ラーメン店に問い合わせの電話を入れたら、待たされた挙句、店長に「ラーメン出すから忙しいんだよ」と逆ギレされたーー。弁護士ドットコムに、怒った客から「口コミに批判を書きたい」という相談が寄せられている。

相談者によると、電話で「担当者に変わります」と言われたものの、1分経過しても誰も出なかったという。一度電話を切り、10分後に再び連絡すると、出たのは店長だった。

電話対応の不備を指摘すると「それがなんなんですか」「お待ちくださいと言われたんだろう、こっちはラーメン作ってんだから、そっちは待っていればいいんだよ」「はい、すみませーん。すみませーん」などと開き直られてしまったそうだ。

相談者は、やりとりを録音したという。口コミサイトに批判的な投稿をすることに法的問題はあるのだろうか。櫻町直樹弁護士に聞いた。

●法的問題が生じる可能性も

ーーラーメン店の店舗名あるいは、店舗を特定できる情報を公にしたうえで「問い合わせをしたら、店長に逆ギレされた」というクチコミを投稿した場合、法的問題はあるのでしょうか。

「『逆ギレ』という表現が店長の『社会的評価を低下させる』と判断されるときは、名誉毀損が成立する可能性もあります。

裁判例としては、『逆ギレ』という表現が『正当な理由もなく非理性的な行動をするような人物であると論評するもの』であるとしたうえで、『逆ギレしたら止まらない』という記載は『社会的評価を低下させることは明らかである』と示したもの(東京地判平成20年2月19日、以下『地裁判決』)があります。

ただし、他者の社会的評価を低下させる論評であっても、一定の要件を満たすときは、違法性または故意・過失が否定され、名誉毀損は成立しないことになります。

具体的には、事実を示すときは(1)公共の利害に関する事実であること、(2)公益を図る目的があること、(3)前提となる事実が真実であるとの証明があること(または、真実と信ずるについて相当の理由があること)、(4)人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでないことが要件とされています(最判平成9年9月9日)。

「公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあった場合に、右意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があったときには、人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない限り、右行為は違法性を欠く」

「意見ないし論評の前提としている事実が真実であることの証明がないとき」であっても、「行為者において右事実を真実と信ずるについて相当の理由があれば、その故意又は過失は否定される」

(最判平成9年9月9日)

前記の地裁判決も『論評が正当といえるためには、前提事実が真実であって、かつ、人身攻撃に及ぶなど、論評の程度を逸脱したものではないことが必要』としたうえで、(当該事案の事実関係に照らして)『逆ギレ』という表現は正当な論評ではないと判断しました。

今回のケースの場合、そもそも、問い合わせに対する店長の対応が『公共の利害に関する事実』すなわち『その事実を公衆に知らせ、これに対する批判や評価の資料とすることが公共の利益増進に役立つと認められるもの』(地裁判決)といえるかどうかは、微妙な判断になると思います。

問い合わせの内容にもよりますが、店長の『逆ギレ』が電話対応の不備を指摘したことへの直接の反応ということであれば、ラーメン店の本来的な業務(ラーメン等飲食物の提供)からは離れたものになりますので、公共の利害に関する事実とまではいえない、という判断もありうるのではないかと思われます」

【取材協力弁護士】
櫻町 直樹(さくらまち・なおき)弁護士
石川県金沢市出身。企業法務から一般民事事件まで幅広い分野・領域の事件を手がける。力を入れている分野は、ネット上の紛争解決(誹謗中傷、プライバシーを侵害する記事の削除、投稿者の特定)。
事務所名:内幸町国際総合法律事務所
事務所URL:https://uchisaiwai-law.com

ラーメン店長、客の指摘に逆ギレ「こっちは忙しいんだよ」、客は批判の口コミ投稿しても問題ない?