特徴的な露出度の高い制服を着たスタッフがサービスを行うレストラン「フーターズ」は、かつて航空会社を運営していました。機内サービスは同社らしい独自のものでありながらも、その強みはほかにもありました。

2003年から2006年まで運航

2023年現在、国内でも銀座に支店を構え、28か国で430店舗以上を展開するアメリカ生まれのレストランチェーン「フーターズHOOTERS)」。チアリーダーをイメージしたという、タンクトップホットパンツの制服を着た女性スタッフ「フーターズ ガール(HOOTERS GIRL)」による接客サービスが名物です。かつて、このフーターズが航空会社を運営しており、その内容はまさに「独自性」に溢れたキワドいものでした。

フーターズ エア」と呼ばれたこの航空会社は、サウスカロライナ州にある大西洋沿いの観光地、マートルビーチに本拠を構え、ここを中心としてアメリカ国内15都市以上に定期便を就航していました。運航期間は2003年から2006年の3年間とごく短いものでしたが、一部の航空ファンには“伝説の航空会社”として知られています。

フーターズ エアの機内では、保安要員と機内食やドリンク類を提供するCA(客室乗務員)に加え、レストランと同じ制服のフーターズ ガールも常に同乗。CAの補助だけでなく、乗客との会話や機内の盛り上げ役を担いました。なおフーターズ ガールが直接サービス提供をしなかったのは、彼女らにはCAとしての所定の訓練を受けておらず、当局の認定を受けていなかったためです。

ただ、フーターズエアはそのキワドいサービス以外のところにも、知られざる特徴をもった航空会社でした。

実は「セクシー」だけじゃない「フーターズエア」の凄さ

フーターズ エアは、いわゆるLCC格安航空会社)に分類されます。航空券は開設当時、100ドル(当時のレートで1万1740円)程度からと低く抑えられていました。

しかしフーターズ エアの座席の前後間隔(シートピッチ)は約86cmを確保していたといいます。たとえば2023年現在、日本で国内線を運航するLCCの前後間隔は71cmが標準的で、フルサービスキャリアの国内線仕様機でも80cm弱とされているなか、フーターズ エアのそれはいずれも上回る広々とした座席を採用していたと記録されています。

ちなみに、ANA(全日空)のホノルル線に投入されている超大型旅客機「フライングホヌ」のエコノミークラスが、フーターズ エアと同等の「86cmの前後間隔」であることが公表されています。

また、アメリカ国内線のみのLCCでありながら、無料のコーヒー、ジュース、ソフトドリンク、水のサービスもあり、多くの路線で機内食が無料提供されていたとも。フーターズ ガールが応対してくれるだけでなく、そうした意味でもコストパフォーマンスの高い航空会社だったといえるでしょう。

ただ先述のとおり、フーターズ エアが実際に路線を運航していたのは3年と、その活躍期間は短いものでした。撤退した理由は、アメリカの航空会社間の競争に勝つことができなかったことや、燃料の高騰などとされています。

フーターズ エアのキャンペーンイメージ(画像:Matty McRib[CC BY-SA〈https://bit.ly/3cixhjq〉])。