道院の敷地にあるこの醸造所にも、商業用ビールを400年以上も生産してきたという輝かしい歴史をもつが、その製法は現代にそぐわない手間のかかるものだ。

 言い換えればチームにとってこの新製品は、従来の長すぎる工程を短縮できるチャンスでもある。

 パウダービールが軌道に乗れば、長らく続いた伝統的な醸造技術に別れを告げて、原材料や労働力やエネルギーのすべてを最小限に抑えられる。

環境への配慮から古典的なビール製造と物流が迎えた試練

 ビール業界に一石を投じそうな今回の製品について、同醸造所の大株主のヘルムート・フリッチェ氏はこのように述べている

環境への配慮から古典的なビール製造と物流が試練の時を迎えた。ビールは90%水なため、世界中の消費者が何十億リットルもの水を運んでいることになる。

我々は以前から環境保護のため輸送も抑えているが、資源利用や生産コストの節約はまだできていない。

地元ドイツじゃなくアジアやアフリカの市場を狙う戦略

 一方、マネージングディレクターのステファン・フリッチェ氏は今後の方向性についてこう語る。

古典的なピルスナーを好む人やクラフトビール愛好家が最初からこの製品に懐疑的になるのは承知の上です。特にドイツではそうなるでしょうね。

新商品を市場に投入して終わりではありません。重要なのはビールのビジネスモデルの破壊です。つまり私たちのコアターゲットは昔ながらのドイツの最終消費者ではありません。

私たちが重要視するのはたとえ醸造の知識がなくても、最終消費者の用途に合った顆粒を製造できるグローバルな再販業者です。

 実際、同醸造所の今後のターゲットは、クラシックなビールに愛着がある地元ドイツの消費者ではなく、ドイツほどビールにうるさくないアジアやアフリカなどの市場だ。

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粉末ビールのイメージ created with AI

 粉末ビールならこれまでネックだった輸送コストも気にすることなく、遠方の顧客の新規開拓が叶うというわけだ。

世界初の粉末酒の製造は日本の企業

 ちなみに今は粉末のスポーツドリンクもあったりするからお酒はどうかとググったら、なんと粉末酒そのものはすでにあり、日本の佐藤食品工業が世界初の粉末酒を製造している。

 同社によるとその製法は、お酒の香気成分とアルコールをそのまま残し、水分だけを特殊な方法で取りのぞくものだという。

 実は粉末のアルコールは、食品の風味向上や食材特有の臭みを低減するマスキング効果、てり・つやなどを良くする効果が見込まれるため、お菓子や調味料、嗜好飲料などに使用されることが多いそう。

 また粉末酒は酒税法においても正式にお酒として承認されていて、溶解してアルコール分が1度以上になる場合は、酒税法の適用を受けることがあるそうだ。

 でもビールのパウダー化は業界初ってことになるのかな?本当に水を加えるだけでビール特有の探査なの泡や風味が再現されるなら、エコでコンパクトで軽いパウダーを選ぶ人もけっこういそうだな。

 そういや駄菓子で粉末のクリームソーダなるものがあったんだけど、あれって炭酸どんな感じだったっけ?記憶に遠すぎて覚えてないや。

References:newatlasなど /written by D/ edited by parumo

 
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で、そのお味は?ドイツの修道院の醸造所が「粉末のビール」を開発