鉄道は単なる交通機関ではなく、乗ること自体を楽しめるエンターテインメントとなりつつある。あなたは観光列車に乗ったことがあるだろうか。

デザイン性に富んだオシャレな車内、沿線でしか見られない風光明媚な景色、地元食材を使った豪華料理が特別な旅を演出してくれる。

各社工夫を凝らし、観光列車のコンセプトは多岐にわたっている。今回は、春の行楽シーズンで乗りたい観光列車を調査した。


■春に乗りたい「観光列車ベスト5」

Sirabee編集部が、全国10〜60代男女1,000名を対象に調査したところ、最も多い票を獲得したのは次の5つ。

春の行楽シーズンに最も乗ってみたい観光列車 調査

順々にその人気の理由を解説していく。


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■1位はキレイな景色が楽しめる「リゾート列車」

リゾートしらかみ リゾートしらかみ

「この春、もっとも乗ってみたい!」とラブコールが集まったのは、美しい景観を楽しめる「リゾート列車」(31.1%)。海、川、山、橋梁など沿線名物の絶景を楽しめる。

秋田県青森県の海沿いを行く「リゾートしらかみ」は、日本海の絶景を堪能できる列車としてファンが多い。大迫力の景色だけでなく、車内では津軽三味線の演奏など、地元の雰囲気を全身で感じることができる。ほか、伊豆を目的地とする「サフィール踊り子」や、伊勢志摩を目指す「観光特急しまかぜ」なども人気だ。

車両は、景色がよく見えるように、窓が大きく設計されているものが多い。窓を向いた座席や、個室、カフェテラスがある車両も。ビューポイントにくると車内放送の案内や、列車のスピードを落としてくれるサービスも。列車に乗って景色をぼーっと見るだけで心が満たされるリゾート列車は、一人旅で乗るのもおすすめだ。


■2位は風が気持ちいい「トロッコ列車」

お座トロ展望列車 お座トロ展望列車

2位は車両に窓がなく、風を感じながら乗れる「トロッコ列車」(17.0%)。ゴトゴト音を立てながらゆっくり走るのんびりした列車だが、山の中や渓谷など大自然を目近に感じ、自動車では味わうことのできない非日常的アドベンチャー。座席を通り抜ける新緑の匂いを、深呼吸しながら感じよう。

黒部峡谷鉄道トロッコ電車は、黒部峡谷の大自然、エメラルドグリーンの湖面が美しいと評判。嵯峨野トロッコ列車は、京都屈指の渓谷・保津峡の四季を楽しめる。会津鉄道では「お座トロ展望列車」を運行。お座敷とトロッコを掛け合わせたもので、靴を脱いでリラックスして景色を楽しめる。

冬場は休止している列車も多く、春の訪れとともに運行をはじめる。桜や紅葉のシーズンならば、また違った日本の美を堪能できる。

■3位は本格的な食事が楽しめる「レストラン列車」

3位は、車内で本格的な食事が楽しめる「レストラン列車」。沿線の旬の食材をふんだんに使った料理が提供され、地元の郷土食もあれば、フレンチイタリアンも多い。

本格的なフルコースを提供するものでは、乗車料が1万円を超えることはザラである。肥薩おれんじ鉄道おれんじ食堂」、えちごトキめき鉄道雪月花」などが人気。

レストラン列車は食事だけでなく、JR東の「フルーティアふくしま」などスイーツをテーマにしたものや、日本酒をコンセプトにした「越乃Shu*Kura」など、各社で工夫を凝らし豪華絢爛だ。

西部ミステリービアトレイン 西部ミステリービアトレイン

筆者はかつて西武鉄道のミステリービアトレインに乗車。いつもの電車に乗りながら、食事が提供され、ビールが飲み放題。乗客の誰もが上機嫌になれる電車であった。

これらは定期的に運行している列車ではなく、イベント列車として突発的に行われるもの。見逃さないように、定期的に鉄道会社の情報をチェックしておこう。


 ■4位は「SL列車」、5位は「寝台列車」

きかんしゃトーマス号 きかんしゃトーマス号

4位は、レトロな姿が人気のSL。黒く巨大な車体から、ボォーッと汽笛を鳴らし、黒煙を上げて客車を引っ張る姿は圧巻。鉄道ファンでなくても、その特別感にテンションが上がってしまうだろう。大井川鐵道の「きかんしゃトーマス号」や、秩父鉄道パレオエクスプレス」などローカル線での運行が多く、子供たちにも人気だ。

SLは老朽化が進み、メンテナンス費用もかさむ理由から、各社はどんどんSLの運行を終了している現実がある。いつ引退してもおかしくないのがSLだ。乗るなら今のうちだ!

5位は、列車内に泊まれる「寝台列車」。もっとも有名なのが、豪華寝台列車ななつ星 in 九州」であろう。ゴージャスな車内設備に泊まるだけでなく、沿線の観光や高級旅館へ宿泊するコースもある。乗車料金は3泊4日で100万円超え。贅のかぎりを尽くした、一度は乗ってみたい憧れの列車だ。

サンライズ瀬戸

筆者は思う。寝台列車のワクワク感といったら、これを超えるものがない。気軽に寝台を体験したい人は、定期運行をしているサンライズ出雲・瀬戸に乗ってみてはいかがだろうか。

ただの移動手段ではない、乗ること自体を楽しめる観光列車。あなたの「旅リスト」に追加してみては。


■執筆者プロフィール

東香名子

Sirabeeでは、鉄道トレンド総研所長の東香名子さんの連載コラム【鉄道トレンド調査隊】を公開しています。毎回、鉄道に関する調査を行い、解説する連載です。今週は「春の行楽シーズンに乗ってみたい観光列車に関する調査」を掲載しました。

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(取材・文/東香名子

【調査概要】 方法:インターネットリサーチ 調査期間:2022年11月26日~2022年11月28日
対象:全国10代~60代男女1000名(有効回答数)

春の行楽シーズンに乗りたい観光列車は? 2位はトロッコ列車、1位は…